(五十二)
八月 二十六日 火曜日 午前十一時 時田 謙一 「では、そろそろイッちゃってください!
私に、舞衣さんが絶頂する姿を見せてください!」
「んんッむぅっ、ひっぃいいぃぃぃッ! く、クリトリスは……はぁぁぁぁぁっ、だめぇぇぇぇぇッ!」
クチュッ、グチュッ、クチュッ、グチュッ、クチュッ、グチュッ、クチュッ、グチュッ……
「はうぅっ、き、気持ちいい……気持ちいいのぉっ、はぁぁあああっんッ……」
全裸の少女が、自らの股間にバイブを突き立てて痴態を演じている。
黒いソファーの上で両足をM字型にひらき、女の全てを晒けだすあられもない姿。
全身にローションを塗りたくったように汗をテカらせた、艶めかしい肢体。
官能の炎に染まる自らを戒めるように浮かべる苦悶の表情。
愛する友を守るため無機質な玩具に初めてを捧げた、意地らしいまでの自己犠牲の精神。
その少女が、今まさに望まない快楽の頂上まで登り詰めようとしている。
壁一面に設置された、60インチはある大型の液晶画面の中で繰り広げられる等身大の少女……吉竹舞衣の処女喪失ショー。
女にとって一生に一度しか経験できない通過儀式。
その全てが記録された映像を、自分は座り慣れた椅子に身体を預けて鑑賞していた。
「そろそろだな」
それまでの、生娘特有の肢体の強張りが消え失せている。
バイブから湧き上がる未知の快楽に、戸惑い恐れていた表情も官能一色に染まる。
無意識のうちに自ら腰を突き出し……
両指が硬さの残る乳房を鷲掴みにし……
玩具を根元まで飲み込んだ秘裂からは、真新しい透明な汁をトロトロ溢れさせ……
そして……
「はぁあああぁぁっ、いいぃぃッ、いいぃのぉっ! イクゥッ、イッちゃうぅぅぅぅッッッ……!!」
少女は女の声で絶叫した。
全身の筋肉が電流を流されたように激しく痙攣し、背骨を限界にまで湾曲させ、見ている者全てに淫らな絶頂を証明した。
おっ?!
思わず片手を自分の下腹部に押し当ててみる。
何の変化も示すことのないズボンの中のモノが、今、僅かに反応した!
「ふふっ、徹也もやってくれる……」
自分を毎回、想像以上に楽しませてくれる早野有里もなかなかの上物だが、この吉竹という娘もまた負けず劣らずの上物のようだ。
完璧なまでの自分好みの娘。自分好みの趣向……
だが、徹也のやつ……いったい、どこでこれだけの逸材を仕入れているのか?
……いや、それを問い質すのは野暮というものかもしれない。
奴には奴なりの仕事? に対する誇りがあるだろうからな。
画面に中で露わな肢体を投げ出す娘を一瞥すると、自分はテレビの電源を落とした。
そして、部屋の入り口付近で待機している若い女に声を掛ける。
「どうした? 晴海。
……顔が真っ赤じゃないか? 熱でもあるのか?」
「い、いえ……そんなことは……」
一瞬、言い淀みかけた女は、細く美しい指を腰の前で組み合わせたまま1時間程前からそこに立ち続けている。
山崎晴海(やまさき はるみ)……
我が時田金融で、この春から社長秘書を務めている。
年令は有里や舞衣とほぼ同世代。
確か、19だったか……
まだまだ、あどけなさを残す顔付きだが、濃紺のレディーススーツに覆い隠された身体からは、未成熟ながらも女の色香を漂わせ始めている。
「ふふふっ、本当のところを当ててやろうか? 晴海。
……お前、同性が漏らす、あの声に感じていただろう?
もうあそこが……いや、晴海のおま○こが、濡れ濡れで我慢できないんじゃないのか?」
「……くっ!……いえ……は、はい、そうです。
……晴海は……ご主人様のエッチな映像に、あそこを……いえ、お……お、おま○こをずっと疼かせていました。
はしたない……わ、割れ目から、いやらしいお汁を溢れ出させています。
……どうか、ご主人様。こんないけない晴海を厳しく躾けてください。お願いします」
勝気な性格を表すやや吊り上がり気味の眉が、ぴくぴくと小刻みに震えた。
クリクリとした大きめ黒目を、微かにだが潤ませている。
だが、この3か月。自分の片腕である小宮山に相当厳しく仕込まれたのか? 口上自体は、自分の本能をくすぐる上出来の内容だった。
あのジャジャ馬娘をここまで調教するとは……
あの男も徹也と並ぶいい腕を持っている。
尚も震える指でスカートを持ち上げようとする晴海を、自分は手で制した。
「その殊勝な心がけ、これからも忘れるんじゃないぞ。晴海」
「……はい」
「……それと、昼からの予定は全てキャンセルにしておいてくれ。
急に、大事な客人を招くことになったのでな」
「は、はい……かしこまりました」
晴海は、一瞬戸惑いの表情を見せたが、すぐに普段の秘書の顔を取り戻した。
軽く一礼すると、必要以上にケツをくねらせながら部屋を後にする。
「ふふふっ、晴海め。わしの気を引こうと、こざかしい真似を……」
だが、あの娘……
まだまだ、心の底まで従順な奴隷秘書になったわけではなさそうだ。
屈辱の口上を述べる一瞬に垣間見せた、憎悪をたぎらせた悔しげな表情。
守るべき者がいると辛いものだな。晴海。
いや、自分にとっては好都合というべきか……
手のひらの上で、これだけの美少女が淫らなダンスを披露してくれているのだから……
「あとは、これだな」
壁に掛けてある1枚の額縁に目をやる。
『学校法人 洋明学園 完成予想図』
精密なタッチで描かれた光り輝く白亜の校舎に多目的グラウンド。その他の教育施設を含む建物群。
我が時田金融が、社長である自分の号令の元初めて手掛け、まもなく完成予定の私立高校である。
「わしの目に狂いはないはず……」
健全な学校教育を名目とする学園想像図に、自分の心は躍り出していた。
同時に、男を忘れた下半身までもがその踊りに加わろうする。
そして、その中心に踊り出た自分を狙う刺客こそが、己自身であることも自覚しながら……
『 少女涙の羞恥生活 完 』※ 長らくのご愛読、誠にありがとうございました。
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