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3月 30日 日曜日 午後9時15分 岡本 典子 私は、男の太ももの上にお尻をペタリと落としたまま、うつむいていた。
膣のなかに感じる太い肉の棒の存在。
それを、しっかりと確認しながらも、次の行動へ移せずにいた。
ごめんなさい……博幸。
こんなふしだらな妻を許して下さい。
時間が経つほど、罪悪感が増していく。
男のモノを感じれば感じるほど、それが誰のモノか?
紛れさせた意識が鮮明になっていく。
河添拓也……元恋人……
そして、今の私が絶対に逆らってはいけない人……
「さあ、典子。俺をお前の旦那だと思って、腰を上げ下げするんだ。
息子が気持ち良く射精するまでな。
……ほら、さっさとしないと、お前さんの夢のカケラがどこかへ飛んでいくぞ」
「……はあ……はい……うっ、うううんんッ!」
私は、ベッドについた両ひざを持ち上げると、代わりに足の裏をひっつけた。
そう、膣に河添のモノを挿れたまま、私は、男を跨いだ状態でしゃがんでいた。
これからは、ひざの屈伸だけで男を絶頂に導かないと……
博幸との夜の営みで、たまーに上に跨ったこともあったけれど、私、気持ちいいって叫んでるだけで、あのときは、彼が下から突き上げてくれた。
でも、今は違う。
こんな恥ずかしい姿勢のまま、自分から動かないといけないなんて……
私は再度、河添の胸に両手を乗せ直すと、それを支柱のようにして腰を持ち上げていく。
「はあぁっ、んんんっ……ぬ、抜けちゃうぅぅっ!……」
ズ二ュ、ズニュと卑猥な肉どうしがこすれる音がして……
久々のエッチなゾクゾク感に心が戸惑って……
膣が一気に解放されて、太ももの筋肉がプルプル震えて……
でも、こんなの……きつい……!
エラの張った先端が抜けきらないまま、腰がもう一度落ちていく。
ペシャリと乾いた音がして、お尻がまた太ももにひっつていてる。
前に博幸に教わった。
女の人が男の人の上に跨って、乗馬に似ているから騎常位だって……
女性が恥じらいを浮かべながらセックスするから、男性は興奮するんだって……
でも、この体位は、男女の協力がないと、ひとりだけでは、しんどいだけだよって……
……そうだよね。
だからこの男は、私に騎常位をやらせてるんだ。
私を辱めようとして……
私の苦痛と羞恥に震える顔を堪能しようとして……
ズ二ュッ、ズニュ、ズニュ……ズズズ……
「ううぅぅんんっ、んくぅぅっ……!」
ペシャンッ……
ズ二ュッ、ズニュ、ズニュ……ズズズ……
「ううんん、膣(なか)がこすれて……ああぁぁっ……!」
ペシャンッ……
私は、男に跨ったまま、ひざの屈伸を繰り返していた。
ジャンプを繰り返すカエルのように、両手を揃えたまま両足を恥ずかしいくらいにひらいて……
大切な処に男のモノを咥え込んだまま、お尻を何度も上げ下げして……
男を気持ち良く導いて……
こんな体位辛くて恥ずかしいだけなのに……
こんなセックスで感じたくないのに……
典子の心にセックスの火が灯り始めてる。
膣の壁からジワジワって、エッチなお汁が滲み出してる。
「やっとこなれてきたようだな。典子。
どうだ? 久しぶりのセックスは……?
男のモノの味は……?」
「い、いやぁ……そぉ、そんな言い方……しないでぇ……はぁ、はあ、んふぅぅ」
私は河添の的を得た指摘に、無意識に頭を振っていた。
淫らな典子を演じる方が得なのに楽なのに……
なぜって? 感じで、素直じゃない私が否定する。
ぬちゃっ、じゅちゃっ、ぬちゃっ、じゅちゃっ……
「あんぅぅっ……くぅぅぅっ」
淫らな肉をこする音まで変化してる。
お尻が落ちるたびに、エッチなお汁が、シリンダーから押し出されるように溢れてる。
太ももの筋肉はパンパンに張って泣いているのに、それなのに、どうしてよ!
典子の性欲が風船のようにふくらんできちゃう。
「はあぁ、はああんっ……だぁ、だめぇ、腰の動きがとまらないぃっ、とまらないのぉっ!」
鼻に抜けるようなソプラノボイスで、さらにエッチな声を出そうとくちびるを大きくひらいて……
もう、感じる演技なんかじゃない。
本当に、気持ちいい声で叫んでた。
典子の大切な人の面影が霞んでいく。
心の中をどうしようもない快感が渦巻き始めてる。
「ほら、もっと感じろ!
俺の息子を典子の膣で締め付けてみろ!
忘れるんだ。忘れろ! なにもかも忘れてしまえ!」
ぬちゃぁ、じゅちゃっ、ぬちゃぁ、じゅちゃぁ……
「いぃぃ、いやぁ……そ、それだけは……いやぁぁ……」
寝転んでいるだけの河添が叫んでる。
典子のどこかへ飛んで行っちゃいそうな目を、黒い瞳が追い掛けている。
そこに、さっきまで覆っていたフィルターは消えていた。
見えなかった瞳の奥底まで晒け出してる。
これが……彼の心?
これが……河添の本心……なのよね?
私の見えないベールが、ビリビリと音を立てて裂け始めてる。
だから、私も叫び返していた。
ぼやける記憶を守りたくて……
河添に純な典子を見せたくなって……
そうしたら……なぜなのかな? 涙が溢れてきて……
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