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放課後の憂鬱   第7章 無邪気な悪魔・前編(2)


  
                                          


【第7章 (2)】



        
        野村由香は藍とライバルとされている女優だ。
        歳も同じ、仕事も藍と同じようなテリトリーで、藍自身も由香には負け
        たくない、そんな感情を抱いていた。

        「あちらさんが今度出す写真集、結構ヤってるらしいんだ。こっちも指
        くわえてるわけにはな・・」

        藍は少し不安になった。藍の今まで出した写真集は、どれも清純路線だ
        った。
        実のところ「水着や下着姿」の写真集を、という話がなかった訳ではな
        い。
        しかし、その度に藍自身が「絶対にイヤ・・」と拒否していたのと、前
        の事務所はそんな藍の希望を聞き入れてくれていので、今まではそんな
        仕事をしなくて済んでいた。

        (・・やっぱり、水着の写真集、出さなきゃなのかな・・・)

        藍は事務所を変わったことを今更ながら後悔した。
        が、負けず嫌いの藍は、妹の秋のことと、前の事務所に自分から啖呵を
        切って出てきた手前、弱音を吐くわけにはいかなかった。
        ましてライバルの由香がそうするのなら、と考えると「やらなきゃ、だ
        めか・・」と自分を納得させるしかなかった。

        「・・・水着・・ですか?」

        恐る恐る聞く藍に、岸田は言葉を濁すように
        「・・そんなところだ。まぁどんなのにするか、これから行って打ち合
        わせるんだがな。」
        と答えた。

        「・・がんばります!」

        藍は自分に激を入れるかのようにそう言った。
        が、岸田は藍の言葉が聞こえなかったかのように、別のことを言い始め
        た。

        「それはそうと・・・昨日、七種になんかされなかったか?」

        その質問に藍は動揺した。
        昨日のことが鮮明に蘇ってきた。拘束されたこと、そして抵抗できぬま
        ま、いいように弄ばれたこと。それでも藍は真里に惹かれてしまったこ
        と・・・。
        藍は詰まりながら答えた。顔が赤くなっていた。

        「えっ? あっ? べ、別に・・何も・・」

        藍が動揺しているのに岸田は気づいていた。が、そしらぬ顔で続けた。

        「そうか・・ならいい。・・・あいつな、男には興味のない女なんだよ。」
        「えっ?」
        「レズ、なんだよ。」
        「えっ? レ・・ズ・・ですか?」

        昨日真里にされたことが、岸田の話でやっと納得できた。

        「だからな、藍にちょっかい出したりしてないだろうな、と思ったんだ
        よ。何もなかったんなら、いい。」
        「・・・・・」

        藍が黙っていると、岸田がまた真里のことを話し始めた。

        「藍、気をつけろよ。おまえ、結構無防備だからな。ほんとはあの女、
        おまえに付けたくなかったんだが・・上からの命令でな。気に入ったと
        なりゃ見境ないからな。前も手出して、辞めさせちまって困ったんだよ。
        おまけに、やり方がきついっつうかなんつうか、商品に傷つけてくれや
        がる。傷はなぁ、まずいんだよ、この商売。その辺わかってねーんだよ
        な、あの女。」




※ この作品は、ひとみの内緒話管理人、イネの十四郎様から投稿していただきました。
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