糸を引いて、淫語を口にして 2015/06/24 20:00.00 カテゴリ:悪魔の集う家 【第13話】 「ひうぅっっ! はぁ、はうぅっ……負けない! 負けないからぁっ!」 わたしは前のめりになりかけた手足を踏ん張らせると、お腹に力を込め た。 アソコにも気合いを入れて、クリトリスの根元に絡んだ糸をクイクイと 引いた。 腰を揺するたびに、敏感なお豆が千切れそうになる。 涙腺が決壊して熱いモノが目尻を垂れてるけど、それがどうしたのって 顔で両手を引いた。両足も引いた。 「うはぁっ! お姉ちゃん……止めてよ、もう……諦めてよ」 わたしが引いて、孝太が泣きそうな声を漏らした。 1メートルくらいの距離を置いて、その中間に記されたチョークのライ ンにまで巻き返してみせる。 「あらぁ、ダメじゃない孝太。そんな大きなモノをぶら下げて、遥香の お豆に負けてどうするのよ。あ、そうだ! 綱引きなんだから掛け声を 出しなさいよ。そう、孝太は男の子なんだから、オチ○チンって叫ぶの はどうかしら?」 「ナイスアイデアだ、千津子。さしずめそれだったら、遥香は女だから、 オマ○コでいいな。ほら二人とも聞いただろ、連呼しながら糸を引くん だ!」 お義父さんはそう命じると、ピンと張った糸に指を当てた。 爪の部分を糸に密着させてから勢いよく弾いてみせる。 「ひぃ、ひぐぅっ……お、オマ○コ……オマ○コぉ、オマ○コぉっ!」 「あぁ、あぐぅっ……お、オチ○チン……オチ○チン、オチ○チンっ!」 わたしが禁句の四文字を口にして連呼して。 孝太も一緒になって、やけっぱちな声で叫んでみせて。 こんな惨めな綱引きをいつまで続ければいいの? 悦んでいるのは、身も心も引き裂かれる痛みを知らない二人連れだけ。 そんな淫らで哀しい糸引きを、わたしと孝太はどうして見せなくちゃい けないの? 「うくっ、グッ……オマ○コ、オマ○コぉ、オマ○コぉっ!」 「お、お姉ちゃん、きつい……オチ○チン、オチ○チン、オチ○チンっ!」 疑問と虚しさがごちゃ混ぜになって、頭の中を駆け巡っている。 わたしはノタウツような痛みと闘いながら、答えを探して顔を持ち上げ た。 目を閉じたままの孝太も、わたしの気配を感じたの? 顔をこっちへ向 けた。 辛いよね、孝ちゃん。 お互いに恥ずかしい処をすべて晒して、こんなバカなことをさせられる なんて。 でもね、クリトリスがもげそうなくらい痛くたって、この糸で孝ちゃん のオチ○チンと繋がっていると思うと、なんだか不思議な気分。 口を開けば、孝太もわたしも禁句の単語しかしゃべらせてもらえない。 だからこうして、アソコとアソコを結んだ糸を糸電話みたいにして、想 いを伝え合っているの。 お義父さんやお義母さんに気付かれないように。 そしてわたしは、勝者を意識して腰を思いっきり引いた。 「オマ○コッ!」って汚れた声で絶叫しながら、クリトリスが千切れる んじゃないのかって。 そんな覚悟で腰を何度も何度もしゃくってみせた。 「クッアァァッッ! オマ○コッ、オマ○コォッ、オマ○コォッッ!!」 だけどその想いは、孝太も同じだった。 ギリギリと歯を噛んで、わたしの腰運動が息切れするのを見計らって、 ずるずると手足を動かした。 グイッグイッと勢いよくじゃなくて、ジワァッと遥香のクリトリスが痛 まないように優しく、でも力強く! 「んぐぁっ! オチ○チンッ、オチ○チンッ、オチ○チンッッ!!」 孝太の声が涙で擦れた。 わたしは孝太の心の叫びを鼓膜で拾いながら、手足を滑らせていた。 頼もしい孝太の声に導かれて。逞しく感じる孝太の心に打たれて。 遥香のクリトリスを労わりながらリードする、孝太のオチ○チンにもち ょっぴり惚れて。 「決まったな」 「孝太、鞭打ちの覚悟はいいわね」 全てが終わって、全身から汗を噴き出させているわたしと孝太を、この 人達は見下ろしていた。 運動もしていないのに、鼻息だけ荒くして顔を紅潮させて、落ち着かな いようにツマ先を持ち上げては床に下ろして。 「遥香、アンタは部屋に戻ってもいいんだよ」 「いえ、ここに残ります」 わたしはコンクリートの床の上で正座すると、お義母さんを見上げた。 「お願いがあります。せめて孝太の傍にいることをお許しください」 上目遣いにそうお願いをすると、堅い床にオデコを擦りつけていた。 この人達のOKが出るまで、いつまででもそうするつもりで。 今の遥香に出来ることは、これくらいしか残されていないから。 「いいだろう。孝太が鞭で打たれている間、寄り添ってやるんだな。そ の代わりだ。遥香、お前がカウントするんだ。わかったな」 空から降ってきた踏ん反り返った声に、わたしは頭を持ち上げると大き く頷いてみせる。 そして、お義母さんによって四つん這いにさせられた孝太に近寄ると、 何も言わずにほっぺたを背中に当てた。 微かに震えている汗ばんだ肌に唇までひっつけて、その時を静かに迎え た。 びゅいぃんんッッ! ピシィィッッ!! 「うぐゥゥッッ! ンアァァッッ!」 「1回ィッ!」 孝太が絶叫して、わたしは喉が裂ける思いでカウントを始めた。 これが地獄なんだと、瞳と鼓膜に焼き付けながら。目次へ 第14話へ