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シャッター・チャンス2  登場人物紹介&あらすじ






















【登場人物 紹介】



            北原雪音(きたはら ゆきね)

        本作品のヒロインで市内の高校に通う女子学生。
        本人曰く、テレビに出てくる瞳キラキラアイドルより可愛いとのこと。
        しっかり者で何事にも前向き。おまけに父親思い。ただし、お金には少々
        細かい。
        祖父の代から続く老舗カメラ店『北原写真館』を頼りない父に代わって
        切り盛りしている。
        母は3年前に実家に里帰りしたまま、それっきりに……



          北原武雄(きたはら たけお)

        ヒロインである雪音の父親。
        祖父の代から続く写真館を経営しているが、気弱な性格で尚且つ優柔不
        断。その割には趣味の写真撮影に関しては見境が無く、家族に相談もな
        しに自分専用の撮影スタジオを建設し多額の借金を抱えている。
        そのため妻には逃げられ、3年前から娘である雪音とふたりで暮らして
        いる。
        2年前から『ピンクの傀儡子』というハンドルネームで、怪しげなブロ
        グサイトを運営しているらしいが……



          小野寺美帆(おのでら みほ)

        前作『シャッター・チャンス』に登場した久藤律子の友人で、専業主婦
        をしている。
        年令は20代後半。丸顔に大き目の瞳が特徴のチャーミングな女性。
        夫との間で、ある事情を抱えて北原写真館を訪れることになるのだが……



          小野寺毅(おのでら たけし)

        美帆の夫で、年令は彼女と同じく20代後半。
        背が高く陽に焼けた精悍な顔立ちをしているが、その割に性格は少々気
        弱。美帆と共に北原写真館を訪れる。





【ここまでのあらすじ】


        祖父の代から続く老舗カメラ店『北原写真館』は、長引く不況と経営感
        覚ゼロの後継ぎのせいで破産寸前に陥っていた。
        写真館という本業に徹しても厳しいというのに、夢と情熱を追い掛ける
        愚かな3代目経営者の武雄は、無謀にも地下スタジオを建設。
        予想通りに大盛りの借金をこしらえてしまう。
        もちろんというべきか、当然というべきか、それに愛想を突かせた武雄
        の妻は、娘の雪音を置いて実家への里帰りを決行。
        それから3年。残された雪音と武雄はふたりだけで、写真館を守る羽目
        になってしまったのだ。

        しかし、客足が遠のいた写真館では借金も返せない。生活だって成り立
        たない。
        そうして父と娘が思い付いたのが、借金発祥の舞台、地下スタジオ活用
        だったのである。
        ようするにこのスタジオで、自称美少女雪音のあられもない写真を撮影
        販売するという強硬手段に打って出たのだ。

        卑猥なビキニの水着姿で、幸せな家族団らんの日々を取り戻そうとモデ
        ル業に励む雪音。
        シャッターを押し続ける、父武雄。
        けれども、世間はそんなに甘くない。
        貧乳娘のスレンダー体型写真集では、日々の生活費を稼ぐのが精一杯の
        有り様である。

        そんなある日のこと。
        北原写真館を、久藤律子と名乗る女性が訪れてきた。
        武雄が密かに運営しているブログサイトを閲覧してきたというのだ。
        『ピンクの傀儡子』というふざけたハンドルネームで、武雄は依頼を受
        けた女性のヌードを撮影し販売。売り上げは、武雄と女性で折半という
        プランだったのだが、これまでの実績は皆無である。
        頼りない父親に代わって、アシスタントを買って出た雪音が律子から話
        を聞き出すことになる。
        それによると、律子の夫は彼女の生身の身体ではなく、ロリ系エロエロ
        画像にゾッコン♪ということらしい。
        ならば、エロ画像にはエロ画像で対抗ということで、律子をモデルに卑
        猥な撮影が実施されることになる。
        アシスタントだった雪音の痴態も巻き込んで、2度に亘るドタバタの撮
        影会。
        30代後半とは思えない律子のグラマラスなボディの前に、すべては円
        満解決?

        結果良ければ全て良し!
        痛快官能コメディ『シャッター・チャンス2』の幕が上がる!!







お父さん、綺麗に撮ってね♪






















【第1話】



        
        カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……

        「よぉーしOKだよ。雪音。ちょっと休憩しようか?」

        「はぁ~い」

        夏空をイメージしたブルーなライトの下で、あたしは仰向けの身体を起
        こした。
        そして、はあ~って大きく伸びをしながら、紐ブラジャーからはみ出た
        乳首を指で押し込んだ。
        ついでに、紐パンツから覗いちゃってる大切なお肉もそっと隠してあげ
        る。

        いつもの撮影。いつもの仕草。
        お父さんは、あたしに休憩だって言っておきながら、カメラを覗いて次
        の撮影準備に余念がない。

        でも、今日こそ言わないと……!
        おとといだって、その前の撮影のときだって、結局言いそびれちゃった
        し……

        「うん。今日こそは……ファイト! 雪音」

        あたしは椅子の前でUターンすると、カメラの元へと向かった。

        「お父さん……あのね……」

        ここまで言って、ゴクンと唾を飲み込んで、あとは、エエイッって感じ
        で……

        「ほら、ティッシュ、たくさん持ってきたから!」

        カメラから目を離したお父さんは、部屋の端に山のように積まれたボッ
        クスティッシュとあたしを、交互に見たままポカンとしていた。



        「ううぅ、やっぱり……僕には……」

        「ううぅでも、やっぱりでも、僕でもないの! いつまでも水着からチ
        ラリじゃ、儲からないでしょ。お客さんにだって、マンネリばかりやっ
        てると、どこかの一発芸人みたいに忘れられちゃうでしょ」

        「でも、僕と雪音は実の親子なんだし、その……ゴニョゴニョまで撮る
        というのは……そのぉ……」

        「もう、焦れったいわね! 娘のあたしが恥を忍んでお願いしてるのに
        ……ホントにだらしがないんだから。だいいち、『ゴニョゴニョ』ってな
        によ! 男だったらはっきりと、お……お……お、オマ○コって……言
        いなさいよ! さあ、始めるわよ! カメラ早くっ!」

        「ゆ、雪音、い、今……なんて……お、おま……うぅぅぅっ」

        「もうお父さんったら、こんなことで泣かないの。あたしだって年頃な
        んだから、こんな用語くらい知っているわよ。まあ、人前では話さない
        けど……っていうか、早く始めましょ」

        あたしはステージに上がると、水着を脱いでいった。
        全然平気って顔で、ブラジャーを取ってパンツを下した。
        全裸のまま、唖然とするお父さんの前で、どこも隠さずに突っ立ってい
        た。

        優柔不断なお父さんを急かせるため……
        今更になって、恥ずかしいって叫ぶ女の子の雪音を黙らせるため……

        こんなの恥ずかしくなんかない。
        そうよ。いつもの撮影のときだって、素っ裸のまま女の子の割れ目に絆
        創膏だけで平気だったから。
        乳首を指先で隠しただけで笑っていられたんだから。
        だから……だから……早くっ……

        「そ、それじゃあ雪音、いつものポーズから」

        「わかった。綺麗に撮ってね♪」

        観念したお父さんが、ぼそっと呟いた。
        それに応えたつもりのあたしも、ちょっと声が裏返っちゃった。

        ごめんなさい、お父さん。
        こんな、はしたなくてワガママで毒舌な娘を許してね。

        あたしは腰に左手を添えると、右足を半歩前に踏み出し、身体を半身に
        する。

        カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……

        全裸のあたしを捉える初めてのシャッターの音。
        その音に導かれるように、あたしは次々とポーズを決めていく。

        「そこで振り向いて……そう。今度はひざを開いて、顔は横向きで……
        OK。こっちを向いて、挑発的な笑顔で……! そう、いいぞ! そう、
        そのまま!」

        撮影が進むにつれて、お父さんの声に勢いが増していく。
        次第に要求するポーズが卑猥なモノへと変化していく。

        お父さんのアソコ、パンパンに膨らんでるよ!? 興奮しているのか
        な?
        あたしは、猫のように四つん這いになりながら、黒眼を走らせた。

        でも、それって仕方ないよね。
        こんな可愛い女の子が、オールヌードでモデルしているんだもん。
        それにあたしだって……

        「雪音、お尻をこっちに向けて」

        「……うん」

        あたしは這い這いしながら言われたとおりに、お尻をレンズに向けた。

        「あ、あぁぁ……」

        頭のスクリーンに、この前撮影した律子さんの裸体が映し出されてる。
        ボリュームのある真っ白なお尻のお肉が、頭の中でズームアップされる。

        雪音も、一緒のポーズをしている。
        まだまだボリュームなんか足りないけど、お尻の割れ目を……ううん、
        もしかしたら大切な処まで……!

        そう思うと、『恥ずかしい』って声が飛び出し掛けて、慌てて口をつぐん
        だ。
        お父さんの隣で腕組みしながら雪音を見つめる、あの時のあたしに負け
        たくなくて、言われてもいないのにお尻をグッと突き出した。

        カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……

        カメラが鳴いた。
        あたしは、息を止めてそれが終わるのを待ち続ける。
        そしてお父さんから新しい指示が飛んだ。
        「足をひらけ」って……







スリット! 割れ目! 光るレンズ!!






















【第2話】



        
        「ううっ……くぅっ!」

        せえのっ!って気合いを付けて、太股を開いていく。
        床にひっつけたヒザ小僧をズズッって擦りながら、左右に引き離してい
        く。

        カメラの丸いレンズが……
        その先で、雪音の知らないお客様の視線が……

        あ~ん。下腹部が炎に包まれたみたいに熱いよ。
        そのせいかな? 雪音の顔までお風呂でのぼせたみたいに真っ赤。

        「き、綺麗だよ……雪音」

        「イヤ、言わないで……」

        かすれた声で、お父さんが褒めてくれた。
        でもその褒め言葉が、こんなに辛いなんて。
        だって、お父さんの視線がどこに向いているのか、わかっちゃうんだも
        ん。
        もしかしたら、雪音のアソコの変化にも……?!

        「お、お父さんお願い、早く撮って……」

        「あ、ああ。すまない」

        カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……

        「雪音、もっと頭を下に……床にひっつけるようにして」

        「うぅ、うんわかった……こんな感じ?」

        あたしは、お父さんの指示に従っておっぱいを床にひっつけた。
        首を横向きにしながら、べたりと上半身を床の上に密着させる。

        「あ、あぁ、恥ずかしい……」

        真横になった唇が、我慢できないって囁いた。
        背中を弓なり湾曲させて、丸いお尻を高々と掲げて、その下に潜む恥ず
        かしい割れ目をカメラ目線で晒して。

        そう、恥ずかしい。こんな淫らなポーズ、絶対に恥ずかしい。
        でも……それでも、なにか違うの。
        アソコが疼いて、心臓がバクバク鳴って、なんだか気持いい開放感が込
        み上げてくるの。

        カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……

        「うん、雪音……いいよ。素敵だ、最高だ」

        それなのに、お父さんの声がもっともっとかすれた。
        ううん、喉が震えている。

        やっぱり辛いのかな? 娘の裸でお金を稼ぐのに哀しくなっちゃったの
        かな?
        そんなこと気にしなくていいのに。
        淫らな雪音になろうって決めたのは、あたし自身なのに。
        尻込みするお父さんを唆したのだって、あたしなのに。

        だからだから、見てよ。お父さん、雪音の身体を全部見てよ。
        全国にいる隠れ雪音ファンのお客さんより、カメラ君より先に見て。
        男なんだから、もっともっと、オチ○チンを膨らませてよ。破裂するく
        らい大きくしてよ。

        「ああっ、んぅぅっ」

        あたしは呻きながら、更に股を開いていた。
        そうしたら、アソコが膣(なか)のほうからキュンとなって、お尻が勝手
        に揺れ出している。

        カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……

        シャッター音が無限に続くほど長く感じた。
        その音を聞きながら考えていた。

        お父さんに冗談で渡したティッシュ……本当に必要なのはあたしの方な
        のかな?
        うん、きっとそう。
        淫乱な雪音の必需品。だって恥ずかしいアソコが、エッチなお水に汚れ
        ちゃうんだもん。



        あれから30分以上、お父さんはあたしを撮ってくれた。
        いろんなポーズで、いろんな角度で……

        「雪音、少し休憩しようか?」

        「ううん。大丈夫だから続けて」

        この会話。もう3度目だよ、お父さん。
        でも、お互い息が上がって呼吸が荒くなっているのは確かかも。
        でも、ここで一息吐くと、あたし……意味もわからずに発狂するかも。

        やっぱり、女性のすべてを見せるのって、エッチな水着や絆創膏なんか
        比べ物にならないくらいハードなのね。
        恥ずかしい割れ目も硬くなった乳首も隠さなくたっていいのに、断然ハ
        ードなのよね。

        「わかった。これがラストのポーズだから、頼むよ」

        「いつもの『M字』でいいのよね?」

        あたしは、お尻を床にひっつけるとヒザを立てた。
        そのままの体勢で、躊躇なしに足の裏をスライドさせて左右に拡げた。
        背中を反らし気味に、おっぱいも乳首も晒して、両足が逃げ出さないよ
        うに、ヒザ小僧を両手が左右に引っ張って……

        カメラを見つめた。
        お父さんと一瞬目が合って、一瞬、哀しさが湧いて、慌ててレンズの前
        で微笑んだ。

        カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……

        もう恥ずかしさなんて感じない。
        ううん、頭がぼーっとしてきて、自分が何をしているのかさえ分からな
        いの。

        誰かがあたしに囁きかけてくる。
        見てぇ、雪音をもっと見てぇ。恥ずかしいオマ○コを、もっともっと見
        てぇって……

        目の前にいるお父さんの声が、遠くで聞こえた。
        指で、アソコを開けって……

        あたしは、返事の代わりに首を大きく縦に振った。

        ああぁっ、もう……びちょびちょ……

        ヒザ裏から侵入した雪音の両指が、熱くて溶けちゃいそうな扉を引っ張
        った。
        ぐちゅぅって音を立てながら、真ん中からはみ出している小陰唇のヒダ
        ヒダをよぉ~く見えるように拡げた。
        ピンク色をした恥ずかしいお肉を、膣の入り口まで見せてあげた。

        カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……

        お父さんが、唇を真一文字に結んだまま、シャッターを押し続けている。
        ズボンの前が破れそうで、おでこに球の汗を浮かべて……

        あたしはそんなお父さんに、何度もエールを送った。
        もちろん、心の中で……

        『さすがは、雪音のお父さん。頼りなくて、とっても頼りなくて……で
        もね、あたし。お父さん、だ~い好き♪♪』

        そして、背筋をブルブルってさせながら、指先に力を込めた。
        溢れてくるエッチなお汁に指を浸しながら……

        どう? 雪音のアソコ。
        現役女子高生の濡れ濡れ画像だよ。それにね、バージンなんだから。
        すごいでしょ? ね、ね、だから高く買ってね。
        お願い♪♪







ピンクの傀儡子、見参!!






















【第3話】



        
        あたしの名前は北原雪音。
        市内の高校に通う現役女子学生なの。
        知能レベルは中の下、運動レベルは中の上。
        スリ―サイズは超シークレットだけど、将来に向けて大いに期待かな。
        肝心のお顔の方は、うんうん♪ これだけは堂々と自慢してあげる! 
        宣言してあげる!

        びしょうじょ! ビショウジョ!! 美少女!!!

        こっそり、はっきり、テレビに出てくる瞳キラキラアイドルより可愛い
        って。
        ちょっと自惚れを込めて、うふふふ♪♪

        そして我が相棒、お父さんの名前は北原武雄。
        通称シャッター通り商店街で、写真館を経営しているの。
        名前だけで判断したら、頑固オヤジで生意気な娘のほっぺたをパッチー
        ンなんだけど、実際はねぇ……ごにょ、ごにょ、ごにょ……
        気弱で頼りなくて、優柔不断で、全然お父さん役をこなしてくれなくて、
        それなのに趣味の写真撮影になると見境が付かなくなって、気が付けば
        借金の山を大盛りでこしらえる超スーパーなダメオヤジなの。

        だからお母さんは実家に帰ったまま戻って来てくれない。
        父娘家庭を始めて早3年。
        雪音はお母さんの分まで、お料理、お洗濯、主婦の特権立ち話。
        夫婦のスキンシップ、夜の営みはパスだけど……
        とにかくだよ。全然輝けない青春生活を送っているわけ。



        「ねえ、お父さん。この前のネガ。いくらで売れたの?」

        あたしはいつもの『北原写真館、撮影スタジオ兼、自称、北原雪音・宿
        題丸写しの部屋』で、これまたいつものように宿題をしながら、いつも
        の感じでお父さんに聞いた。

        「あ、えぇっと……えぇっ~と……どうだったかな? ははは、お父さ
        んは忘れちゃったなぁ」

        「ちょっとぉ、頭掻いてごまかさないでよね。ねぇ……ホントに送って
        くれたの? 雪音の現役女子高生の無修正バージョン」

        「う、うん……そのぉ、送ったような? 送らなかったような? ごめ
        んなさい!」

        突然お父さんの姿が、店の奥から消えた。
        まるで瞬間移動したみたいに、すっと飛んで、あたしの前で土下座して
        いる。

        「まさか……まさかだよ。お父さん、雪音のことを思って没にしてくれ
        たの? 嫁入り前の娘のエッチな写真を人目に晒したくないとか?」

        「ま、まあ……そんなところかな。へへへっ」

        瞬間移動したお父さんは、屈辱四つん這いポーズも一瞬だった。
        目を潤ませたあたしを見て、さっと立ち上がると照れたように頭を掻い
        ている。

        「嬉しい♪ とっても嬉しいぃっ! だけどね、けどね……グスン、グ
        スン」

        「雪音、そんなに嬉しいのか? お父さんもだよ……ううぅぅぅぅっっ」

        そして始まった親子涙の共演。
        一緒になって涙に鼻水までミックスさせて号泣してるけど、ホントにど
        うしよう?

        しゃっきん! シャッキン!! 借金!!!

        こうなったらもう、一か八かの『ピンクの傀儡子さん』に頼るしか道は
        ないよね。
        美少女娘のヌード写真集が援護射撃できないんだもん。
        そうよ、鬼才! 異才! 変態!
        お父さん……ふぁいとぉ~

        因みにお父さんは、『ピンクの傀儡子』というハンドルネームでブログを
        やっている。
        キャッチコピーは、『今すぐお金が入用の貴女!! ピンクの傀儡子が参
        上致します!!』
        要するに、お金が必要な女の人のエッチな写真を撮影して、ネットで売
        りさばく。
        その代金から、撮影料を徴収して残りの売上を当事者に渡すって感じか
        な。

        でもねぇ……
        お父さんがブログを立ち上げてから2年になるけど、お仕事の依頼が来
        たのって、たったの1件なのよね。
        それも、ちょっと変化球って感じのお仕事で……
        そう、久藤律子さんの件。
        詳しくは、前作の『シャッター・チャンス』をよろしくということで……

        でも今夜、記念すべき2件目のお仕事の予定が入っているの。
        その久藤さんの紹介で名前は確か……小野寺美帆(おのでら みほ)って、
        言ったかな。
        午後7時に来るって電話があったから、もうすぐよね。

        あたしは、おじいちゃんの代から働き続けている柱時計を見上げた。
        ついでに、カメラ小僧のような顔で、ひたすらレンズを磨き続けるお父
        さんと見比べた。

        「それで、どうする? 夕食は小野寺さんのが終わってからにする?」

        「いいけど……だったら雪音。夕食は特上の天ぷらそばでも取ろうか? 
        お向かいの『そばや並木』で」

        「特上の天ぷらそば……?」

        「借金返済の前祝いに景気よく。どう?」

        「だ~め。今夜はカレーなの。だからお父さん、小野寺さんのお仕事、
        『華麗』に決めてね♪」



        「えっ……えええぇぇっ!! セ、セックスしているところを撮影って
        ……?」

        あたしとお父さんは、同時に目を丸くした。
        当然のように、顔を見合わせた。

        「ですから、『ピンクの傀儡子』である、あなたにお願いしているんです。
        その……律子……いえ、久藤さんからお話を伺って、ここへ来ればなん
        とかなると……」

        小野寺さんは、最後の方は口ごもりながら、恥ずかしそうに目を伏せた。
        ここは、いつもの地下撮影スタジオにある、いつもの丸テーブル。
        雪音のエッチでムフフな写真撮影も、もちろんここで。

        「で、ですが……」

        ツン、ツン……

        お父さんも口ごもりながら、あたしの脇を突いてくる。

        「あの、小野寺さん……ううん、美帆さんって、呼んでもいいですか?」

        無理やりバトンタッチされたあたしは、丸いテーブルの向い側にいる美
        帆さんという女性を見つめた。
        彼女は、グーにした両手をテーブルの上に置いたまま、小さくうなづい
        てくれた。

        可愛い……!

        あたしより年上の人にこんな言い方は失礼かもしれないけど、一言で表
        現するとずばりこんな感じ。
        年齢は、律子さんより若くて、20代後半かな?
        髪型は、ちょっとブラウンがかったショートボブ。
        丸顔に大きめの瞳。
        口も大きめで、美人というよりチャーミングって言葉がぴったり。

        きっと笑うと、ホッペタの上にエクボが浮かんで、可愛い系のアイドル
        をそのまま10年くらいタイムスリップさせたら……多分こうなるんだ
        ろうな。
        でも、こんな可愛らしい女性が、どうして無茶な相談を持ちかけて来る
        の?

        「それで美帆さん。その愛し合うお相手は、夫婦だから、その……」

        「ええ、夫の毅(たけし)と……」

        美帆さんは、あたしの問いに小声で答えた。

        つまりこういうこと。
        結婚して3年。いつまで経っても子供に恵まれない小野寺夫婦は、熟慮
        に熟慮を重ねて思い付いちゃったの。
        私たちの、そのそのその……セックスがマンネリしているんじゃないの
        かって……?
        色んなお医者様に相談しても結果が出ないんだから、自分たちで行動す
        るしかないって……!

        だからって、写真撮影しながらの、そのそのそのセックスって大胆!
        というか、アブノーマルな愛し方なら他にもあるんじゃないかと……

        例えば、お互いのオナニーの鑑賞会でもしてみるとか?
        SMチックなお遊びがOKなホテルで、SMチックなお遊戯をしてみる
        とか?
        美帆さんに首輪でも嵌めて……別にお婿さんの毅さんでもいいけど、い
        けない遊びをしてみるとか?

        ……って、ダメダメ。
        花の女子高生が、こんなこと想像しちゃダメェェッ!!

        「おい雪音。顔が真っ赤だけど熱でもあるんじゃ……うぐぅッ!」

        「おほほほ……わかりました。あたし……じゃなかった、私たちにお任
        せください。つきましては、ご利用料金のご相談など……」

        真っ赤な顔のふたりの女性の横で、どうしたのかな?
        お父さんだけが、顔を真っ青にして白目を剥きかけていた。








キスし合って、脱がせ合って、裸を見せ合って






















【第4話】



        
        カチャ、カチャ、カチャ……

        あたしとお父さんは、キッチンで遅い夕食をとっていた。
        メニューはもちろんカレー。

        「雪音。今度の撮影、上手くいくかなぁ?」

        「そんなの……もぐもぐ……やってみないとわからないわよ。でも、お
        父さんだってプロのカメラマンのひとりなんだし、もぐもぐ……白黒の
        撮影や、ハメ撮りくらい経験あるんでしょ?」

        「お、お前……い、今なんて……うっうぅぅぅぅ……」

        「ほら、泣かないの。いまどき、こんな情報は、ネットでいくらでも手
        に入るのよ。それより、スタジオの方なんだけど、さすがにベッドを持
        ち込むわけにはいかないでしょ。マットで我慢してもらおうかしら?」

        あたしは、スプーンを口にくわえたまま、お父さんの方を見る。
        ここは、人生経験豊富。あっちの方もあたしが産まれたんだし、一応、
        豊富のはず?
        まずはご指南を……

        「うん、雪音に任せる……それよりも、カレーお代わり。ついでに卵も
        ……」

        「ダ~メ。我が家では卵は1日1個まで! ホントに頼りにならないん
        だから」



        翌日、美帆さんと共に旦那様の毅さんが、スタジオを訪れた。

        「よ、よろしくお願いします」

        「こちらこそ。撮影アシスタントの北原雪音です」

        日焼けした精悍な顔をしているけど、ちょっと気弱かな?
        目が泳いで表情が硬い。
        まあ、今からやることが、その~やることだし、これで普通かもね。
        それに、さっきからソプラノボイスで撮影準備をしている『ピンクの傀
        儡子』さんより、ずぅ~っとずっとマシかも。

        「雪音、照明はオレンジ色に……」

        だからお父さん、声を裏返えさないでって……もう!

        「小野寺さん、こっちは準備が整いました。始めてもらって結構ですよ」

        そのお父さんが、むせ返るほど声を殺しながら合図を送った。
        あたしは、カメラの横で待機する。

        薄オレンジの世界に、大きめのマットレスが1枚。ただし掛け布団はな
        し。
        ここは、撮影に関しては冷静なお父さんの判断で……?

        「あなた……」「あ、ああぁ……」

        美帆さんに促されるようにして、ふたりがマットレスの脇に立つ。
        鼻息が届くくらい間隔でしばらくの間、向き合っている。
        そして……突然のキス。

        背の高い毅さんが、首を折り曲げるようにして美帆さんの唇に触れた。
        毅さんが美帆さんの肩を抱いて、美帆さんが毅さんの背中に両腕をまわ
        して……
        ふたりとも目を閉じたまま喉仏のあたりを、唾液を呑み込むようにゴク
        リゴクリと動かして、濃厚なキスを続けている。

        カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……

        お父さんがシャッターを押した。

        これが大人どおしのキス……?!
        想像していたのと全然違う! でも、なんだかすごい!

        あたしは、ふう~って熱い息を吐いた。
        隣でお父さんが羨ましそうな顔をしている。

        いつのまにかキスを終えたふたりが、また鼻息が掛る間合いで向き合っ
        ている。
        そして、どちらからとなく両腕がお互いの身体に触れた。

        シュルシュル……スス、スススッ……カチッ……シュルシュル……

        あたしの見ている前で、毅さんの逞しい筋肉のボディが露にされていく。
        美帆さんの成熟と若さを兼ね備えた、魅惑的な肉体も晒されていく。

        スス……スススス~

        膝立ちになった美帆さんが、毅さんのトランクスを慣れた手付きで下ろ
        していた。
        ウエストの前部分をつまんで、はち切れそうな男の……そのシンボルを
        交わしながら片足づつ抜き取っていた。

        「わ、あわわわぁ?!」

        生まれて初めて目にする男の性器。
        太くて長くて、斜め45度で天井を上向いていて……先っぽがぬらりと
        光って……

        そうしたら、目が合った美帆さんが自分の身体で毅さんを隠した。
        彼女だって、腰に白い下着1枚だけなのに、カメラの前にその背中ライ
        ンを晒した。

        「あなた……早くぅ……」

        「あ、あぁ……美帆」

        美帆さんの甘い催促に毅さんが応える。

        スルッ……スススス~

        慎重に、滑らかな肌を指先が傷付けないように、最後の1枚を引き下し
        ていく。
        毅さんは、露にされた女性の部分に顔を埋めたまま白い布切れを脱がせ
        ると、手のひらに収めた。

        カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……

        その瞬間を逃すまいとシャッターが鳴いた。
        その音に、美帆さんの若々しいお尻のお肉が震えた。
        彼女の腰に貼り付いた褐色の両腕が、強く強くギュウっと喰い込んだ。

        あたしは口の中をカラカラにしながら、乾いた空気みたいな唾を飲んで
        いた。
        全身がオーバーヒートするを感じながら、瞬きだって忘れかけていた。

        どうなるの? この後は、ふたりで何をするの?!

        そうしたら、美帆さんが先に動いていた。
        小さなお花が散りばめられたマットレスに仰向けに寝転ぶと、毅さんを
        呼ぶように唇を動かす。
        それに呼び寄せられるように、毅さんが上から覆いかぶさっていく。

        「ああ、あなた……」

        「美帆……」