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放課後の憂鬱   第7章 無邪気な悪魔・前編(4)


  
                                          


【第7章 (4)】



        
        岸田はますますわからなそうに、
        「ん、よくわからんぞ。どういうことだ?」と藍に問い詰めた。

        「・・吉田さんの息子さんとわたし、同級生なんです。で、吉田さん、
        あの写真を捨てるって言ってたのに、吉田君に渡したみたいで、それで・・」

        藍は「辱しい目にあった」ことまで話しそうになったが、ハッと気付い
        て黙ってしまった。
        岸田は怪訝そうな顔で、藍に聞いた。

        「おまえの言ってることは良くわからんぞ。第一なんでそんなCMの試
        し撮りの写真を息子に渡したぐらいで、カメラマン変えにゃならんの
        だ? なんかまずい写真だったのか?」

        藍はしかたなく話した。

        「・・水着の・・写真だったんです。」

        岸田は呆れ顔で言った。

        「おまえなぁ、そりゃ友達に自分の水着姿の写真見られて、恥ずかしい
        のはわかるけどなぁ、おまえ「芸能人」なんだぞ! その辺の女子高生
        みたいに恥ずかしがってちゃ、これから仕事来ないぞ! も少し大人に
        なれよ。・・別に裸見られたわけじゃあるまいし・・」

        「でも、す・・・透けてたんです。」
        「ん、透けてた? なにが?」
        「む・・・・胸が、です!」

        藍は少し大きな声を出してしまったことが恥ずかしかった。が、そんな
        藍を見て岸田は他愛もないことのように続けた。

        「おまえなぁ、そんなこと言ってるようじゃ、まだプロじゃないぞ。そ
        んなことはこの世界じゃあたりまえなんだよ。あの篠原奇人も狩野典正
        も、そんな写真腐るほど撮ってるんだ。それが出版されないだけでな。」

        「・・・・・」

        「息子がそれを偶然見ちまっただけだろ? 親子じゃそんなこと別に不
        思議じゃないぞ! カメラマン変えりゃいいってもんでもないだろ? 
        それにな、自分の息子がおまえのファンだったりしてみろ! オヤジと
        したら自慢したいだろ? そんなもんだぞ!」

        「・・・・・」

        「こっちだって根回しとかいろいろ大変なんだから、その辺わかってく
        れよな!?」

        岸田が一気にまくしたてた。そう言われると、藍は黙ってしまった。岸
        田の言うことももっともだった。

        それに「プロじゃない」と言われたのには堪えた。確かに自分のわがま
        まと言えばそうなのかもしれない。

        「・・・・・」

        藍はしゅんとなってしまった。
        岸田もおとなしくなってしまった藍を見て、困った様子で言った。

        「・・・まぁ、おまえもこれからなんだからな。第一、だ。そんな写真、
        誰にも見てもらえなかったら逆に淋しいもんだぞ。人気があるってこと
        だ。このまま人気を維持できなきゃ、おしまいなんだから、がんばろう
        な。・・まぁ吉田には気をつけるように言っとくよ。心配すんな!」

        藍は岸田の言葉を聞き、少し微笑み、こくっと小さくうなずいた。
        自分のことを考えてくれてるんだ、そう考えたら涙が出そうになった。





※ この作品は、ひとみの内緒話管理人、イネの十四郎様から投稿していただきました。
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