放課後の憂鬱 第5章 スタイリスト・前編(1) 2015/04/10 20:00.00 カテゴリ:放課後の憂鬱 【第5章 (1)】藍は悪夢のようなあの出来事から、まだ立ち直れないままの、ほとんど放心状態で学校を後にした。家に帰るまでの間、藍の頭の中はさっき自分が受けた辱めの情景を、繰り返し思い浮かべていた。それ以外のことは、なにも考えられなかった。(あんな恥ずかしいことを・・・ビデオに撮られて・・・)(みんなに・・・高科先輩に・・・見られて・・・)(あぁ・・これからもきっと、恥ずかしいことをされてしまう・・)(あたし・・・どうしよう・・どうしたらいいの?)藍は無理に、これからのことを考えようとしていた。考えているつもりだった。「本当の藍」を取り戻すために・・「もう一人の藍」から逃れるために・・。あんなに酷いことをされたのに・・・あんな恥ずかしいことをさせられたのに・・・しかし、あの情景をいくら思い浮かべても、悔しさも恥ずかしさも湧いて来なかった。「本当の藍」を取り戻すことは出来なかった。それは「もう一人の藍」が「求めていた」からだった。藍は、自分がどうやって帰ってきたのかも定かでないまま、どうにか家に辿り着いた。家族には顔を見られたくなかった。黙って自分の部屋に入ると、暫く呆然としていた。そのままズッと一人でいたかった。でもそれは、できないことだった。いつもの時間になると食事に呼ばれ、仕方なく食卓に着いた。食卓で藍は、秋や両親に悟られまいと無理に明るく振舞っていた。しかしそれが逆にわざとらしく映っていたらしい。食事を終わって藍が席を立つと、秋もすぐにその後を追った。「おねーちゃん!」後ろから秋に呼ばれ、藍はどきっとした。「・・なっ、なに?」藍は裏返った声で返事をした。そのことが一層不安を募った。「おねーちゃん、最近少しヘンだよ? なにかあったの?」秋は藍を心配するように、そう聞いた。しかし藍には、秋が勘ぐっているようにしか受け取れなかった。昔から秋は藍の行動には鋭く、何かと詮索することが多かったからだ。「べ、別に何もないよ・・ヘンかなぁ?」「うん、おかしい。妙に明るいし。おねーちゃん昔からなんかあると、ちょー明るくなるもん。」藍は秋とこれ以上話していると悟られてしまうと思い、「なんでもないよっ! 秋。あんた、このごろうるさいよっ!」とどなって部屋に入ろうとした。が、秋の次の言葉を聞くと、開きかけたドアの前から動く事ができなくなってしまった。「・・・おねーちゃん、あたし、昨日、見ちゃったよ。」秋のその言葉に、心臓が止まるかと思った。(秋に何か知られてる! 何を知ってる・・の?・・)「・・・な、何を見たのよ?」藍は声が震えそうになるのを無理に押さえ、恐る恐る秋に尋ねた。秋は、そんな藍を焦らすように暫く黙っていたが、やがて内緒話をするように、小さな声でゆっくりと言いだした。※ この作品は、ひとみの内緒話管理人、イネの十四郎様から投稿していただきました。 尚、著作権は、「ひとみの内緒話」及び著者である「ジャック様」に属しております。 無断で、この作品の転載・引用は一切お断りいたします。 同性の先輩や後輩達に苛められる女子○生ひとみのアブナイ体験とSMチックな官能小説 目次へ 第5章(2)へ