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放課後の憂鬱   第9章  初めてのキス(5)


  
                                          


【第9章 (5)】



        
        藍は授業など上の空で考え事をしていた。高科にはあんなに恥ずかしい
        ことをされたのに、どうしても嫌いになれない。
        とても複雑な気分だった。

        それに、昨日の夜の妄想・・あんな風にされている姿を想像しながらオ
        ナニーしてしまうなんて・・
        藍は高科への恋愛感情を確信していた。
        信じられないけれど、信じている。これが、恋なのかな、と思った。
        それから藍は、放課後が待ち遠しくて仕方なくなった。



        まだ一日の最後の授業も終わらぬ頃、高科と吉田は屋上でサボっていた。

        「吉田、例のモノ、買ってきたか?」
        「先輩~、ひどいっすよぉ。あんなもの、オレ買えっこないじゃないっ
        すか。さちとゆうこに頼んどきました。」

        「はは、まぁいっか。で、買ったのか。」
        「二人とも喜んで行きましたよ。そんで、すんごいの選んじゃって・・
        スケスケのギチギチッ。ばっちりっすよ。」

        「そりゃおもしれぇや。・・で、小道具のほうはどーした?」
        「それもついでに買ってきてもらいましたが・・・ほんとにいいんっす
        かねぇ。ありゃ、きついっすよ。」

        「だいじょうぶだって。例の切り札、ばっちりだからな。・・・それよか
        吉田、今日はおまえとゆうこは早めに部室行ってろ。で、中で抱き合っ
        ててな。」
        「いいっすけど・・またどうして?」

        「ば~か、あいつぁ部屋入ろうとしたとき、中でおまえらがいちゃつい
        ててみろよ。ビックリして、ポーッとなっちゃうだろ。それでワケわか
        んないうちに、かまそうっつーのさ。」
        「なるほどっすねぇ。しっかし先輩も、結構知的に責めてきますねぇ。
        がぁっとやっちまえばいいのに。」

        「まだ青いなぁ、おまえ。プロセスが大事なんだよ、プロセスが。そん
        なしたらそれこそ大変だろ。ここ使うんだよ。ここ。」

        高科は得意げに指で頭を指しながら言った。

        「了解っす。けどゆうこに、ちゃんと言っといてくださいよぉ~。やら
        せだって。」
        「ははは。わかったよっ。ゆうこも嫌がったりしねぇよ。あいつをハメ
        るためだったらな。・・それにおまえら、どうせできてんだろ?」

        「てへっ、知ってました?・・でもアイドルものにできるなんて、めち
        ゃすごいっすネ。これからも先輩に付いて行きますよ~。」
        「ば~か。いつまでもやってられっかよ。バカやんのもこれが最後よ。
        最後だからな、上物狙ってるってわけ。」
        「な~るほどぉ。」

        高科と吉田はそう言って笑った。



        放課後になった。
        藍は教室を出ると、一目散に部室に向かった。
        高科に逢える、そう思うと嬉しくて仕方なかった。

        部室の前にきて、藍は扉を開けようとした。が、すぐに躊躇った。
        少しだけ扉が開いていたからだ。
        そして、部室の中からなにやら声が聞こえる。

        「・・・あっ、あぁ。いいっ・・」

        藍は扉の隙間から、恐る恐る中を覗いた。
        そこには吉田とゆうこが抱き合っていた。

        (・・えっ?、何してる・・の?・・)

        吉田は机に座り、体操服姿のゆうこを膝の上にのせていた。そして吉田
        の手はゆうこのTシャツの中でもぞもぞと動いている。





※ この作品は、ひとみの内緒話管理人、イネの十四郎様から投稿していただきました。
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