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近くて遠いイブの夜























(5)


12月 21日 金曜日 午前11時30分   野村 春樹



「……ということでだな。
明日から冬休みだからといって、あまり羽目をはずすんじゃないぞ!
始業式の翌日から、実力テストが待っているからな。
休みの間も、計画性を持って勉強するように!」

「起立! 礼!」

小うるさい担任教師が教室から出て行き、クラスの空気が一気に緩んでいく。
雑音のような歓声が教室のあちこちで沸き起こり、クラスのみんなが思い思いの行動を取り始める。

さっさとカバンに机の中の物を放り込み、帰り支度をしたり……
どうせ2週間経ったら嫌でも顔を突き合わせるのに、意味のない会話に時間を費やしたり……
午後からのクラブ活動に備えて、早速、弁当を頬張っていたり……

いつもの、それでいて終業式だけにある和やかなほのぼのとした雰囲気。

そんな中で僕は、頬杖を突いて外を眺める少女を見ていた。
まるで群れからはぐれた小鳥のように、窓際の席で寂しそうな表情を浮かべている。

「二宮さん……二宮佐緒梨(にのみや さおりさん……」

帰り支度を終えた友達が、「帰ろうぜ」と言うように僕の背中を叩いた。
それを片手を振って見送ると、定期的に彼女に視線を送りながら、ようやく僕も帰り支度を始めた。
じれったいほどゆっくりと、カバンに荷物を詰め込んでいく。
持って帰らなくてもいい物までカバンの隅に押し込みながら、彼女が席を立つのを待ち続けた。

やがて、教室の中から雑音が消えていき机のほとんどが空席に変わった頃、佐緒梨さんの姿が消えていた。
僕がちょっと目を離した隙に? 違う!
ちょっとうつらうつらしている間に、窓際の席にいた彼女が風のように消え去っていた。

「そんな……嘘だろ……?!」

気が付けば、全力で走っていた。
手ぶらで、せっかく詰め込んだカバンも持たずに、下駄箱で慌しく上履きを脱ぎ捨てると校門へと駆けて行った。

走りながら何度も自分にバカと言って、ついでに朝から何度も練習した言葉をつぶやいてみて……
グランド横の道を走りながら、陸上の練習をする1年生で美少女と噂される、東条夏稀(とうじょう なつき)にちょっとだけ浮気しかかって、首をブンブン振って……

息が切れて、寒いのに玉のような汗が額から流れ落ちて、駅前の繁華街が近づいたころ、ようやく佐緒梨さんのキラキラと輝く長い黒髪が見えてきた。
聞き慣れた『ジングルベル』の音色が、止まり掛けた僕の身体を後押ししてくれる。

「二宮さぁーん!……待ってぇ……はあ、はあ、はあ……」

狭い歩道をごった返すように歩く人影の中で、彼女の足が止まった。
僕は呼びかける声にブレーキを掛けながら、彼女の前に回りこんだ。

突然、視界を遮った黒い影に、佐緒梨さんの表情が強張っている。

「はあ、はあ、はあ……やっとぉ……追いついたぁ……」

「の、野村君? どうしたの?」

「はあ、はあ……に、二宮さんに……さ、佐緒梨さんに話したいことがあって……」

「そ、そう……でも、そこ……他の人のジャマになるから……」

彼女は、僕の腕を引っ張ると、歩道の端に設置された自動販売機の横に引き寄せた。
いつのまにかテンポのいい『ジングルベル』の曲が、スローで大人っぽい『ホワイトクリスマス』に変わっている。

「それで野村君、話って……?」

「あ、う、うん……そのぉ……」

佐緒梨さんは、足早に通り過ぎる歩行者に盛んに視線を走らせながら、僕の言葉を待っている。

美人というよりチャーミングな顔立ちで、笑顔を見せれば、ほっぺたに可愛いえくぼまで浮かぶのに……
いつも寂しそうな表情で、いつも悲しそうな眼をして……

今だってそう……
僕が緊張して頭の中が空っぽだということもあるけど……
せっかくいいムードの曲が流れても、空き缶がたくさん詰まったゴミ箱の前ということもあるけど……

ほんの少しの笑顔を佐緒梨さんが見せてくれたら……
おでこから湯気を出している僕の顔を見て笑ってくれたら……

「ごめんなさい。わたし、ちょっと急いでいるの」

そう言い残して、また彼女は僕に背中を向けた。
周囲に甘い香りを残して……
いたずらな北風に、真っ白な太ももをちらりと露出させながら……

「佐緒梨さん。あの、僕と、クリスマスイブを一緒に……」

絶対に届かない声でつぶやいて、それに……
僕、佐緒梨さんと何をしようと考えていたのかな?

ケーキ? 食事? ショッピング? それとも映画?

僕は、お小遣いをはたいて買った2枚の紙切れを握り締めていた。
小さくなった佐緒梨さん影をいつまでも追い掛けていた。



       12月 21日 金曜日 午後0時30分   二宮 佐緒梨


わたしは、足早に移動する人の流れを縫うようにして歩いていた。

うつむき加減に斜め前を見つめて、向かってくる靴の群れを避けながら、それでも肩に掛けたカバンが人とぶつかって、そのたびに小さな声で「ごめんなさい」を繰り返している。

佐緒梨って、ずるい女。
こんな簡単に「ごめんなさい」を口にしながら、せっかく追い掛けてきた野村君にも同じトーンで「ごめんなさい」なんだから。

息を切らせて、寒いのに汗びっしよりになって、右手には何かのチケットを握り締めて……
『クリスマスイブは、僕と一緒に楽しく過ごそう』……ね。そう言いたかったんだよね。

知ってたんだから。
言葉にならなくても、野村君……ううん、春樹(はるき)君の想いは、全部佐緒梨に伝わっていたんだよ。

うれしかった。
ホントにうれしかった。

わたし歩道の真ん中で、あなたに抱きつこうと思ったくらいだから。

でも……でもね……
あなたは、わたしのことを知らない。
佐緒梨って女の子が、どういう生活をしてどういう人間なのか知らないの。
知らなくていいの。知って欲しくないの。

ふふっ。高校に入学してから今日まで本当にありがとう。
そして、春樹君……バイバイ♪♪
素敵な彼女を見つけてね。

わたしは、普段より重たい通学カバンを肩に掛け直すと、華やかなクリスマスソングから逃れるようにして歩き始めた。



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消し去りたい記憶























(6)


12月 21日 金曜日 午後1時30分   二宮 佐緒梨



駅の北西に拡がる歓楽街。
大通りに面して並ぶ、居酒屋、カラオケスナック、映画館。
でも、一歩路地に足を踏み入れれば、そこはいかがわしいお店がずらりと軒を並べる性欲の楽園だったりする。

そんな街の路地を2本ほど中に入って、枝分かれした細い路地をもう1本内に入った所に、わたしとお義母さんがふたりで暮らすアパートがある。
築30年、2階建て、部屋数8。
一応、バス、トイレ付き。
ただし、建物と一緒。かなりオンボロだけど……

因みに、お義母さんはこのオンボロアパートのオーナーだったりする。

わたしは1階の一番奥にあるドアの前に立つと、須藤多恵子(すどう たえこ) 二宮佐緒梨(にのみや さおり)という、並べて掛けられた表札にチラリと目をやった。
須藤多恵子は、わたしのお義母さんの名前。
二宮佐緒梨は、当然わたし。
でもわたしは、お義母さんの籍にも入れてもらえない。

昔、恐る恐る訊いたことがある。
どうして佐緒梨の苗字は違うの? って……

でも、そのときは鼻で笑って答えてもらえなかったけど……

「ただいま……」

鍵を差し込みドアをひらく。
返事のない部屋に上がり、わたしは肩に食い込んだ通学カバンを床に投げ出した。
そのままキッチンへ向かい、冷蔵庫からコーラを取り出すとコップに注いで一気に飲み干した。

寒くて心はもっと冷え切っているのに、身体だけが熱くて喉もカラカラに渇いて……
わたしは、もういっぱい注ぐと、また一気に飲み干した。

そうしたら、急に悲しくなってきた。空しくなってきちゃった。

「ううっ、ぅぅぅぅううぅぅぅッ、ごめん、春樹君……ごめんなさい……ぅぅぅううっ……」

コップを握り締めたまま泣いていた。
溜まっていた涙が堰を切ったように落ちていく。
空になったガラスのコップに、コーラ味の涙がひと粒ふた粒と降り注いでる。

でも、許して春樹君。
わたしは……佐緒梨は、あなたの想像しているような清純な女の子じゃないの。
あなたの恋人になる資格なんてない女なの。
だって……



佐緒梨はお父さんを知らない。
産んでくれた本当のお母さんも知らない。

気が付けば、このアパートでお義母さんと暮らしていた。
彼女を本当のお母さんだと、自分を信じ込ませて生活していた。

参観日にも運動会にも音楽の発表会にも、一度も来てくれなくて……
家では、お義母さんには絶対服従の生活を送らされて……
彼女の機嫌が悪いと、怒鳴られて、つねられて……

特にお義母さんの折檻は、痛かったし、恥ずかしかったし、惨めだった。
食事が遅いって、反抗的な目をしているって、理由はなんでもよかった。

わたしを四つん這いにさせると、スカートをめくられてパンツを下ろされた。
そして、手のひらをいっぱいに拡げてお尻を叩くの。

びしっ! びしっ! って、乾いた音が部屋中にいつまでも響いて、お尻の皮が真っ赤になるまでぶたれた。
耳を塞ぎたくなるようなお義母さんのお母さんじゃない言葉を聞きながら、床に付けた両手をグーにして耐え続けた。

モノサシでお尻を叩かれることもあった。

月に一度お義母さんの元に現れる、住田っていう怖い男の人がいる。
その男の人が帰った後の機嫌は特に悪かった。

四つん這いになって突き出したお尻を、何度も何度も、モノサシが折れるくらい力いっぱい叩かれるの。

びしっ! じゃなくて、風を切るようなビュッて音がして、パシッ! て、甲高くて乾いた音と共にお尻の皮が裂けそうな痛みが走るの。
それって、手のひらと比べ物にならないくらい痛い。
打たれた跡が火傷したように熱くてヒリヒリして、しばらくの間は、座布団の上にも座れないくらいだから。

そして、その折檻は、中学生になっても初潮が始まって大人の仲間入りしても、そんなの関係ないって感じで続いた。
終わったのは、わたしが今のお仕事を始めるようになってから。

「お前は私の娘じゃない!
私はお前の母親なんかじゃない!」って言葉、今でも耳にこびりついて離れてくれない。

お義母さん。わたしを育てるために、男の人に身体を売るお仕事をしていたからかな?
それなのに、元締めだって名乗る住田って男の人に、せっかく稼いだお金を取り上げられていたからかな?

でも、お義母さんの折檻だけならまだ良かった。
わたしは、一生に一度のかけがえのないモノまで奪われたんだから。

そう、高校の入学したその夜、わたしはバージンを失くしちゃった。
その元締めだって名乗る住田に、無理矢理レイプ同然のやり方で……

お仕事でお義母さんがいないのに……
だから、今夜は帰ってくださいって、お願いしたのに……

勝手に部屋へ上がりこんできた住田は、畳の上にわたしを押し倒すと、強引にくちびるを押し付けてきた。
舌を差し込んできて、気持ち悪い唾液を流し込まれて、羽交い絞めにされたわたしから引き裂くようにして着ている物を剥ぎ取っていく。

泣いたって、叫んだって、手足をバタつかせたって許してくれない。
血走った目玉で睨みつけると、口の中が血の香りでいっぱいになるまでほっぺたを叩かれた。
頭がクラクラして、抵抗したら殺される! って、本気で思って……

そうしたら、急に優しい顔をしながら頭を撫でられて、ニヤッて笑って……
おっぱいを揉みながら「いくぞっ!」って、小さくつぶやいて……

わたしは、獣のような声で絶叫していた。

下腹部に経験したことのない激痛がはしったから……
佐緒梨の大切な処に、硬い肉の棒が突き刺さっていたから……

わたし……乱暴されている!
佐緒梨の処女膜、破られちゃった?!

そして、その後のことはなにも覚えていないの。
きっと、ものすごく痛かったんだと思う。
きっと、ものすごく怖くて悲しくて、佐緒梨の心が粉々に砕かれそうだったんだと思う。

気が付いたら男はいなかった。
わたしはお布団に寝かされていて、横にお義母さんが座っていて、こっちを見て寂しそうに笑って……

結局わたしは、ショックで学校を休んでいた。

せっかく高校生活が始まったのに……
中学校を卒業したら働こうと考えていたわたしに、お義母さんが『高校くらい通わさないと、私が恥をかく』とか言って、受験させてくれたのに……

誰にも会いたくなくて、誰の声も聞きたくなくて、猫の足音にまで怯えながら発狂しそうになる自分を抑え込んでいた。

毎日が地獄だった。
まぶたを閉じたらあの男が襲い掛かってきて、眠るのも怖かった。

ただ救いだったのは、お義母さんが急に優しくなったこと。
ヒステリーのように怒らないし、叩かれないし、逆に励ましてくれて、早く登校するように促してくれて……

1週間経って、わたしは高校へ行くことができた。
クラスメイトの好奇な視線に晒されて、その中で春樹君だけが初対面なのに温かい眼差しで見つめてくれて……

いろんなことがあって、いろんなことを考えて……
それでもなんだか吹っ切れた気持ちになれて……

わたしは、軽い足取りでアパートへと向かった。
早く佐緒梨の明るい笑顔をお義母さんに見せたかった。

「ただいまぁ」って……

でも……「お帰り、佐緒梨」って、顔を見せたお義母さんは、なぜかな? 鬼に変身していた。

そして、その日の夜から佐緒梨の人には言えない恥ずかしいお仕事が始まっちゃった。



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ボディーチェック














 








(7)


12月 21日 金曜日 午後3時   二宮 佐緒梨



「あっ! もうこんな時間……いけない!」

壁に掛けてある時計が午後3時を指している。

わたしは、テーブルに突っ伏していた身体を起こすと、頭の重みでしびれた両手を振った。
そして、引き戸1枚で隔たれている四畳半の部屋へと慌てて向かった。

急がないとお義母さんが帰ってきちゃう。
それまでに今日の日課を片付けないと……!

ここは、ふた間しかない部屋のうち、お義母さんとわたしが寝室に使っている部屋。
わたしは、隣の6畳間を遮断するように襖を閉めると窓のカーテンも引いた。
そして、指を急かせて制服を脱いでいく。

真っ赤なスカーフを解いて紺色のブレザーの上着を頭から抜き取った。
続けて、スカートを足元に落とした。

ブラジャーとパンツだけの姿になって、部屋の隅っこに置いてある鏡台に顔を向ける。
向けながら、両手を背中に回してブラジャーを外した。
目の下でプルンプルンっておっぱいが揺れるのを確認しながら、腰のサイドに両腕を添える。
ちょっとだけ溜息を吐いて、もう一回、閉じられた襖に目をやって……
パンツをひと息に下ろしていく。
スルスルって肌を滑らせながら、輪っかみたいになった佐緒梨のパンツを足首から抜き取った。

あっという間に裸になったわたし。
まだ明るいのに……
今からシャワーを浴びるわけでも湯船に浸かるわけでもないのに……

「ふーぅ。さっさと済ませよう……」

わたしは、鏡の前で『気を付け』のポーズをとる。
背筋を正して、ぴんと伸ばした指先を腰の横に押し当てて、ひざ小僧を揃えて、ほんの少しお肉の気になる太ももを隙間なく閉じ合わせて……
佐緒梨の視線を上から下へと移動させる。

バスト78のおっぱいに、『まだまだこれからだよ』ってエールを送って、くびれたウエストと縦長の可愛いおへそに、うんうんってうなづいて、そこから10㎝下った処でストップさせる。
目を凝らしてじっと見つめる。

中学1年生の頃から生え始めた割には、ハイレグ水着でも未処理で充分なアンダーヘアー。
太ももから股の付け根を利用しての『Y』の字。
その中心を縦に走る、幼女のような肉の切れ込み。

全体をさっと見て、個別のパーツをチェックして、つぶやいた。
「うん、正面は異常なし」って……

その後も、横向きになって顔だけ鏡に向けて、後ろ向きにお尻と背中を映しながら上体を反らせて、やっぱり顔だけ鏡に向けて……
足先からお尻のお肉も背中も横顔まで、念入りにチェックするの。

両手をお尻に回して、尻たぶを持ち上げながら割れ目をしっかりひらいて、赤いお肉のやすぼまった佐緒梨の汚い穴までじっと見つめるの。

もう慣れっこだけど、慣れっこになったつもりだけど、やっぱり恥ずかしい。
佐緒梨って女の子なのに、こんなポーズを鏡の前でするなんて惨めすぎる。

でも、もっともっと点検しないと……

わたしは、鏡の前でお尻を床にひっつけると、折り曲げたひざを抱えるようにしながら左右にひらいた。
無防備に晒される佐緒梨のあそこを鏡に映し出した。

心臓が壊れそうなくらいバクバクと鳴いている。
真っ直ぐ見ているはずなのに肩が震えて、わたしの両目も手振れ防止にして欲しいくらい。

『M』の字の中心で、縦長の楕円形にぷっくり膨らんだ佐緒梨の大陰唇。
わたしの肌は雪のように真っ白なのに、そこだけはなんとなく黒ずんでいて、石鹸で擦ったって一緒。
他の女の子も気にしているのかな?
そんなの絶対に聞くわけにはいかないけど……

そして、楕円形のお肉の中心で舌先のように割れ目から飛び出している佐緒梨の小陰唇。
ここもよく点検しないと……

わたしは、両手の人差し指と中指を使って縦に走る亀裂をひらいていった。
ピンク色のヒダの中まで、その奥にある膣の入り口、ついでに盛り上がった肉の突起、クリトリスまで……

顔を背けたくなるのを我慢して、粘膜の色から形状まで全部、変化がないか観察していくの。

この身体は、佐緒梨の大切な商売道具だから……
お客様に失礼があったらいけないから……

あの日、お義母さんに命じられて始めたわたしの日課。
その日から欠かすことなく毎日自分の身体を観察している。
男の人を悦ばせるために……
満足させてお金をもらうために……

「後は、ここよね」

わたしは低くつぶやくと、人差し指と中指を口に含んだ。
舌を使って念入りに唾液をまぶすと、2本揃えて膣の中へと沈めていく。

「あああんっ、ふぅッ……んんんっ……」

背中を走るいやらしい感覚。
呼吸を調節しながら、あそこが期待しないようにそぉっと……

指を奥まで挿入したら、デリケートな壁に指の腹を押し当てる。
手前に引きながら、赤ちゃんの通り道に異常がないか? 点検する。

感じちゃだめ、佐緒梨! これはお仕事をする準備なの。
今夜もまた、お客様のおじさんにいっぱいエッチなことをされるんだから、それまで気持ちいいは我慢しないと……

狭い通り道が段々広くなって、でも入り口付近の感じるポイントをちょっとだけご褒美よって、擦ってあげて……

「ああぁぁっ、気持ちいいぃぃっ……はんんうぅぅ……」

あーぁ。エッチな声、上げちゃった。



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一足早いクリスマスプレゼント その1























(8)


12月 23日 日曜日 午後11時   二宮 佐緒梨



「今夜は『マッチ売りの少女の部屋』をご利用くださいまして、誠にありがとうございます。
気が向きましたら、またのご来店をお待ちしております♪♪」

わたしは閉じていくドアに向かって頭を下げていた。
そして、それを見届けると壁に寄り掛かって肩で荒い息を繰り返した。

今夜は、さっきのお客さんで10人目だったかな? 12人目だったかな?
もう、数える気にもなれない。

午後7時頃から始めて、今は11時すぎ。
さすがに限界。身体もクタクタ。
そろそろ店じまいして欲しい。

いくら、あそこをお見せして色んな物で刺激されるだけといったって、辛いよ。
佐緒梨は、4時間以上、強制的にオナーさせられているのと同じなんだから。

今夜だって何回イッちゃったんだろう。
だいたい、ふたりにひとりのペースだから、5回、6回……って……もういや!
そんなの数えたくなんかないよ。

でも、さっきのおじさんはしつこかったなぁ。
2回も時間を延長して、指と舌とおまけにピンクローターまで……
ほとんどフルコースって感じで……

それでなくても佐緒梨。
身体の芯が熱くて疼いているのに、あそこをネチネチ責められて大きくイッちゃって、その後、気づかれないようにもう一回、小さくイッちゃったんだから。
いったい、お義母さんにいくら払ったのかしら?
もっと大切な人を愛してあげればいいのに……

♪♪……♪♪……

「あ、メールだ……」

わたしは、部屋の隅っこに置いてあるバッグからスマホを取り出すと、画面を覗いた。

『佐緒梨、住田が来ているの。
いつもの感じでいいから、相手してあげて……』

住田……

読み終えた途端、目の前が暗くなってくる。
あの殺気だった恐ろしい目が脳裡に浮かんで、毛穴という毛穴から冷たい汗が滲み出してくる。

「そんなぁ……今からなんて……」

でも、泣き言なんて言ってられない。
あの男の機嫌を損ねたら、どんな恐ろしいことをされるか……
それに、そろそろ決めないといけないのかも……そのために佐緒梨は……

微かに聞こえる、足を引きずったようなだらしない靴の音。

わたしは、腰に巻き付いたロングスカートを解くと、自分の液で汚れたあそこを急いで清めた。
そして、ブラジャーも取り去り全裸のまま部屋の中央に立つ。

やがてドアが嫌な音を立てながらひらいて、サリーの前に住田という男が立っていた。

「い、いらっしゃいませ。住田様。
お待ちしておりました……」

「よぉ、元気にしてたか? 佐緒梨」

男は、馴れ馴れしい態度でわたしの名前を呼んだ。
服を全て脱ぎ去った生まれたままの姿の佐緒梨を見ても、眉ひとつ動かさない。

中肉中背。平凡な身体付きだけど、猛禽類のような鋭い目付きにパンチパーマ。
細くて三角形のような銀縁メガネに、着崩した高級ブランドスーツ。

どこからどう見ても、刑事ドラマに悪役で登場する怖い人。
実際、わたしたち女の人を、金を稼ぐための道具のようにしか考えていない最低の人間だけど……

「住田様、今夜はどうされます?」

わたしは、さり気なく両腕を前で交差させながら大切な処を隠していた。
そして、そのまま上目遣いに住田の顔色を窺った。

「おぅ、そうだな……んんッ! なんだぁっ!
……あのハバァッ! ベッドを入れておけと言っておいただろうがッ!」

突然、住田が唾を飛ばしながら喚いた。

「ひ、ひいぃッ!」

「こんな硬い床の上で、女が抱けるわけないだろうがぁッ!」

ドンッ!

こんどは、握り締めた拳で、穴が開くくらいの勢いで壁を殴りつけた。

「あ、ああ……?!」

わたしの顔から血の気が引いていく。
あまりにもの恐怖に心臓が凍りつきそうになる。

ベッド……? それって、なんのこと?
お義母さん。佐緒梨、なにも聞いていないよ。

「仕方ない。佐緒梨、まずはいつものようにおしゃぶりからだ!」

「は、はい。住田……様」

わたしは苛立つ男の前に慌ててひざまづくと、ズボンのファスナーを引き、指をそっと差し入れた。
震えそうになるわたしを叱りつけながら、下着の中に潜む肉の棒を優しく包むと慎重に引き出していく。

「そうだ。俺様のち○ぽはデリケートだからな、丁寧に扱ってくれよ」

男の言葉に曖昧にうなづきながら、鼻先にぶら下がっている赤黒い肉の棒に右手の指を添える。
そして、根元を黒々とした繁みに覆われた部分までその指をスライドさせると、左手の指で丸く膨らんだ先端部分を持ち上げた。

「し、失礼……します……」

くちびるをひらくと、前歯を当てないように注意しながら喉の奥まで頬張った。
生暖かい肉の棒に舌を絡めながら、余計な空気が入らないようにくちびるをすぼめた。

「んんむぅ、ちゅぷっ、ちゅぷっ……」

男の身体から勢いよく血液が流れ込んでくる。
生暖かかった肉の棒がどんどん熱くなって、硬い凶器に変身する。

忘れるわけがない。
佐緒梨の大切なバージンを奪ったモノなのに……
佐緒梨のくちびるを口の中を今まで何度も苛められたのに……

でも佐緒梨は……

「んんんぷぅ、れろっ、れろっ……どぉぅ……ですかぁ? ちゅっぱっ、きもぉちいいですかぁ?」

頭を前後させながら舐め続けている。
ビクンッビクンッ! って、ほっぺたのお肉を内から撫でられながら、おいしそうな顔を作って頬張っている。

そうよ。この棒は、口元をベチャベチャにして舐めてるアイスキャンディなの。
熱くて火傷しそうで、いつまで経っても消滅してくれないけど、こうして舌とくちびるを使えば白いミルクが溢れてくるの。

でも、どうしてかな?
舐めていると、哀しくなって気持ち悪くなって、ものすごく惨めになってくるの。

だから佐緒梨。
早く出しちゃおうよ。
本当はわたし。アイスキャンディ苦手だから。
ううん、大っ嫌いだから……



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一足早いクリスマスプレゼント その2























(9)


12月 23日 日曜日 午後11時30分   二宮 佐緒梨



「はあぁー、いいぞぉ、佐緒梨。ずいぶんと上手くなったじゃねぇか。
ここまでフェラができれば、ある意味怖いもんなしだな。
立ちんぼだけで、充分食っていけるぜ。ふははははっ……
……さあ、もっと裏筋を舐めながら、頭を激しく振ってみな」

「ぴちゃ、ちゅぷ……はぁい……んんむぅ、れろっ、れろっ、れろっ……」

「ああぁ、そうだ……もっとだぁ……」

わたしは、住田に命じられるままに上体を揺らせながら舌を使った。
今までさんざん教え込まれた男の人の感じる処を、エラのように張った裏側を、舌先でマッサージするように舐め続けた。

両手で輪っかのように握った根元部分が、ひと回り大きくなっている。
唾液まみれのくちびるが、鉄のように硬くなった肉の棒を何度も往復してる。

「ちゅぅっ、ちゅぷ、ちゅぷ……んんぐッ……んんむぅぅぅぐぅ……」

目の前に迫るモジャモジャの陰毛が鼻の頭にひっついた。
喉の奥に突き刺さる硬い肉に、お腹の中身が逆流しそうになる。

でも、あと少し……
もう少しの辛抱だから、佐緒梨……

チラリと住田を見上げる。
悦に浸っているように両目を閉じている。

わたしは、今よっ! って感じで、あごに力を込めた。
くちびるを限界まですぼめて、首を思いっきり前後させた。

「ううっ、ああっ」って、住田が気持ちよさそうに呻いている。
それを聞きながら、舌の表面を全部使って破裂しそうな先端を包むように舐めあげた。

さあ、弾けて! お願い! ってお祈りした。

「ううぅっ、出すぞっ!」

頭の上から短い言葉が降ってきた。
佐緒梨の指が舌がくちびるが……ピクピクを感じて……?!

どぴゅ、どぴゅっ、ドピューゥゥゥッ、ドクドクドク、ドピューゥゥゥッッッッ!

「んんんっ! んぐぅぅぅっ……んむぅぅっ!! ……ぷはっ、ごくっ、ごくっ、ごくっ……」

口の中が住田の熱い液に侵されていく。
パンパンの先端が勢いよく爆ぜて、ドロドロして苦くて生臭くて、絶対に飲み物じゃないモノがくちびるの端からも溢れてきて……

わたしは、急いで喉を鳴らした。
佐緒梨の唾液と混ぜ合わせて無理矢理食道に流し込んでいく。

絶対に残しちゃいけないの。
あごにも胸元にもおっぱいにも……
佐緒梨の肌は雪のように白いけど、それでも見付かっちゃうから。
全部飲み込まないと、恐ろしいお仕置きが待っているから。

だから、両目にいっぱい嬉し涙を溜めながらおいしそうに飲み干していくの。
住田様、ごちそうさまって、顔をして……


「はあ、はぁ、はあ……うぐぅっ……」

「どうだ、佐緒梨? 俺様の特製ミルクは上手かったか?
ははははっ、ここへ来る前に、たっぷりとホルモン鍋を食ってきたからな」

わたしは、うつむいたまま、込み上げてくる男の精液を必死で飲み下していた。
ほっぺたを涙で汚して、口の周りを唾液でベタベタにして……
耳にしたくない男の話まで聞かされて……

でも、まだ終わらせてくれない。
この男は、こんなことぐらいで満足してくれない。

「……にしても、相変わらず殺風景な部屋だな。ここはよぉ。
ベッドどころか、椅子ひとつ置いていないとはな。
ふふふっ……今夜は、コレでも試してみるか」

住田は、ここへ来るときにぶら下げていた紙袋をガサガサとかき回すと、床を見つめたままのわたしの前に筒状のモノをゴロリと転がした。

「ひぃ、こ、こわい!」

「ふふふっ、なに怯えてるんだ?
バイブは佐緒梨の商売道具だろ?
ただ、ちょっとばかりいつものより、大きいだけじゃないか。
ちょっとだけな……ははははっ」

住田が、わたしの顔を覗き込みながら笑った。
急速に青ざめていく佐緒梨の表情を愉しみながら、床の上に転がったおとなの玩具のスイッチを入れた。

カチッ……
ウイィ―ン、ウイィ―ン、ウイィ―ン、ウイィ―ン……

「む、無理ぃ。こんな大きいの入らない……入らないよぉ」

わたしがお仕事で使わされているバイブより、はるかに長くて太い。
お義母さんが、サリーの穴にはこれくらいがピッタリかも? って、無理矢理手渡されたスケルトンなバイブより、ひと回り? ううん、もっともっと大きくて……
それに全身を醜い瘤で覆われていて……
それなのに、クリトリスまで苛められちゃうのかな?
根元が枝分かれしていて……

こんなの挿入されたら佐緒梨のあそこ壊れちゃうかも?
それに、なによ?!
頭をクルクル回して、いぼいぼの胴体をクネクネさせて……

この人、本気でこれをわたしのあそこに挿れるつもりなの?
これで佐緒梨を感じさせたいの?

「さあ、壁に手を突いて、ケツをこっちに向けるんだ」

住田が低い声で命じた。

始まっちゃった。
今夜も佐緒梨、辱められるんだ。
ほんの少し大きめのおとなの玩具で……
それに、この男には逆らえないの。

わたしは、男の言われるがままに手のひらを壁にひっつけて、お尻を突き出すポーズをとった。
恥ずかしいあそこがよく見えるように、両足もひらいてみせた。

どうせ、隠したって無駄だし……
これまでも嫌というほど覗かれたし、弄られたし、舐められたし、玩具で遊ばれたし……
不思議とセックスは、初めてのとき以来されていないけど、でも……
それ以上にひどいこと、いっぱいされたし……

だから今夜も耐えないと……
佐緒梨、こんなバイブ、怖くないんだから……!

「なんだ、もうビッショリじゃねえか。
お前、俺様のモノをしゃぶりながら感じていたのか?」

「い、いえ……そんなことは……」

男の指摘に、さらけ出した佐緒梨のあそこがブルッと震えた。
せっかくひらいた両足が、隙間を閉じさせようとひざを内に寄せる。

気にはなっていた。
太ももをひらいたとき、ヌチャッて音がしてあそこが火照っているのに気づいちゃったから。
こんなお仕事を毎日させられて、今夜も3時間以上オナニーさせられたのと一緒で、心の芯まで淫ら色に染まっていたから。

「ふふっ、まあいい。
これだけ濡れていたら、前戯はいらねえな。
一気に挿れさせてもらうぜ。
佐緒梨、気合を入れて踏ん張れよ!」

バイブの硬い先端が大切な処に触れた。
くちゅってエッチな音がして、割れ目の奥へと入ってきた。

ズブッ! ズズズズゥッ! ズズズズゥゥッ! ズブゥッ!!

「はぅぅっ! そ、そんなぁっ! くるしぃぃっ! さけるぅっ! 佐緒梨のあそこぉっ……裂けちゃぅぅっっっ!!」

「ほうら、ほら……どんどん埋まっていくぜぇ。
はははっ、見ろ、おま○このヒダヒダが全部、内側に潜り込んでいやがる。
……辛いか佐緒梨?
辛かったら、お前の継母を恨むんだな」

ズブゥッ! ズリュズリュズリュッ! ズビュゥゥゥゥッッ!!

「ヒ、ヒグゥゥゥゥッッ! ああぁぁっ、こわれるぅぅぅっっ!」



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