放課後の憂鬱 第7章 無邪気な悪魔・前編(3) 2015/07/03 20:00.00 カテゴリ:放課後の憂鬱 【第7章 (3)】 「・・・・・」 まだ黙ったままの藍に、 「・・まぁ、気をつけろってことだ。さぁ、そろそろ着くぞ。」 と岸田はこの話題を打ち切るように言った。 「ああ、ここでいい。その辺で止めてくれ。」 岸田が運転手にそう言うと、タクシーは細い路地を入ったところで止ま った。 二人はタクシーを降り、少し歩いてある灰色の小さなビルに入っていっ た。 狭く薄暗い階段を上ってゆくと、「Y・PhotoSpace」と薄汚れ た看板の掛かっている部屋があった。 岸田はノックもせずに無造作にドアを開け、中に入った。 藍もその後ろについて中に入った。が、その直後、背筋を冷たいものが 走った。 狭い事務所に机があり、そこにはカメラマンの吉田が座っていた。 「おう! まだ生きてるようだな?」 岸田が無作法な挨拶を吉田にすると、「おかげさまでね。」と吉田が答え た。 そしてすぐに吉田は藍に話しかけてきた。 「藍ちゃん、この前はどうも。いや~こないだの写真、先方には結構評 判良くってね。」 「・・・そうですか。」 藍は少し不機嫌な様子で返事をした。 この前の写真・・同級生の吉田が持っていたあの写真・・ ちゃんと処分してくれるはずだったのに・・ あの写真のせいで、酷い目に・・・ 藍の脳裏に、吉田たちから受けたあの辱めの記憶が浮かび上がった。身 体が震えていた。 「さて、早速だが、今度の写真集のカメラマン、あんたに頼もうと思っ てね。」 岸田は吉田にそう言うと、吉田がすぐにへつらうような感じで答えた。 「そうこなくっちゃ! お願いしますよぉ~」 藍はそのやり取りを聞き、ぞっとした。また吉田に写真を撮られる・・ それが水着姿なんて・・ 「おっと、これは気がつきませんで。お茶でも入れますよ。へへへ」 そう言うと吉田はにやにやしながら奥へ消えていった。 「・・・岸田さん。」 藍は吉田が部屋からいなくなったのを見計らって、岸田にこの前の写真 の件を伝えようと思った。 吉田ではない、別のカメラマンを頼みたかった。 「ん? どうした?」 岸田は藍のほうを向き、答えた。 「・・カメラマン、吉田さんなんですか?」 「ああ、そうだ。」 「別の人に・・なりませんか?」 「ん、どうして? 吉田はなかなかセンスがいい。少なくとも腕は有名 な狩野なんかより上だぞ。なにか不満か?」 藍は少しためらっていたが、思い切ったように話し始めた。 「・・この前のCMの写真・・吉田さんだったじゃないですか。」 「ああ。そうだったな。」 「あの時の写真、誰にも見せないで処分するって言ってたのに・・」 そこで恥ずかしさがこみ上げてきて、口篭もってしまった。岸田がきょ とんとして藍に聞いた。 「言ってたのに、どうした?」 藍はうつむきながら小声で、 「・・同級生が・・持ってたんです。あの写真。」※ この作品は、ひとみの内緒話管理人、イネの十四郎様から投稿していただきました。 尚、著作権は、「ひとみの内緒話」及び著者である「ジャック様」に属しております。 無断で、この作品の転載・引用は一切お断りいたします。 同性の先輩や後輩達に苛められる女子○生ひとみのアブナイ体験とSMチックな官能小説 目次へ 第7章(4)へ ≪ 淫獄の幕開け 哀しき姉妹の饗宴 ≫