第3話
今までなら、ありさに一喝されたらすぐに沈黙していた男が、今回は、
怯むどころか逆にどすの利いた声でありさを威嚇してきた。
前方の男に気を取られている間に、二の矢とばかりに後方から別の男の
手が伸びた。
不意を食らってたちまち羽交い絞めにされてしまったありさ。
これでは得意の拳法も使えない。
「何すんだよ~!妙なことをしたら承知しないよ~!」
ありさは振り返って、後方の男を睨みつけた。
「ふん、生意気言うんじゃねえよ、このアマが~!」
とその時、突如、布を引き裂く音が響いた。
(ビリビリビリ~~~ッ!)
今度は前方の男が隙を奪い、ありさがその日着ていた紺色のカットソー
の裾からナイフをこじ入れ上に向かって切り裂いたのだった。
「きゃぁ~~~!」
カットソーは見るも無残に中央で切り裂かれ、裂けめからふくよかな乳
房がポロンと飛び出した。
それはまるでたわわに実った果実がはじける様を思わせた。
その瞬間、男たちの歓声と奇声が飛び交った。
「おおっ!ありさ様のオッパイって思ったよりでっけえな~!」
「こりゃすげえ!早く揉ませてくれよ~!」
「何なら俺が吸ってやってやろうか~?」
男たちは思い思いの野卑な言葉をありさに浴びせ掛けた。
ありさは厳しい目でリーダーを睨みつけ激しく抗議した。
「リーダー、いったい私をどうするつもりなの?こんなふざけた送別会
ならいらないわ!」
「ふふ、まあそう言うなって。いくらおまえでも、まさか無傷で『ブル
ースネイク』を脱会しようなんて思ってねえだろうなあ?もしそう思っ
てたならちょっと甘すぎやしねえか?もっぱらおまえの今までの功績を
考えて、あまり酷いことをする気はねえけどよ~。でもさ、会には会の
掟ってものがあるんだよ。皆の手前もあるしなあ。
で、考えたんだが、ここはリンチなしの穏やかな方法で送別会をしてや
ろうと思ってなあ。ありさ、おまえ自身も感づいていると思うが、男ど
もの中には『ありさ命』ってぐらいおまえにぞっこんってヤツも多くて
なあ。やつらも寂しがっているだろうから、せめて最後ぐらいはいい思
いをさせてやって欲しいんだよな~。ふふふ・・・頭のいいおまえなら
すぐに意味が飲み込めたよな?えぇ?ありさ様よ」
「くっ、下衆なヤロウめぇ・・・」
「ふふふ、もしも嫌だって言うんなら、それなりの落とし前をつけさせ
てもらうことになるがそれでもいいのか?その形の良いオッパイをジャ
ックナイフで切り裂くことになるが・・・、構わないか?」
ありさは悔しそうに唇を震わせて、リーダーを睨みつけた。
「ふん、見損なったよ!このスケベリーダーが!!」
「ありさ!!てめえ、リーダーに向かって何てことを言うんだ~!!」
リーダーの横に立っていたサブリーダーらしき男がありさに殴りかかろう
とした。 だがリーダーは片手を上げ無言で男を制した。
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