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哀しき姉妹の饗宴






















【第16話】


        
        「むちゅっ、ちゅぷ……皐月ぃ、もっと舌を伸ばしてぇ……ちゅる、ち
        ゅる、ちゅぱっ」

        「はんむぅ、弥生お姉ちゃんの舌ぁ……ちゅば、ちゅば……おいしぃ」

        弥生さんと皐月さんが、濃厚なキスを繰り返している。
        お互いの背中を抱きしめながら、姉妹なのに愛おしそうに。
        ちょっと伏せ目がちに目線を遭遇させて、唇どうしを押し付け合ってい
        る。

        ディープキスっていうの?
        弥生さんが口を浮かせると、二人の間に透明な唾液の橋が掛かる。
        そのキラキラ橋に導かれて皐月さんが舌を差し出した。
        そして、薄くリップされた唇がその舌先を受け入れる。
        一緒になって持ち込んだ皐月さんの唾液を、弥生さんのモノとミックス
        させて喉を潤すように飲み干していく。

        「女同士のキスってのは、激しいねぇ」
        「おまけにこの二人、実の姉妹っていうじゃないか」
        「血が繋がったモノ同士の愛の口づけってか。おらぁ、キスはもういい
        から、早く乳繰り合いな」
        「はははっ、そうだ! そうだ!」

        まるで恋人どうしのような甘い時間。
        それなのに、男達の飛ばす野次がそれを早送りさせるように要求した。
        読まなくてもいい空気を読んだ今川が、顔色ひとつ変えずに彼女達に耳
        打ちする。
        もっと卑猥な次の行為へと促していく。

        弥生さん、皐月さん。がんばって!

        そのエールが何を意味するのか、遥香は知っている。
        知っていながら、それでも胸の内で声を上げていた。
        見えない目でステージに顔を向ける孝太の手をギュッと握り締めたまま。
        もう片方の手を、激しく打ち鳴らす心臓に当てて。

        パチッ……シュル、シュル、シュル……

        名残惜しそうに唇を引き離した二人は、右腕を背中に回すとブラホック
        を緩めた。
        申し合わせたみたいに白い歯を見せながら、紐ブラジャーを滑らかな指
        使いで引き抜いていく。

        スルスルスル……スススッ……シュルルル……

        続けて、紐でしかなかったショーツも下ろされていく。
        喚声が静まるなか腰に両手を添えた彼女達は、背筋を立てたままの姿勢
        で右足を持ち上げた。
        入れ替えるように左足も持ち上げる。
        ヒザを曲げ気味にツマ先をピンと伸ばして、二人同時に卑猥なショーツ
        を抜き取っていた。

        「うぉっ! 姉さんのおっぱいは、さすがでけぇな」
        「いやぁ、妹のおっぱいも、その年にしちゃぁ、まずまずじゃないの」
        「それを言えば、下の毛はどうよ?」
        「陰毛なんざ、どうでもいいさ。肝心なのはマン肉だよ。割れ目の肉も
        よぉ、年の差で発達具合に差があるんじゃねえのか?」

        男達の間から沸き起こる、超セクハラな野次。
        だけど、弥生さんも皐月さんも嫌な顔ひとつしない。
        それどころか、胸を突き出すようにして乳房を揺らせて。
        軽く曲げたヒザを押し出すようにして、女の子の部分までチラ見させて。
        男達の目を釘づけにさせている。
        獣のようにギラ付かせた視線を全身に浴びながら、オールヌードのグラ
        ビアタレントを続けている。

        「ふふっ、そろそろ頃合いだね」

        そんな彼女達をステージの端で見ていたお義母さんが、意味深に笑って
        呟いた。
        お手洗いの匂い消しみたいな香水を発散させて、今川に目で合図を送る。

        「遥香も、よぉーく見ておんだよ」

        そして今度は、わたしに向けて話しかけてきた。
        喉の奥に唾液を絡ませたような粘着質な声でそう言うと、女なのにわた
        しの背中をいやらしい手付きで撫でた。
        手の甲でスルスルさせながら、ステージで始まる変化に目を細めていた。

        「よおっ! 待ってましたっ!」

        突然、男達の間から掛け声が飛んだ。
        同時に、笑顔を振りまいていた弥生さんと皐月さんの表情が曇る。

        わたしの両目は彼女達から放れると、タキシード姿の今川に移った。
        その人が手にしているモノを見て、身体を凍りつかせていた。

        「あっ! そんな……そんなのって……?!」

        数秒してから、唇が思い出したように声を上げる。

        「あれはねぇ、ペニスバンドって言って、タチ役の女がアレを着けて相
        方の女を犯す道具だよ」

        そのわたしが漏らした驚きの声が面白いのか、お義母さんはおぞましい
        道具の説明を始めた。

        「それもよく見てみな。男のチンポをしたディルドが2本付いているの
        が分かるかい? そうさ、内側の極太なのを弥生が自分のマ○コに入れ
        て、もう一方の奴を皐月のマ○コに突っ込んで腰を使うのさ。お互いに
        感じられるようにね」

        もう聞きたくなんかないのに。
        耳を塞ぎたいのに、怖ろしい道具の怖ろしい使い方を、粘っこい声で詳
        しく説明してくる。

        そんな中、今川の手からその物体が弥生さんに引き渡されていた。
        遥香の腕くらいありそうなディルド。
        それが生えた皮製のベルトを、弥生さんはぶら下げていた。
        禍々しくてずしっとして、目を落とした彼女は、ほんの一瞬だけ眉間に
        シワを寄せて、隣で見つめる皐月さんも同じ表情をして。