(12) 「それじゃあ、律子さん。最後の締めのポーズも、ささっと片付けちゃいましょうか?」
「はい、お願いしますわ。アシスタントさん」
あたしはお父さんに任せて♪ って感じでうなづいて、律子さんにも同じ顔でうなづいた。
「では、視線をカメラに向けたまましゃがんで、お尻を床にひっつけちゃってください。
そのまま、だらしなく両足をひらいて……そう、そのままですよ」
カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……!!
律子さんの身体すべてが惜しげもなく晒されている。
左右均等じゃない開き方をした股の付け根で、黒々と繁っているのに整えられた陰毛も……
30代後半には絶対に見えない、きれいで清楚な感じさえする縦長の恥肉の丘も……
中心のスジからひらいて顔を覗かせたサーモンピンクの小陰唇の扉も……
その上で、ちょっぴり頭を突き出している感じるお豆も……
愛する旦那様のため……
すべては大切な家族のキズナを守りきるため……
「律子さん、ものすごくいやらしいですよ。
女のあたしが見てても、卑猥でエッチでゾクゾクしちゃいます♪」
「そ、そう。ありがとう。ちょっと自信を持ってもいいのかしら?」
彼女と会って初めて目にする、小悪魔のような笑顔。
それなのに、カメラを見つめる瞳はしっとり濡れているようで艶めかしい。
これなら絶対に大丈夫。
あたしは軽く深呼吸すると、くちびるをひらいた。
「ええ、もちろん。ですから、トドメの悩殺ポーズもいっちゃいましょうか?
……ちょっと恥ずかしいですけど、両手の指であそこを中までひらいちゃってください♪」
指示を出し終えて、あたしは無意識に腰をくねらせた。
我慢できずに両足をひらいていた。
だって、見ているだけであそこが疼いて切ないの。
太ももをモジモジってよじり合わせたいの。
今すぐにでもベッドの上で激しくオナニーをしたいの。
だから、熱く火照った股間を冷ましたくて……ごまかしたくて……
ピンクのステージ上では、律子さんのしなやかな指によって小陰唇の扉がひらかれていく。
恥ずかしいお肉が、ヒダヒダの奥まで丸見えにされていく。
「ああ、あぁぁ……私……とうとう、こんなことまで……」
律子さんは何も見てはいない。
黒いレンズを見てはいるけど……
その背後にいるお父さんにもあたしにも顔は向けているけど……向いているだけ。
その先にあるのは……そう。律子さんの大切な人。
その人のためなら……
その人と幸せを築くためなら……
女は、信じられないくらいに強く強くなれるの!
腰をブルブルさせながら、あたしは思った。自然に感じた。
カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……!!
カメラなんて壊れたって構わない。
そんな勢いでお父さんはシャッターを押し続けている。
「ああ、あなたぁ、見てぇ……律子のはしたないおま○こを見てぇ」
熱に浮かされたようにとろりとした瞳で、律子さんが口走ったのは言ってはならない単語。
でも、そんなことどうだっていいじゃない。
律子さん、気持ちいいんでしょう?
カメラの前で感じているんでしょう?
小陰唇のヒダヒダを三角形になるくらい引っ張って、恥ずかしいお肉から透明なお汁が溢れてきて……
愛されているように太ももの筋肉をピクピクさせて、床の上で腰を揺らせてクネクネさせて……
「あ、ううぅん……律子さん。すごくエッチ……だよ。んんくぅっ」
あたしだってそうだよ。
内腿をつつーって、エッチなお汁が垂れてきてるもの。
きっと雪音のあそこ、びちょびちょだもん。
うん、気持ちいいよ。とってもエッチな気分。
あたし、こんなに感じちゃったの初めて!
それも指を使わないで、ただ見てるだけでなんて……
「はい! OK!」
そんな淫靡な世界を断ち切るように、お父さんの声が響いた。
同時に、律子さんの身体から魂が抜け出したように上体が崩れ落ちる。
「だ、大丈夫ですか?!」
慌てて駆け寄ったあたしに、律子さんは力のない声で囁いた。
「申し訳ないけれど、シャワーを借りても構わないかしら?」
「もちろん♪ ……あ、そうだ!
ふたりで流しっこしましょうよ。女どおしで……♪」
あたしはすぐに答えていた。
ものすごく年上なのに、ものすごく親近感が湧いて……
ああ、そうだった。
ピンクの傀儡子さん。絶対に覗いちゃだめだよ。
それと、後片付けお願いね♪♪
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