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12月 24日 日曜日 午後8時 野村 春樹 「いらしゃいま……せ?! あぁっ、えぇっ! の、野村……くん?」
「に、二宮……さん?!」
目の前に佐緒梨さんが立っている。
何も無いガランとした部屋で、全然似合っていないロングスカートを履いて、それなのに上半身はブラジャーだけのちぐはぐとした格好で……
「ふたりとも、なに固まっているんだい。
さあ、早くしないと時間だけ過ぎちまうよ」
「あ、あのぉ……これは……?」
「坊やは黙ってな。
ほら、サリー。なにぼーっとしてるんだい。
お代はたんまりとこの坊やから頂いているんだ。
たっぷりと、お前の身体を使ってサービスしてやりな」
「えっ! あ、あの僕……そんなつもりは……それに……」
「黙れって言ってるだろ!!
聞き分けのない坊やだね」
どすの効いた声が部屋中に響き渡った。
「だから時間がないんだよ。今夜はね……
サリー、後は頼んだよ。
その坊やと乳繰り合って、これからは自分のことは自分で決めるんだ。
いいね! 30分経ったら、また来るよ」
その人は、佐緒梨さんを見つめながら早口に捲くし立てると、部屋を出ていった。
「あ、あのさぁ。二宮さ……?!」
「ごめんなさい。少しの間だけ目をつぶって……お願い」
今度は、佐緒梨さんが僕を見ている。
思い詰めた目をして、学校でも見せたことのない大人の表情で……
それなのに、顔を赤らめながら僕の目をじっと見つめている。
「う、うん……わかった……」
言われるままに目を閉じた。
真っ暗なまぶたの裏で、さっきの女の人の目と佐緒梨さんの目が重なって滲んでひとつになっていく。
カチッ……パサッ……シューッ、スルスルスル……
「い、いいよ。目を開けても……」
「うん……って、えっ、えぇぇぇッ?! 佐緒梨さん……どうして……?
目の前には、さっきと同じ場所に佐緒梨さんが立っていた。
可愛らしいブラジャーも野暮ったいスカートも全て床に脱ぎ捨てて、両手を横に引っ付けて立っている。
真っ白な肌を全部晒した佐緒梨さんが、強張った顔で僕に笑い掛けている。
「ど、どうかな? わたしの身体……綺麗かな?」
「あ、ああっ……う、うん。きれい……だよ」
僕は、曖昧に何度も何度もうなづいていた。
目を開けたら全裸の佐緒梨さんが立っていて……
おっぱいも乳首もおへそも、僕よりもはるかに薄い下の毛に、その下からちょろって顔を覗かせている割れ目まで……
生まれて初めて見る本物の女の人の裸。
まさかそれが、佐緒梨さんだなんて……
もう、訳なんかわからなくたって構わない。
もう、夢だって構うもんか!
どんなに揺すられたって、絶対に起きないから!
「ふふっ、じゃあ今度は野村君の番。
じっとしててね。わたしが脱がせてあげる」
「あ……ああ……」
その言葉が魔法の呪文だったのか、僕の身体は金縛りに合ったように固まってしまった。
彼女の細い指が、着ているモノを上から順番に脱がせていく。
続けてズボンのベルトを緩められ、フロントのファスナーが下された。
指の背中が肌を刺激しながら足首へと引き下ろされていく。
「あ、あの、下着は……その……」
「だ~め。わたしに全部任せて……」
僕の前でひざ立ちになった佐緒梨さんが悪戯っぽく笑った。
白い肌をピンク色に染めて、声を震わせながら……
スルッ……スススゥーッ……
「おっきい……野村君のモノすごく大きくて、硬くなってる」
「そ、そんなに見ないでよ。恥ずかしいよ」
彼女の視線を感じた僕の息子が、気を良くしてひとまわり大きく膨らんだ。
そんなバカ息子に腹が立って情けなくて、両手が顔を覆い隠そうとする。
「すーぅっ……はあーっ……すーぅっ……はあーっ……」
「う……うぅっ……」
僕は呻き声を上げた。
彼女の何度も繰り返す深呼吸が、僕の息子を暴発させようとする。
そして……
「野村君……ううん、春樹君。
お願い!……さ、佐緒梨と……せ、セ、セックスして……抱いて!……ね、お願い……」
佐緒梨さんはそう言うと、堅そうな床の上に仰向けに寝転がった。
寝転がったまま折り曲げた両ひざを小さく開いては閉じを繰り返して、「ああぁっ」って声の混じった溜息を洩らして……
くちびるだけを動かした。
僕の耳にも佐緒梨さんにも聞こえない秘密の言葉で……
『みないで……』と……
その後、今度は「春樹君……見て……佐緒梨のあそこ……」って、はっきりとした言葉で……
ゴクッ……ごくっ……
口の中に溜まる唾液を喉へと押し流した。
お腹の底から湧き上がる熱いモノを必死で抑え込みながら、僕は見ていた。
佐緒梨さんを……
佐緒梨さんの大切な処を……
天井の一点を見つめたまま、真っ白な両足をМの字にひらいた中心の楕円形の性器を……
キラッて光って、真っ赤な割れ目から覗いているヒダヒダを……
その上の尖った肉の突起を……
「さ、さあ……早く……しよ……」
佐緒梨さんが僕を呼ぶように両手を持ち上げた。
かすれた声で甘い声をつくって、固まったほっぺたを無理矢理ほぐして笑い掛けて……
「あ、ああ、佐緒梨さん……佐緒梨っ!」
「うれしい♪♪ 春樹君……はるき……」
くちびる同士が触れ合っていた。
お互いの舌が絡み合っていた。
ぷにゅぷにゅとした佐緒梨のくちびるが可愛くて、一生懸命、僕の舌に這わせる佐緒梨の舌が健気で……
流れ込む唾液がフルーツのような香りがして……
くちびるを吸いながら、僕は佐緒梨を見ていた。
佐緒梨も僕を見てくれた。
「ぷはっ、はあ……はるき、佐緒梨のおっぱいも舐めて……」
佐緒梨が身体をずらしてくれた。
両腕を床についた僕の下で、ちょっと小振りな半円球のボールがふたつ並んで姿を現している。
ちゅぷぅ、れろ、れろ、れろっ……
「ああはぁ、んんっ、はるきの舌がおっぱいのお肉に……ふはぁ、気持ちイイ……いいよぉ」
女の子の感じる声が頭の上から聞こえた。
佐緒梨の激しくなる胸の鼓動が、ひっついた肌を通して伝わってくる。
柔らかいお肉に吸い付きながら、舌で硬くなった乳首を刺激した。
口から溢れる唾液を乳房にまぶしながら、赤ちゃんがお母さんのおっぱいを吸うように……
乳首から甘いミルクが流れ出すと信じて、舌先で先端を転がした。
前歯をそっと、根元にあてがってみた。
「あっ! ああぁっ……だ、だめぇ、そんな刺激ぃ……変になっちゃうぅっ!」
佐緒梨の細い肩がビクビクしている。
ひらいた太ももが僕の腰を左右から挟んでムズムズと揺すった。
床の上でだらりとさせていた両手が僕の頭を撫でて首筋を撫でて、感じる声と連動するように指先を肌に食い込ませた。
「はんむぅっ、ぐしゅ、れろ……佐緒梨ぃ、気持ちいい?」
「ひあぁぁっ、ダメ……乳首ぃ噛まないでぇっ……はぁんっ」
舌が乳房を突くたびに、佐緒梨は鼻に掛った甘い声を上げた。
前歯が乳首を左右に揺らせると、肩に回した佐緒梨の両手が僕の顔をふくらみに埋めた。
もっと、刺激して!
もっと感じさせて!
なにもかも忘れさせて!
佐緒梨の心の声を聞いたような気がして、僕は舐め続けた。
いつまでも噛み続けた。
じゅる、じゅる……れろ、れろ、れろ……
「ああぁ、ふぁあんんっ……は、はるきぃ、おねがぃ……い、挿れて……」
そうしたら、小さな声でお願いされた。
感じる声に紛れ込ませるように、そこだけ細い声で佐緒梨はささやいていた。
「はあぁっ、は、早く……佐緒梨……もういいから……準備できてるから……」
今度は、声を振り絞るようにしてささやいてきた。
「んむぷっ、さ、佐緒梨? いいの? してもいいの?」
「はあ、はぁ……うん、いいよ。
わたし……初めてじゃないから……
だから……気にしないで。佐緒梨に、はるきの……お、おち○○んをいれてぇ」
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