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時を操れるなら……美里は……

















(8)



        篠塚美里の視点


        「は、はあぁ……美里の中、熱くなってる」

        「んっ……はうぅぅっ……わ、わたしも、信人さんの……熱いです」

        「……美里」

        「信人さん……動いて……んんっ、わ、わたしは平気……ですから……
        セ、セックスして……」

        繋がったまま、黒川さんが目で念押ししてくる。
        わたしはキュッと前歯を噛み締めて、コクンと頷いてみせた。
        そして、再び襲ってくる肉が裂けるような痛み。

        ズズッ、じゅちゅ……ズズッ、じゅちゅ……ズズッ、じゅちゅ……ズズ
        ッ、じゅちゅ……

        「うぅっ……あくっ! はうぅぅっっ……はあぁぁっっ!」

        黒川さんが、腰を前に押し出しては引いてくる。
        そのたびに、硬い肉の棒が粘膜を擦りながら侵入して、その刺激を和ら
        げるように撫でながら去っていく。
        それを何度も何度も、同じ動作で繰り返して……

        わたしは自分の身体に変化を感じた。
        黒川さんもそれに気付いて、遠慮気味だった腰の運動をゆっくりとだけ
        ど加速させている。

        じゅちゅ、ぬちゃっ……じゅちゅ、ぬちゃっ……じゅちゅ、ぬちゃっ……
        じゅちゅ、ぬちゃっ……

        「はうっ、はあぁっ……ああぁぁ、わたし……変……なの」

        いつのまにか、肉を削ぎ落とすような痛みが消えている。
        どこから溢れてくるの?
        エッチなお汁が潤滑油みたいに美里の膣を満たして、肉の棒……ううん、
        黒川さんのオチ○チンくんの挿入を手助けしている。
        それだけではないの。
        この恥ずかしいお汁って、美里をエッチにさせる媚薬なの?
        わたしってバージンを失ったばかりなのに、アソコにオチ○チンくんを
        感じて、気持ち良くなり始めている。

        「はあ、はぁ……美里のオマ○コ、すごくいい感じた。ヒダが絞め上げ
        てくる」

        「あふっ、あぁっ……イヤ、そんな言い方……あっ、はあぁぁ、恥ずか
        しい……」

        黒川さんに禁句の単語をささやかれて、膣がキュンとなるのを感じた。
        それを歓迎するように、美里の媚薬。エッチなお汁が、元気いっぱいの
        オチ○チンくんを包み込んでいく。

        あんなに痛かったのに。
        セックスする前は、怖くてガタガタ震えていたのに。

        そんなのが幻だったみたいに、アソコがいい気持なの。
        美里は感じちゃっているの。

        でも、これでいいの?
        美里はアナタの身体を利用して、黒川さんを利用しようとしているんで
        しょ?
        汚らわしい女。意地汚い女。
        処女膜を提供して、男の人をその気にさせるなんて……

        ほっぺたを真新しい涙が伝った。
        わたしを見つめながら腰を振る黒川さんが、ぼぉっと滲んだ。

        じゅちゅぅ、ぬちゃっ……じゅちゅぅ、ぬちゃっ……じゅちゅぅ、ぬち
        ゃっ……じゅちゅぅ、ぬちゃっ……

        「ひくっ……はあっ……信人さん……美里は……ふぅぅんんっ!」

        わたしはシーツを握り締めていた。
        そうしていないと、どこかへ飛んでいきそうで。

        そんな美里を、可愛いって思ってくれているの?
        黒川さんが優しい笑みを浮かべて、力強く腰を打ってきた。
        もっともっと美里を天国に導こうとして、粘膜の壁をいろんな角度から
        突いてくる。

        男の人のオチ○チンくんって、いじらしいね。
        でもこれって、黒川さんのモノだからだよね。
        一生懸命に初体験の美里を気持ちよくしようとして、頑張っているんだ
        もん。
        美里だって応えてあげないと。

        わたしはアソコの筋肉を意識した。
        でもよくわからなくて、肛門を閉じるような感覚で割れ目のお肉に力を
        込めてみる。

        こんなの恥ずかしいな。
        でも、この人と愛し合っているんだもん。美里だって……

        「んっ……はあぁ……いいよ、美里。すごく絞め付けられる……」

        「んああっ、ひあぁぁっ……わたしも、いいのぉ……きもちいいのぉ……
        はああぁぁっっ」

        子宮まで疼いちゃっている。
        美里って、オナニーしてもこんなに乱れたことないのに。
        指先でアソコをクチュクチュしたって、こんなにはしたないこと、口走
        ったことないのに。

        身体中の神経がマヒしちゃっている。
        それなのに、アソコに出たり入ったりするオチ○チンくんだけを、美里
        の下腹部がリアルに感じて……
        頭の中は黒川さん……ううん、信人さんに占領されて……
        わたしは叫んでいた。「信人さん、美里は……っ」って。
        そして……

        「んあっ! はあっ! 飛んじゃうぅっ! 美里ぉっ……だぁ、だめえ
        ぇぇっっっ!!」

        「ううっ、はぁ……俺もぉ……んんっ!」

        どぴゅぅぅっっ……どぴゅ、どぴゅ、どぴゅ……どぴゅぴゅぅぅっっ!

        白い絵の具のような液体が、宙を飛んでいる。
        幾筋もの飛沫になって、美里の身体に降りかかってくる。
        髪にも口元にも、おっぱいにもオヘソにも……

        熱い……信人さんのオチ○チンくんのように熱いよ。
        これは精液? 赤ちゃんを作る魔法の液体?

        だったら別に膣(なか)でも……
        美里はそれでも……

        時を操れるなら、それでも構わない。
        そんな夢にわたしは浸っていた。

        だけど、美里が選択した現実は待ってくれない。
        後戻りもさせてくれない。

        わたしは、この人を弄んでいる。
        信人さんの心を惹かせて利用しようとしている。

        だって美里は、今から悪女になるんだから。