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放課後の憂鬱  序章 眼覚め(2)



  
                                          


【序章 (2)】



「そ、そんなことないよぉ、みんな気軽に話してくれればいいのに・・」
そっか、ごめんごめん。あっ俺、3組の吉田です。映研なんだ。」
「ふーん。そうなんだぁ。別のクラスだね。見たことないと思った。
あっ、2組の前田です。よろしく」

吉田は邪気のない笑顔で続けた。

「こちらこそ、よろしくね。でさぁ、藍ちゃん、映画とかでてるでしょ?」
「・・うん。」

藍は学校では仕事の話はあまりしたくなかった。が、しょうがないか、と思った。

「いまさぁ、今度の文化祭に出す映画撮ってるんだけど、藍ちゃんにいろいろ教えてもらえないかな、と思ってさ。」
「そんなぁ、教えることなんかないよぉ!」
「そんな事言わないで一度見に来てよ。頼むよ!」

「・・うん、わかった。」
「ほんと!? 絶対だよ! 約束な!」
「うん。今日の放課後は仕事ないから、今日でいい?」
「OK! やったぁ! 放課後、部室でね。絶対来てよね!?」
「わかった。行く。」

吉田は喜びながら帰っていった。
藍もなんとなく嬉しかった。今までの憂鬱がうそのように消えてゆき、放課後が待ち遠しかった。

*---

放課後。
藍は映画研究会の部室を訪ねた。

「・・・こんにちは」

藍は恐る恐る部室のドアをあけ、小声で挨拶した。
部員は男子4名、女子2名で昼休みに来た吉田もそこにいた。

「前田藍じゃん、ほんとに来てくれたよ。」
「なっ! 来てくれただろ?」

吉田は鼻高々にそう言った。

「部長の高科です。映研にようこそ!」
部長の高科がそう切り出した。

「前田藍です。よろしく・・」
藍もにこやかに挨拶した。

「こちらこそ、よろしく」 と部員たちは代わる代わる挨拶した。

「さて、はじめよっか。」
高科がそう言うと部員たちがそれぞれ準備をはじめ出した。

「どんな映画撮ってるんですか?」
藍は高科にそう質問すると、高科が答えた。

「昭和初期の戦争時代に、愛を全うするために一人で戦った女性の話をネ・・・」
「すごいじゃない! 私も参加しようかな!?」
藍は目を輝かせてそう言った。

「そう言ってもらえるとうれしいよ! 主役をどうしようか困ってたんだ!」
「えっ? 主役なんて・・脇役でいいですよ。」
「いや、藍ちゃん主役ならばっちりだ! ぜひやってよ!」

「うーん、わかりました。いいですよ! なんでもやります! わたし。」
「そうこなくっちゃ! 今脚本書いてるから、上がったら早速読んでもらおう!」

藍は久しぶりに楽しかった。「仲間」といっしょにいることに酔っていたのかもしれない。

しかし、これが悪夢の始まりであることを藍が知る由もなかった・・・





※ この作品は、ひとみの内緒話管理人、イネの十四郎様から投稿していただきました。
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