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お願いします……美里を抱いてください

















(4)



        黒川信人の視点


        さらに3日が経過する。

        俺は、当たり前すぎる女子高生の行動に焦りを感じ始めていた。
        金持ちの令嬢らしからぬ徒歩での通学以外、これといって違和感を嗅ぎ
        取ることが出来なかったからだ。

        調べろというからには、なんらかの理由があるはずだ。
        窃盗、恐喝、不純異性行為、そんな大げさなものでなくても構わない。
        ちょっとボーイフレンドと手を繋いで歩く。
        そんな些細な行為からでも、決め手となる糸口は解れてくるものなんだ
        が……

        「ちっ、今日も空振りってか……さすがにマズイな……」

        彼女の自宅までおよそ200メートル。
        校門を出てから寄り道ひとつせずに黙々と歩き続ける姿に、俺は小声で
        愚痴っていた。

        そう、この時の俺はいつもの自分を見失っていたのかもしれない。
        あれだけの人気者の美少女が、たったひとりで毎日登下校している違和
        感に……
        そしてシロート丸出しの探偵ごっこは、ターゲットである少女によって
        幕を下ろされた。



        「やばい! 気付かれたか?」

        突然だった。同じペースで歩いていた彼女の足が不意に止まった。
        そのまま、キョロキョロと周囲を見回したかと思うと、10メートル後
        方の電柱柱を目指して後戻りを始めた。
        いや、彼女の視線は電柱など見てはいない。
        その陰に半身を隠しているこの俺に向けられていた。

        「いつから俺のことを?」

        「3日前から……です……」

        異性と話すのは気恥ずかしいのか、うつむき加減の彼女だったが、俺は
        それどころではなかった。

        3日前からだと?!
        だったら俺の尾行は初日からバレていたってことか? こんな小娘を相
        手に!

        俺の中で、元興信所勤めというプライドが音を立てて崩れていく。
        こんな猿でも出来そうな尾行をドジるとは、俺も焼きが回ったな。

        「いえ、違うんです。これには訳がって……」

        俺が落ち込んでいるのが顔にも表れているのか、彼女が慰めるように話
        しかけてきた。
        ますます俺のプライドは、深く深く沈んでいく。

        「わたし、あなたのことを知っているんです。あ、いえ……名前とかじ
        ゃなくて、その河添課長と一緒にいるところを……」

        「おい?! 今なんて?」

        俺は思わず声を荒げていた。
        慰め役だった少女が、首をすくめて口に手を当てる。

        「いや、驚かせてすまない。でも教えてくれないか? キミがどうして
        俺たちのことを?
        あっ、申し遅れてすまない。俺の名前は黒川っていうんだ」

        俺は自分の名前と、自分の携帯番号だけが刷り込まれた名刺を手渡した。

        「……黒川……信人さん?」

        彼女は名刺に記された名前と俺の顔を交互に見比べてから、その名刺を
        胸ポケットにしまった。

        情けないが、探偵がターゲットから情報をもらうことになるとは。
        だが、こうなった以上覚悟を決めて聞き出してやる。

        「それで、さっきの件なんだけど?」

        「ごめんなさい。ここではちょっと……」

        「それだったら……えーっと。あっ、そうだ。喫茶店ならいいかな?
        ジュースでもパフェでも、なんでも好きなモノをご馳走するよ」

        「いえ、わたし……そういうつもりでは……」

        俺の誘いに下心が見え見えだったのか、気まずそうに彼女が俯いた。
        だろうな。良家のお嬢様が、見ず知らずの中年男と喫茶店なんて。
        やはり、今の俺はどうかしている。

        ここは一度、撤収した方が……? ダメ元で日を改めて……?
        それでも、下手をしたら……いや、確実にチェックメイトだろうな。
        河添課長から勝ち得た信頼も、小さいながらも必死の思いで立ち上げた
        俺の会社の命運も……

        俺の理性が白旗を振る。
        ペラペラと軽い言葉で墓穴を掘る自分が情けない。

        「あははは……そう、だよね。こんな時間に喫茶店に行ったりしたら、
        ご両親が心配するよね。だけど、話だけでも聞かせてくれないかな? 
        明日、校門の近くで目立たないように待っているから。ね、頼むよ」

        俺は両手を合わせてお願いした。

        「……」

        彼女は黙って俯いたままだった。

        「うーん、だめか……」

        諦めきれずにオレンジ色の空を仰ぎ見る。
        そして、彼女の返事も待たずに背を向けていた。

        元から色よい返事など期待していない。
        そうだ。会うか会わないかは、彼女に任せよう。
        もしかしたら……有り得ないかもしれないが明日彼女と校門で……

        辿って来た道を後戻りするように歩き始めた。
        背中の少女も、自分の家へと向かう姿を想像して。

        「ま、待ってください。黒川さん……でしたよね? お話が……」

        不意に掛けられた彼女の声に足が止まった。

        「あ、あの……聞いて……くれますか?」

        俺は無邪気な子供のように頬を緩めて振り返っていた。
        そのまま、俺の身体は金縛りにでも合ったように固まった。

        思いつめたように唇をきゅっと噛んだ彼女の表情に。
        全身からオーラのようにみなぎる、恥じらいと凛とした決意が同居する
        のを感じて。
        そして、俺と彼女だけの時間が止まった。

        「お、お願いします……わたしを……み、美里を抱いてください。美里
        とその……セ、セックスしてください!」

        直立不動のまま、自分の耳を疑った。

        「はあ?! 今……なんて……?」

        「ですから、わたしとセックスしてください。どうか、なにも仰らずに
        ……」

        オレンジ色に染まる世界の中に、華奢な少女の身体がシルエットのよう
        に浮かび上がる。
        話し終えてもなお震えている桜色の唇。
        純水のような透明な涙を湛えた縦長の瞳。

        それにもまして、羞恥色に満たされた少女の無垢な肌に、俺は目眩を感
        じた。
        胸の奥が掻きむしりたいほどに焼け爛れて、俺は……黒川信人は?!

        頷いていた。
        無言のまま、油の切れたロボットのように、カクカクとした動きで首を
        下に落としていた。

        『なにも仰るな』というより、声帯が働くのを放棄している。
        いや声帯だけではない。彼女の放つオーラに魅せられた身体の機能が、
        すべてダウンしたように動かない。

        セックス?! こんな天使のような少女がこの俺と?! それも自分か
        ら?!
        いつ? どこで? ホテルはあそこが……?

        それなのに俺の中の男だけは、本能で活動を開始している。
        少女の言葉の意味をほとんど理解しないまま、マグマのように蓄積した
        性欲を満たそうとして、ムクムクと頭をもたげてくる。

        「本当にいいんだな? この俺とで」

        「は、はい。黒川さんとなら美里は……」

        再び時間が動き始めて、俺は彼女の手を引いて歩いていた。
        学校帰りの制服に身を包んだ少女が俺の元から逃げないように、手首を
        ちぎれるほど握り締めてホテルへ向かった。



        おっ、そろそろお出ましのようだな。回想もここまでだ。

        俺はバスルームからの微かな気配を感じ取り、逸る鼓動をなだめるよう
        に両目を閉じていた。
        そして、数分。
        おぼつかない足取りで少女が近付いてくる。
        喉仏がごくりと生唾を飲み込むのを、無意識に俺は聞いた。






バスタオルを落として、身体を回転させて

















(5)



        篠塚美里の視点


        バスルームを出てからベッドまでの距離が、異様に長く感じた。
        バスタオルを巻き付けているだけで、ブラもパンツも着けていないから、
        身体だって軽くていいはずなのに。

        「お、お待たせしました」

        やだなぁ、声が裏返っているじゃない。
        しっかりしなさいよ、美里。

        わたしは、自分の部屋のベッドより2倍くらい大きい、ダブルベッドの
        横に立っていた。
        両手をピタって太腿の横にひっつけて、学校の朝礼のときのように気を
        付けの姿勢で。
        ……見下ろしていた。
        白いバスロープを羽織って横になる男の人を、情けないくらいに弱々し
        い目線で。

        「どうした? 自分から誘っておきながら緊張しているってこと、ない
        よね?」

        目を閉じたまま話しかけてくる男の人……黒川さんに、わたしは素直に
        頷いていた。
        声に出さないと伝わらないのに、黒川さんが薄眼を開けていることに期
        待して、そのままじっと立ち尽くしていた。

        どうしよう? このままベッドに上がって、彼の隣に寝転べばいいの?
        横になって、お人形のように身を固くしていれば、彼の方がリードして
        抱いてくれるの?

        「美里、身体を見せてくれないかな?」

        「……はっ! ……はい……」

        そんなわたしの迷いを、黒川さんの一言が吹き飛ばしてくれた。
        『美里』って、下の名前を呼び捨てにされて、心臓がドクンって鳴って
        ……
        『身体を見せて』で、その心臓を鷲掴みにされて……

        それでもわたしは頷いていた。
        今度は掠れた声だけど、『はい』って素直に答えていた。

        そして身体に巻き付けたバスタオルを解こうと、おっぱいの左上に右手
        を移動させる。
        きつく挟み込んだバスタオルの端を、引っ張って引き抜いて外していた。

        あとはこの手を放すだけ。そうすればバスタオルが勝手に床に落ちて、
        美里の身体を……

        「まだかな、美里? 早くキミの身体を見せてよ」

        ここまでして躊躇するわたしに、黒川さんがせっついてくる。
        美里と一緒。ちょっと掠れた声で、それにバスロープに覆われた下腹部
        を大きく膨らませたまま。

        ファサッ……!

        「は、ああぁぁ……んんっ……」

        指先からゴワゴワとした生地の感触が消えた。
        同時にそのゴワゴワが、おっぱいを撫でてお腹の皮を擦って、わたしの
        身体を囲む円形のまま床の上に積み重なっている。

        役目を終えた右腕が、胸のふくらみを押さえようと高速で移動する。
        太腿の横に貼りついていたはずの左腕が、真横にスライドするようにし
        て大切な処をカバーしようとした。

        ダメよ、美里! その手を外しなさい!

        キツネのように目を吊り上げたもうひとりの美里が、怖い声で命じた。

        そうよ、今夜のことはアナタの方から誘ったんでしょ?
        さあ、もっとベッドに近付いて挨拶なさい。

        両目を閉じていた黒川さんが、いつのまにかこっちを見上げている。
        わたしは心の声に誘われるままに、足を一歩前へ押し出した。
        そして、相変わらず掠れたままの声で黒川さんに話しかける。

        「……どうでしょうか? み、美里の身体は……気に入って……もらえ
        ましたか?」

        そこまで命じられてもいないのに、恥ずかしい言葉を口にした。
        こんなポーズも命じられていないのに、身体をゆっくりと回転させなが
        ら、美里の背中のラインも発達途上のお尻もお見せした。

        もう一度停止して、ほんのちょっぴりだけど太腿を開いていた。
        そんなことをしたら、美里のアンダーヘアーはとっても薄いから、恥ず
        かしいお肉が覗いちゃうのに、それでもいいの。
        ついでだから、目を細めて鼻をちよっと鳴らして、男が大好きな女の顔
        も。
        まるで熱病に浮かされたように、脳裏に次々と恥ずかしい指令が飛び出
        しても、美里はそれに従っていくの。

        どうして? なぜなの?

        あどけない表情をしたわたしが、涙声で聞いてくる。
        だけど今は答えられない。
        だって、ホントのことを話すと、大人になりきれない未熟な美里だもの。
        きっと、バスタオルをもう一度巻き付けて逃げ出しちゃうよ。
        このホテルから。

        「ふっ、俺もまだまだ……だな。女の品定めも出来ないとは」

        そんな美里を見つめる黒川さんの目が変わった。
        なんとなく眩しそうな視線を送っていたのに、その瞳は失望の色に塗り
        替わっていた。
        それは間違いなくわたしに向けてのもの。

        だけど、それでいいのよ。
        黒川さんは何も気にせずに、美里を抱いてくれたらそれでいいの。
        初対面の男性に平気で身体を差し出す、遊び好きな少女と思われたって
        ……

        「は、早くセックスしてください。身体が……疼くんです」

        はしたない言葉を口にして、わたしはモノ欲しそうに目を更に細めた。
        ついでにチラっとだけど、バスロープを持ち上げているモノに目をやっ
        た。

        美里の心が少しひび割れしたけど、気にしない。
        そのままわたしは、大きなダブルベットに這い上がっていた。
        黒川さんの隣に寝そべっていた。仰向けのまま気を付けの姿勢で。
        まだ誘われてなんかいないのに。

        「ちっ、仕方ないな、抱いてやるとするか」

        「はい……お願いします」

        わたしの態度に、黒川さんの声まで変化した。
        舌打ちして、溜息を吐くような投げやりの声で。

        そしてベッドの上で身体を起こすと、唇を尖らせて顔を寄せてきた。
        美里の身体に覆い被さるようにして、それでも体重が掛らないように配
        慮してくれて。

        そんな仕草がちょっぴり嬉しかった。
        この人の心の奥の優しさに触れた気がして、美里の砕けそうな精神に柔
        らかい勇気をもらえた。

        だからわたしも唇を尖らせていた。
        首の後ろを反らせて、あごを突き出すようにして。

        美里と一緒。小麦色に日焼けした太い眉毛の下の瞳がどんどん近付いて、
        わたしはそっと目を閉じていた。
        その瞬間だけでも、きらびやかなドレスを纏ったお姫様になりきって。
        王子様とのファーストキッスを待ちわびるように……






処女な女の子は、自分から股を開くの

















(6)



        篠塚美里の視点


        ちゅぶっ、ちゅばっ……

        「うぐぅっ、ひぐっ! う、うぅぅっっ」

        嫌ぁっ! どうして、そこなの?!

        わたしは、胸のあたりを這いまわる黒い頭に目を見開いていた。
        不意打ちのようにおっぱいを刺激されて、甘いキスを待つ唇が真一文字
        に結ばれていく。

        黒川さんは、無言のまま美里の乳房にしゃぶりついていた。
        たくさんの唾液を舌に絡めるようにしながら、丸いお肉に塗りつけて、
        尖り始めた先端まで念入りに舐めとっていく。

        「ううぅぅんんっ、んくぅぅっ……」

        気持ちいいかなんて、そんなのよくわかんない。
        だって美里。男の人の舌なんて初めての経験なんだもん。
        身体が火照って仕方がないときにするオナニーだって、指先で優しくタ
        ッチするだけだもん。
        まさか、自分のおっぱいに舌なんて伸ばさないでしょ。

        「あぁ……ああん……あぁぁぁ……」

        黒川さんの舌が意志を持った生き物のように、美里の乳房を愛撫してい
        る。
        上唇と下唇がちゅぱちゅぱと唾液を鳴らしては、吸いついてくる。
        赤ちゃんがおっぱいを飲むように。

        わたしは気持ちを切り替えて声を上げていた。
        感じる声って、これでいいの? 
        身体中が強張って全然気持ちよくないけど、エッチな女の子なら触れら
        れただけで感じちゃうと信じて。

        そうしたら、口を唾液まみれにした黒川さんが、わたしを見上げた。
        ほんの一瞬だけ目を合わせると、そのままおっぱいのお肉に顔を埋めた。
        そして、空いていたもう一方の乳房に左手を這わせてくる。

        「はんむぅ、むぐっ……じゅぱ、じゅぱ、じゅぷうぅぅっっ……」

        「あっ……ふうぅっ……や、やだぁ」

        今度は飾らない声を上げていた。

        ちろっ、ちろっ……こりっ、こりっ……

        「あふっ、ひやぁっ! あんんんっっ、はあぁぁぁっっ」

        舌先と指先にふたつの乳首を同時に刺激されて、感じる女の声を自然に
        漏らしている。
        胸の奥がツーンとして、乳首からの電気信号に身体の強張りが解されて
        いって。

        「じゅぶ、ちゅぱ……俺の舌使いはどんな感じだ。他の男にされるより
        気持ちいいか?」

        黒川さんが聞いてきた。
        わたしはどんどん熱くなる身体に、思わず頷いていた。
        ふかふかのベッドに頭を沈めて、鼻から声を抜かせながら、記憶にない
        男たちを思い浮かべようとしていた。

        「ふふっ、そうか気持ちいいか。だったらこっちはどうかな?」

        こっちってどこなの?
        やっぱりアソコのこと?

        わたしがたった1秒悩んでいるうちに、引き締まった男の腕を下腹部に
        感じた。
        閉じていた太腿をノックするように叩かれて、美里の下半身は従わされ
        ていた。

        そうよ、美里。アナタは淫乱な小娘なの。
        セックスして欲しくてたまらない、欲求不満な女の子なのよ。

        「ふーん、慣れたものだな。ずいぶんと素直に股を開くじゃないか」

        黒川さんの声に知らんぷりをした。
        だからって、どんな表情をしてどんな声を出せばいいのか思いつかなく
        て、胸のふくらみにだけ意識を集中させようとしていた。
        出来るわけないのに。

        「それでは、遠慮なしに……」

        「ううぅぅっっ……嫌っ……ダメッ……!」

        本能で拒絶した声は、自分でも聞き取れない。
        もうひとりの美里が、怖い顔をして睨みつけてくるから。
        だからすぐに言い直していた。

        「美里のアソコ……手触りはいかがですか?」って。
        ついでに両足もさらに拡げてみる。

        「あぅっ……んうっ、もっと……優しく……してください……あんんん
        っっ」

        指が1本、2本と割れ目の中に沈んでいく。
        3本、4本、5本。結局右手の指全部に、小陰唇の中を刺激されている。
        ここはデリケートで、女の子にとって大事な処だから、大切に扱ってほ
        しいのに。

        美里がエッチなおねだりなんてするから?
        気が付けば黒川さん。身体をずらせてアソコを覗き込んでいる。
        仰向けにされたカエルさんのポーズで両足を拡げて、その真ん中を黒川
        さんの頭に覗かれている。

        「男を咥え込んできたオマ○コにしては、きれいな色をしている。……
        中の秘膜はどうだ?」

        「あ、あぁ……恥ずかしいです。そんなに見ないで……ください」

        おっぱいを弄っていた左手までが降りてきた。
        右手の指に割れ目を左右に押し拡げられて、バトンタッチするように今
        度は左手の指にアソコの中を弄られている。
        右手以上に荒々しい動きで、引き伸ばされた粘膜を引っ掻くように刺激
        された。

        「ひぐっ! ふぐっ! あ、あぁっ、美里……いや、だめ、だめぇぇっ
        っ!」

        おっぱいとは比べ物にならない刺激に、背中が仰け反った。
        腰だってピクンとしかかったけど、なんとかそれだけは我慢した。
        だって美里は、たくさんの男の人を咥え込んだ乱れた女の子……だから。

        「はははっ、オマ○コを引っ掻かれてそんなに気持ちいいとはな。『だめ、
        だめ』で、もっと男の気を惹きたいようだが、だったらこれはどうだ?」

        ずぶぅっ……じゅぶ、じゅぶ、じゅぶぅぅっっ!

        「あぐうぅっっ! い、痛いっ……ううん……は、はあぁぁぁ……」

        チクッとした鈍い痛みを割れ目の奥で感じた。
        2本の指が探検するように潜り込んできて、膣口を弄られて、美里の漏
        らした本音の声にその指が引いた。
        黒川さんの瞳に疑念が浮かんで、わたしは甘い声とエッチな顔を追加す
        る。
        そして、彼が安心してセックスできるように誘導するの。

        「あ~ん♪ 黒川さんって、せっかちなんだから。美里の膣、まだ潤っ
        ていないみたい。お願い、ク、クリトリスも……弄って……ね」

        「はは……なんだ、そういうことか。俺はてっきり……」

        黒川さんの瞳から疑念が消えた。
        好色の笑みをたたえたまま目線を上にずらしている。

        恥ずかしいよ。ここは美里の一番感じる処なのに。
        それをじっと見つめるなんて。
        だけど美里が初めてだと気付かれたら、この計画が壊れちゃう。
        美里が大切なものを失う代わりに、美里は手に入れるの。
        もっと大きな大切なものを……

        そのためだったら、美里のバージンなんて……たいしたこと……ないよ
        ね?        






バージンを隠していて、ごめんなさい

















(7)



        篠塚美里の視点


        「あっ……ふうぅぅっっ……お豆……気持ちいい、ひうぅっっ!」

        「おっ、ピンピンに尖ってきた。皮に埋もれていたのに勃起してきたぞ。
        美里のクリトリス」

        「いや、そんな……あんっ、恥ずかしい。はあぁっ、はんっ……」

        親指のお腹にグリグリされて、唇が甘い声を漏らした。
        ソフトな美里とは違う力強い指使いだけど、それでもクリトリスが気持
        ちいいの。

        痛くて痒いのが混ざった電気に、わたしは顔を右に振って左にも振った。
        そのたびに漏れてしまう、エッチな美里の喘ぎ声。

        じゅく、じゅく、じゅく、じゅちゅ、じゅちゅ……

        そして割れ目のお肉からも、美里の唇に負けないくらいエッチな水音を
        響かせている。
        黒川さんの指にクリトリスを弾かれるたびに、膣の壁から熱いお汁が湧
        き出して、左手の指に小陰唇のヒダヒダをクチュクチュされて、とって
        も恥ずかしい。
        耳を塞ぎたくなっちゃう。

        「美里は濡れやすい体質みたいだな。ほら」

        黒川さんがわたしの目の前で、Vサインをしている。
        節が立った力強い2本の指。
        その先を橋渡しするように、何本もの細い糸が妖しく輝いている。

        「やだ……そんなの見せないでよ。……恥ずかしい」

        わたしは恋人のように甘えた声でつぶやいた。
        別に演技しているわけじゃなくて、これが美里の気持ちだから。
        そう、このVサインは黒川さんとのセックスの合図なの。
        美里の身体が、黒川さんのモノを受け入れてもOKってことなの。

        その黒川さんが、バスロープを脱ぎ去った。
        とても慣れた手付きだった。
        今まで何人の女性と寝たのかな? エッチなことをしたのかな?
        まだ若いし、たぶん奥さんとかはいないと思う。
        もし結婚していたら……ごめんなさい!

        黒川さんは、膝立ちのままわたしを見つめている。
        さっきよりも顔を紅潮させて、もちろん素裸のままで。

        わたしは、そんな彼の視線を真っ直ぐに受け止められないでいる。
        黒川さんより顔を火照らせて、初心な女の子を気取って顔を伏せていた。

        違うの! 美里は遊んでいる女の子だから、両足をMの字に開いて、そ
        の隙間から男の人のモノを覗いているの。
        お、オチン○ンでしょ。
        名前くらいちゃんと言えるんだから。
        うん、平均的な大きさね。太さも長さも……
        だから大丈夫。きっと入るよ、美里のアソコ……じゃなかった。オ……
        オ、オマ○コにも。

        心の中で何度もつぶやいた。
        それが怖くなくなる魔法の呪文と信じて。
        そして、割れ鐘のように打ち鳴らす鼓動を胸に響かせて、喉も震わせた。
        「黒川さん、挿れてください」って。

        ちゅく、ちゅく、ちゅく……ちゅぶぅぅっっっ!

        「んんっ……くうぅぅっっ!」

        皮が剥けて平気なの?

        中から顔を覗かせているピンク色の先端を、割れ目のお肉と馴染ませて
        からその先端を沈みこませていく。
        丸く膨らんだ先端が半分くらい小陰唇の中に姿を消して、わたしは腰を
        引いていた。

        まだ痛みはよくわからない。
        でも、美里の女の子の本能が勝手に身体を支配しようとするの。

        「おいおい、処女でもないのに、そんな怯えた顔をするなよ。何度も言
        うが誘ったのは美里、お前の方なんだぞ」

        「あ、あぁ……ごめんなさい」

        黒川さんは、閉じかけた太腿をぐっと押し開くと、体重を乗せるように
        腰を押し出してきた。

        逃げない。今度は絶対に腰を引かないから。

        ズズ……ズズズズ……ズズぅぅっっ!

        「ひぎぃっ! あくぅぅぅっっっ!」

        「お、おい……美里……お前?」

        青筋だった肉の棒が、膣の壁を突き破ろうとして、わたしは叫んでいた。
        過敏になりすぎた神経が鋭い痛みを伝えて、恋人の顔が消失している。
        同時に、目を見開いた黒川さんがわたしを見下ろしている。
        硬い肉の棒を半分だけ割れ目に沈めて。

        「もしかしてと思ったが、やっぱり初めてなのか?」

        わたしは、割れ目の真ん中に突き刺さった肉の棒を、ちらっと見てから
        うなずいた。

        「だったらどうして、あんな態度を……?」

        黒川さんが押し出した腰を引こうとした。

        「ま、待って! 抜かないで! このまま……つ、続けて……ください。
        美里と……んんっ……セックスして……ください」

        「いいのか? このまましても?」

        「はい……お願いします。美里の……バージンをもらって……ください。
        の、信人さん」

        わたしを見つめる黒川さんの目が変わった。
        ホテルに向かう時の眩しそうに美里を見ていた、あの瞳に。
        ううん、ちょっと違う。これって甘い恋人の瞳なの?

        「ゆっくり挿れるからな。痛かったら言ってくれ。すぐに止めるから」

        「ありがとう……信人さん。くうっ! あうっ! んんっ……平気……
        だから……」

        「はぁぁっ……美里……んぐっ」

        ズズズズッ……ズリュッ、ズリュッ……ズズズズゥゥッッッ!

        「ううぅぅっっ……ひぐうぅぅっっ! はぁ、あぁぁっっ……信人……
        さん」

        わたしが叫んで、黒川さんも叫んでいた。
        わたしが彼の名前を呼んで、彼もわたしの名前を呼んでくれた。

        さようなら、美里のバージン。ありがとうね。

        残された膣の隙間を埋めるように、はち切れそうな肉の棒が挿入される。
        もじゃもじゃの陰毛が美里の恥丘にひっついて、処女を失ったことを教
        えてくれる。

        痛い。やっぱり噂どおりに、処女膜を破られるのって痛いんだね。
        でも我慢できる痛さだよ。
        だってその瞬間、美里は恋人にバージンを捧げたから。
        たとえそれが泡沫の恋であっても、美里は……





時を操れるなら……美里は……

















(8)



        篠塚美里の視点


        「は、はあぁ……美里の中、熱くなってる」

        「んっ……はうぅぅっ……わ、わたしも、信人さんの……熱いです」

        「……美里」

        「信人さん……動いて……んんっ、わ、わたしは平気……ですから……
        セ、セックスして……」

        繋がったまま、黒川さんが目で念押ししてくる。
        わたしはキュッと前歯を噛み締めて、コクンと頷いてみせた。
        そして、再び襲ってくる肉が裂けるような痛み。

        ズズッ、じゅちゅ……ズズッ、じゅちゅ……ズズッ、じゅちゅ……ズズ
        ッ、じゅちゅ……

        「うぅっ……あくっ! はうぅぅっっ……はあぁぁっっ!」

        黒川さんが、腰を前に押し出しては引いてくる。
        そのたびに、硬い肉の棒が粘膜を擦りながら侵入して、その刺激を和ら
        げるように撫でながら去っていく。
        それを何度も何度も、同じ動作で繰り返して……

        わたしは自分の身体に変化を感じた。
        黒川さんもそれに気付いて、遠慮気味だった腰の運動をゆっくりとだけ
        ど加速させている。

        じゅちゅ、ぬちゃっ……じゅちゅ、ぬちゃっ……じゅちゅ、ぬちゃっ……
        じゅちゅ、ぬちゃっ……

        「はうっ、はあぁっ……ああぁぁ、わたし……変……なの」

        いつのまにか、肉を削ぎ落とすような痛みが消えている。
        どこから溢れてくるの?
        エッチなお汁が潤滑油みたいに美里の膣を満たして、肉の棒……ううん、
        黒川さんのオチ○チンくんの挿入を手助けしている。
        それだけではないの。
        この恥ずかしいお汁って、美里をエッチにさせる媚薬なの?
        わたしってバージンを失ったばかりなのに、アソコにオチ○チンくんを
        感じて、気持ち良くなり始めている。

        「はあ、はぁ……美里のオマ○コ、すごくいい感じた。ヒダが絞め上げ
        てくる」

        「あふっ、あぁっ……イヤ、そんな言い方……あっ、はあぁぁ、恥ずか
        しい……」

        黒川さんに禁句の単語をささやかれて、膣がキュンとなるのを感じた。
        それを歓迎するように、美里の媚薬。エッチなお汁が、元気いっぱいの
        オチ○チンくんを包み込んでいく。

        あんなに痛かったのに。
        セックスする前は、怖くてガタガタ震えていたのに。

        そんなのが幻だったみたいに、アソコがいい気持なの。
        美里は感じちゃっているの。

        でも、これでいいの?
        美里はアナタの身体を利用して、黒川さんを利用しようとしているんで
        しょ?
        汚らわしい女。意地汚い女。
        処女膜を提供して、男の人をその気にさせるなんて……

        ほっぺたを真新しい涙が伝った。
        わたしを見つめながら腰を振る黒川さんが、ぼぉっと滲んだ。

        じゅちゅぅ、ぬちゃっ……じゅちゅぅ、ぬちゃっ……じゅちゅぅ、ぬち
        ゃっ……じゅちゅぅ、ぬちゃっ……

        「ひくっ……はあっ……信人さん……美里は……ふぅぅんんっ!」

        わたしはシーツを握り締めていた。
        そうしていないと、どこかへ飛んでいきそうで。

        そんな美里を、可愛いって思ってくれているの?
        黒川さんが優しい笑みを浮かべて、力強く腰を打ってきた。
        もっともっと美里を天国に導こうとして、粘膜の壁をいろんな角度から
        突いてくる。

        男の人のオチ○チンくんって、いじらしいね。
        でもこれって、黒川さんのモノだからだよね。
        一生懸命に初体験の美里を気持ちよくしようとして、頑張っているんだ
        もん。
        美里だって応えてあげないと。

        わたしはアソコの筋肉を意識した。
        でもよくわからなくて、肛門を閉じるような感覚で割れ目のお肉に力を
        込めてみる。

        こんなの恥ずかしいな。
        でも、この人と愛し合っているんだもん。美里だって……

        「んっ……はあぁ……いいよ、美里。すごく絞め付けられる……」

        「んああっ、ひあぁぁっ……わたしも、いいのぉ……きもちいいのぉ……
        はああぁぁっっ」

        子宮まで疼いちゃっている。
        美里って、オナニーしてもこんなに乱れたことないのに。
        指先でアソコをクチュクチュしたって、こんなにはしたないこと、口走
        ったことないのに。

        身体中の神経がマヒしちゃっている。
        それなのに、アソコに出たり入ったりするオチ○チンくんだけを、美里
        の下腹部がリアルに感じて……
        頭の中は黒川さん……ううん、信人さんに占領されて……
        わたしは叫んでいた。「信人さん、美里は……っ」って。
        そして……

        「んあっ! はあっ! 飛んじゃうぅっ! 美里ぉっ……だぁ、だめえ
        ぇぇっっっ!!」

        「ううっ、はぁ……俺もぉ……んんっ!」

        どぴゅぅぅっっ……どぴゅ、どぴゅ、どぴゅ……どぴゅぴゅぅぅっっ!

        白い絵の具のような液体が、宙を飛んでいる。
        幾筋もの飛沫になって、美里の身体に降りかかってくる。
        髪にも口元にも、おっぱいにもオヘソにも……

        熱い……信人さんのオチ○チンくんのように熱いよ。
        これは精液? 赤ちゃんを作る魔法の液体?

        だったら別に膣(なか)でも……
        美里はそれでも……

        時を操れるなら、それでも構わない。
        そんな夢にわたしは浸っていた。

        だけど、美里が選択した現実は待ってくれない。
        後戻りもさせてくれない。

        わたしは、この人を弄んでいる。
        信人さんの心を惹かせて利用しようとしている。

        だって美里は、今から悪女になるんだから。