(十二)
八月 十一日 月曜日 午後九時四十五分 早野 有里 5分後、わたしは副島に向かい合うようにソファーに座らされていた。
でも、こんな座り方……お父さんが見たらきっと怒るだろうな。
年頃の娘がはしたない。足を閉じなさいッ!って……
わたしも、こんな格好いやだよ。
背もたれに身体をを押し付けて、両足をいっぱいにひらかされて、あそ
この中まで男の目にさらすなんて……
死んでしまいたいくらい恥ずかしい。
「さっそく感度調査とまいりましょうか。ねえ有里様」
わたしは、怖くて仕方ないのに強気を装ってじっと前を向いた。
胸とあそこ……どっちを触られるの?
できれば……ふくらみを包み込むように優しく触れて欲しいな。
……ささやかな希望だけどね。
……でも、そうはいかないみたい。
「イッ、イヤッ……ひいぃぃぃぃぃぃぃぃっ、そこはッ……ダメぇッ!」
突然、デリケートな処から強い電流が流れた。
わたしは甲高い悲しい声で鳴かされて、背中を湾曲するように大きくし
ならせた。
いきなりクリトリスなんて……ひどい……
そこはものすごく感じやすいんだよ。
最初くらいもっと優しくして欲しいのに……
「これは失礼……あなたのお豆ちゃんが卑猥な顔をしているもので、つ
い……」
お豆って……いやらしいッ!
それにいつまで……あぁっ、また電流がはしるぅッ……!
「ハウゥゥゥッ! くぅぅぅぅぅぅぅぅッ……許してッ……うぅぅぅっ
……」
指のお腹がクリトリスの頭を撫でて……イヤァッ、摘まれたッ!
副島は、わたしの両足の間に身体を滑り込ませて座席部分に上半身を密
着させている。
……つまり、足の抵抗も封じられたってこと……?
「おやぁ、皮のフードが脱げかかっていますねぇ。
暑いでしょうから剥いて差し上げましょう」
「ヒイィィーッ。これ以上、クリトリスに触らないでッ! 許して……」
ズキンッ! ズキン!って、頭まで一直線に電気が走る。
……助けて! 許して!……そうでないと、あそこが……熱を帯び始め
てる。
わたしは悶えさせられながら、ひたすら冷静さを取り戻そうと詰まり詰
まり呼吸を繰り返した。
「有里様の未熟な林檎を熟させましょうね」
下から声がしたと同時に、今度は胸に激痛が走った。
副島の指がわたしの乳房を鷲掴みにして、お餅じゃないのに……丸めて
揉んだ。
「いっ、痛いッ! もっと優しく……お願い……」
ここは発育途上なの…… あなたのやり方はただ痛いだけ……
叫びたいけど叫べない。
……言葉が途切れ途切れになってしまう。
「なーに言ってるんですかぁ。未熟な林檎をどうしようが、私の勝手で
す。まだまだいきますよぉ。それぇっ……!」
「はうぅぅッ、ううぅぅッ、わ、私の……胸は、り、りんごでは……あ
りません、くぅぅぅぅぅッ……!」
白い肉が指の隙間から押し出された風船のようにこぼれて、噛みしめた
歯の隙間から悔しいけど悲鳴が漏れてしまう。
「かなり辛そうですねぇ。おっぱいは痛いですかぁ……?」
わたしはうんうんとうなづいた。
「それなら鞭の後は飴といきますかぁ。その代わり、いい声で鳴いてく
ださいねぇー」
副島の指が恥ずかしい繊毛の先でもぞもぞと動いた。
「やっ、ダメェェェェッ……指を抜いて……ひっ……ヒイィィィィィィ
ィィッ!」
言葉通りわたしは鳴かされ背中をピンとのけぞらされ、あそこが切ない
道具に変えられていく。
「有里様のおま○こ……暖かくて気持ちいいですよぉ。
お礼に、ヒダヒダを掻いてあげましょうねぇ」
「あひィィィッ……ヒィィィィーッ……!」
あごを突き出して喉元まで露わにして、刺激を受け流そうとしたけど……
もう、だめ……
「どうやら感度はいいようですねぇ。
ついでですから、有里様を絶頂まで導いて差し上げましょうかぁ……?」
わたしは、首を左右にブンブンと振った。
「いえ、遠慮はいりません。それに……ほらぁ……」
目の前に突き出された2本の指先……
照明の下でテカテカと反射して、指どおしが離れると細い糸を何本も引
いて……
わたしは悔しくて悲しくて……顔を横に向けた。
「やれるものなら……やってみなさいよ……」
全然迫力はないけど、一応、言っておいた。
……これって、勝気なわたしの意地かもしれない。
ぐちゅっ、ぐちゅっ……ぐちゅっ、ぐちゅっ……ぐちゅっ、ぐちゅっ……
「うッくぅぅっ……くぅぅぅっ……んんッッッッ」
噛みしめた前歯から、苦悶? な呻き声が漏れて……
ロープに縛られた手首を痛みを無視するようにこすり合せた。
「乳首とクリトリス、それに肉ヒダを引っ掻いているんですよぉ。
有里様、さぁ我慢なさらずに……あまーぃ声で天国におイキなさい」
痺れて甘くてゴチャゴチャの刺激が、肌の表面を掻きむしるように駆け
巡っている。
こんなのッ、こんなものッて、堪えようとしたけど……
もうどこが性感なのか、区別もつかないくらい気持ちよくなってくる。
わたしに意地があるなら、この人にもあったみたい。
ぐしゅ、じゅちゅっ、ぐしゅ、じゅちゅっ、ぐしゅ、じゅちゅっ、ぐし
ゅ、じゅちゅっ……
「だっ、ダメぇぇッ!……そんなぁ、きつく……ふあぁぁぁっ……」
「今のは……甘い吐息というやつですか。さぁ、もっとお出しなさい」
「はあぁぁ、ああぁぁぁっ……ひどいっ、こんなことされたら……誰だ
ってぇ……はあぁぁぁぁっ」
乳首とクリトリスを同時に撫でらている。
今度は爪先で……
コリッ、ススッ、コリッ、コリッ……
こんな気持ち生まれて初めて……
オッパイやクリトリスがこんなに気持ちよく感じるなんて……
それに、いやらしいお汁がさっきから「チュプッチュプッ」て水音を立
てている。
「もっと自分に素直になりなさい。ほらぁ、太ももやツマ先が痙攣した
みたいに伸びたり縮んだりしているのが、あなたにも分かるでしょ」
「はうんんっ……ふぁっ、あぁぁぁぁっ、そんなぁぁっ、いいぃぃぃぃ
ぃぃっ!」
早くイカセテ……早く楽にして……
わたしは甘い吐息にまぎれさせてこっそり叫んでいた。
「もう少しですよぉ。頂上が見えてきたでしょ。
さあ、気にせずにイキなさい。生娘最後の絶頂を……私に見せて下さい」
わたしは今、オナニーをしているの。
拘束された両手に代わって、副島の指が勝手に快感を運んできてくれる。
乳首を弾かれて……クリトリスをノックするように叩かれて……
割れ目に沿うように、カギになった指先がデリケートな内壁を引っ掻いて……
わたしがするより、全然……気持ちいい。
「はあぁぁぁぁんっ!……ンハッ、いいぃぃぃっ、かっ、感じるぅぅぅ
っっっっ……ふあぁぁぁっ!」
わたし、気が付いたらあそこを突き出していた。
おまけに両足をこの人の腰に絡めて、ハシタナイ……でも止められない。
後もう少しだから……
わたし小声で叫んだ気がする。「イ……カ……セ……テ……」と……
副島は、うんとうなづいてから口をひらいた。「ようこそ、天国へ……」と……
そして軽蔑するように笑いながら、膣の入り口に指を突き立てた。
ヌチュッ、ぬちゅっ、ヌチュッ、ぬちゅっ、ヌチュッ、ぬちゅっ、ヌチ
ュッ、ぬちゅぅッ!
「あっ、あっ、あっ、ぁぁぁぁぁッ……イクッ、イクッ、イクッぅぅぅ
ぅぅぅぅぅッ……!!」
わたしは満足そうな笑みを浮かべた。
そして、甘い声で絶叫しながら身体を何度も仰け反らせて、両足をピン
と引き伸ばした。
一瞬、目の前が白くなる……
キューッと、あそこが締まって力が抜けていく……
それから、うーん、それから……なにが起きたか……覚えていない……
やっぱり……わたしのするオナニーより……ぜんぜん良かった……
後は……?
……ちょっと思い出した。
わたしは……思いっきり叫んでた。
でも、その声は聞き取れないし……聞こえない。
わたし……変なこと……しゃべってないよね。
……他に、なにかあったかな?
……あ、そうだ……
なんだか……ふわふわした風船の中で……あそこから溢れ出したお汁が
お尻に引っ付いて……気持悪かった……
後は……忘れた……
「はあぁぁっ、はぁーっ……はあぁぁっ、はぁーっ……」
わたしは、仰向けのまま胸のふくらみを上下させてソファーに横たわっ
ていた。
だらしなくひらいた太ももが、激しい運動をした後のようにピクリピク
リと痙攣を繰り返している。
おでこに浮かぶ大粒の汗と乱れて張り付いた黒髪……
潤んだ瞳に半開きのくちびる……それに風呂上がりのような桜色の肌……
でも……今は何も聞かないで……お願い……
そして、わたしの気持ちに……何も言わずに寄り添って欲しいの……
きみが傍にいるだけで、失いかけた希望と勇気が復活する気がする……
ふたりで一緒に……最後の試練を乗り越えましょ。