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闇色のセレナーデ 第9話  黒いレンズにせっつかれて、男は柔肉を……


























【第9話】




行き交う車の騒音をバックミュージックに、卓造は千佳への愛撫を始めた。
胸元に差し込んだ左手が、張りのある乳房をやわやわと揉みしだいていく。
10代特有の硬さのある乳肉に5本の指を貼り付かせて、下からすくい上げるように刺激する。

同時に、スカートの中に差し込まれた右手が、千佳の手助けなしに花弁に触れた。
ノーパンで冷え切った恥肉を人肌に温めようと、小判型の肉丘を手のひらで覆う。

「あ、はぅ……もっと激しく……でないとアイツが、んんっ、割れ目を、擦って……あふ、くうぅん」

白い前歯を覗かせたまま、千佳が甘い声を漏らした。
それでも鋭い目力を湛えた両目は、道路の対岸を捉えたきりその視線を外そうとはしない。

和也の命令で監視がこっちを覗っているのだ。
ここが白昼の歩道にも関わらずに、妹の肢体を他の男に弄ばせる様をおそらく撮影し報告するためにだ。
そしてその結果次第で、卓造の運命は決まる。

「あぁ、はぁ……おっぱい、気持ちいいからぁ……早く、アソコも……んん、じれったいわねぇ、オ、オマ○コも……弄って、んくぅっ」

千佳が禁句の単語を口にして、恥じらうように目を伏せた。
けれども数秒も経たないうちに、口を大きく開いて空虚な声を放出させる。

(この子は本気で俺を助けようと、大げさな演技までして感じているフリを。だったら俺も)

千佳の想いが伝わるほど罪悪感が募り、それが戒めのように卓造の指を強張らせていた。
その指先全てに、男の本能を注入させる。

「千佳ちゃん、本気で鳴いてもらうよ」

一生涯触れることなどないと信じていたセーラー服の少女に、卓造の性欲もタガが外れた。
右足を大きく前へ踏み出すと、太股を使って千佳の両足を更に拡げる。
女性器をガードするように覆った手のひらを引き剥がし、指先を立てた。

くにゅ、くにゅ、くにゅ、くちゅうぅっっ……

「あふっ、はあぁぁ……そうよ、千佳のオマ○コ……好きにして……ひうっ」

人差し指と中指が肉厚な扉を開いて中に沈んだ。
追い掛けるように薬指と小指も埋没し、取り残された親指が亀裂の先端を押した。
薄い包皮に覆われたクリトリスを刺激する。

その瞬間、千佳の両肩がバウンドするように揺れた。
演技なんかではない、本気で感じたのだ。

「はぁ、はあぁ……おじさん、上手……んん、アイツなんかと違う……優しくて、指がぁ、ヒダに絡みついてきて」

鼻に抜ける千佳の声が、耳元で囁いてくる。
その甘い声援をエネルギーにして、卓造は大胆な指使いで千佳を責め始めた。
ここが、歩道に面していることも忘れて。

「ふふっ、千佳ちゃんのオマ○コ、熱くなってる。それに、これは何かな?」

「はうぅっ、いや……そんなの見せないで……意地悪」

卓造は花弁から引き抜いた指を、千佳の顔の前でかざした。
テラテラと輝く糸を引く指先を2本同時に立てて、ツンと尖った鼻先にひっつけてやる。

これがホテルの一室なら……
誰の目も感じない密室なら……

通りの対岸にいた黒い影が消えた。
まるでワープでもしたように、イチャつく年の差カップルの傍に出現すると、平然とビデオカメラを構えている。
黒いサングラスにマスク姿。
このまま鋭い刃物でも携えて銀行に向かえば、間違いなく手錠が待っているだろう。

目をトロンとさせた千佳が、コクンと頷いてみせる。
目の前に監視がいる以上、彼女の方から指示は出せないのだ。

「ふふふっ、はしたない娘だ。オマ○コがびっしょりじゃないか」

代わりに卓造が口にしたセリフは、限りなく棒読みに近かった。
だが彼が気弱な男であることは、和也も知っていることである。
それよりも今は行動で示すことが先決だった。
千佳を辱めることが出来なければ、彼女の助言通りに悲惨な末路が待っているのだ。

「チンポを入れてやるから、そこに手を突くんだ」

再び棒読みセリフが響いた。
それでも千佳は向かい合う卓造から身体を反転させると、ビルの壁に手のひらを突いた。
命じられるまでもなく、両足を肩幅に開いている。

ファサッ……!

「ひゃあぁっ! や、優しくして……おじさま……」

卓造の右手が、太腿まで露わにさせたスカートを豪快に捲り上げていた。
パンティーを穿かせてもらえない、白桃のようなヒップが露出される。

(きれいだ! 真っ白で沁みひとつなくて……それなのに俺は……?)

卓造は強張る指にズボンのファスナーを引かせると、硬直させた肉棒を摘まみ出していた。
胸のハートが割れ鐘を打ち鳴らすなか、身体を千佳の背中に寄せる。

「お嬢ちゃんのオマ○コ、愉しませてもらうぜ」

少女の無防備な後ろ姿に、もっと見惚れていたかった。
だが黒いレンズがせっついてくる。

伸ばした指が、尻の割れ目の下半分を拡げた。
深く刻まれた谷間から、それに続く恥肉の溝が白昼に晒されて卓造の喉が鳴る。
もう片方の指に支えられたペニスが、いれ込むように脈打ってみせる。

ずにゅ、ずにゅ……ずりゅぅっ……ズズズゥッ……







闇色のセレナーデ 第10話  路上セックスの果てに……


























【第10話】




「んはぁっ……やだぁ、一気にぃ……はうぅんんっっ!」

敢えて挿入の合図は送らなかった。
卓造は顔を覗かせた千佳のスリットを目掛けて、力強く腰を押し出していた。
40代にして特定のパートナーを知らない標準型ペニスが、清純な女子学生の膣腔を貫いていく。

「はあぁ……きもちい……いや、なんだぁ、中はトロトロじゃねえか。ふふふっ、俺の手マンがそんなに快感だったのか?」

「おじさま……そんなこと言わないで。はあっ、恥ずかしい……」

ペニスが柔らかい恥肉に包まれて、思わず『気持ちいい!』の単語が飛び出しかける。
それを慌てて封じた卓造は、ぎこちないヤクザ言葉を口走っていた。
更には監視するレンズに応えようと、腰の抜き挿しを開始する。
千佳の背中に覆い被さるようにして、立ちバックによるセックスを開始したのだ。

じゅにゅ、ぬちゃ、ぬちゃ……にちゅぅっ、ぬちゅぅっ……

「あふっ、はあぁっ……おじさまぁ、すごい……やはぁ、ふはぁっ!」

千佳は本気なのか演技なのか、区別の付かない声で反応してくれる。
ひび割れたモルタルの壁面に手のひらだけでなく、真横に向けた顔まで押し付けて、恋人でもない男のペニスを素直に受け入れている。

『千佳を本気で辱めないと、和也に用済みの烙印を押される』
そんなニュアンスのことを彼女本人に教えられたが、白昼の街中で互いの性器を晒し合って結合させ合えば、もはや疑う余地もない。

「ほら、もっとオマ○コを突いてやるから、鳴いてみせろよ。通行人にも、俺達のセックスを見せてやろうぜ」

商売女を相手にしたセックスがほとんどの卓造だが、その年なりの性技は身に着けているつもりだった。
女体をいたぶるような絡みは趣味でないが、意識すればやれないことはない。

抱き締めるように千佳の肩を抱いていた両手を、卓造は引き剥がしていた。
乱暴な腰使いでペニスの抽送を続けながら、突き出された腰を撫でさすり、くびれたウエストに指先を突き立てていた。
がっしりと下半身を固定させると、打ち込むペニスを更にグラインドさせて膣肉を抉り取っていく。

「いやぁ、そんなのぉ……お肉がぁ、こすれてぇ……あ、あぁぁ、はあぁぁぁっっ」

「んぐぅ、そうだ……マン肉に力を込めて、絞め付けろ!」

乱れたセーラー服の下で、背中のラインがうねるようにくねった。
感じる演技だけでもごまかせる。
卓造はそう考えていたが、千佳はそれを拒絶した。
壁に押し付けた口元からは本気の喘ぎを漏れさせ、本気で感じている証拠の愛液を膣ヒダから湧き出させている。

(俺の思いが甘いってことかよ)

卓造は、和也の芯の恐ろしさを千佳の身体に教えられた気がした。
可憐な女子学生が、誰の目に晒されるか分からない街中で、懸命なセックスに明け暮れているのだ。

「あぁ、んくぅ……精液をちょうだい……」

「んは、はあ……でも、いいのか?」

「うぅ、うん……気にしないで、いいから……ふぁっ、あぁぁ……ピル、飲んできたから」

そして千佳は、卓造のペニスが限界に近いことまで感づいていた。
掠れるような嬌声に紛れさせて、男の性処理にまで気遣いをみせたのである。

「それじゃ遠慮なく、なか出しさせてもらうぜ!」

卓造は力任せに、腰を打ち付けていた。
パンと尻肉を叩く音がして、膨張しきったペニスが膣奥深くにまで侵入する。
絡み付く膣ヒダを引き伸ばしていく。

「はぁっ、あぁ……硬いぃっ! おじさまのオチ○チン、奥までぇ……」

千佳が鼻声で鳴いた。

「ううっ、出る!」

卓造が低く呻いて、腰をブルルとさせる。

どぴゅぅぅっ! ドク、ドク、ドク……どぴゅ、ぴゅぅぅっっ!

「あふっ、は、はぁぁ……熱いのがぁ、中にぃっ! 千佳のオマ○コにかかってぇ……わたしもぉ、イク、イクぅぅぅっっ!!」

射精するペニスを、収縮する膣肌が扱きあげていく。
下腹に蓄積された精液を女子学生の子宮目掛けて吹き付けて、卓造は目眩を覚えた。

その揺らぐ視界の先では、千佳もまた絶頂の快感に身を震わせている。
折れそうな背中をガクガクとさせて、うなじで切り揃えた黒髪を乱れるのも構わずに振り翳している。



「はあ……はぁ……終わった……」

ペニスを引き抜いたものの、卓造の呼吸は収まらなかった。
萎えたソレを性液と愛液とでべっとりと汚したまま、両手をヒザに押し当てて背中を上下させている。

「良く頑張ったわね、おじさん。あんまり激しく突いてくるから、ちょっと心配しちゃった。でも、大丈夫みたいだね」

監視者はいつのまにか立ち去っていた。
それを確認した千佳が、出会った時よりも更に馴れ馴れしい口調で卓造に話しかけてくる。

「はあ、はぁ……こんなことなら、上着を脱いですれば良かったかな?」

「そうね。次からは全裸でセックスしてみたら……ふふっ、冗談だけど」

卓造の本気めいたジョークに、千佳は舌をチラリと覗かせて笑った。
本意なんかではけっしてない。
卑猥な試練を終えたばかりだというのに。

(この子はいったい?)

卓造は、強張ったままの表情筋を解しながら思った。
千佳という少女の底しれない精神力を垣間見た気がしたのだ。

(だったら俺は、この子のために何が? 千佳ちゃんに俺が出来ること? それは?)

簡単に見付かりそうで、見付けるのが怖ろしい答えを探して、卓造は千佳を見つめていた。
抱き締めたらポキッと折れそうな後ろ姿を晒して、セックスの後処理をする少女を。
スカートの前部分だけを持ち上げて、差し入れたティッシュで股間を清める様は、どうしようもないほどの恥じらいに満ちていた。







闇色のセレナーデ 第11話  代理調教は、目新しさを前提に


























【第11話】




卓造による千佳への代理調教は始まったばかりである。
そして初日こそは路上セックスだけで解放されたものの、2日目も同じプレイでお茶を濁すわけにはいかないらしい。
更なる恥辱プレイへの圧力のつもりなのか、例のサングラスにマスク姿の男が、卓造に貼り付いて離れないのだ。
出社するためにアパートを出ると直ぐに姿を現し、ラッシュアワーの電車も、会社の入り口でタイムカードを打つまで監視される始末である。

(この感じだと、俺が会社を出るまでずっと……? やっぱり、いた!)

勤務中に窓際の席から下を覗いた卓造は、そこにサングラス男を見付けた。
スーツは着込んでいるものの、オフィス街に全く溶け込めていない異様な姿を平然と晒しているのだ。

巡回中の警察官にでも出くわせば、職質か何かで退散願えるのだが、そうそう上手くタイミングが会うものではないらしい。
大した仕事もせずに机と睨み合っている間に、時計の針だけがグルグルと回転していく。

午後2時……
外回りと称して卓造は会社を後にした。
出入り口には、やはりというべきか監視役の男が待ち構えている。

(ほらよ、お待ちかねのショータイムがもうすぐ始まるぜ。見たけりゃ付いて来るんだな)

ギロッと出来る限りの強面の顔を作った卓造は、男をひと睨みしてから歩き始めた。
ストライドを拡げて、大股を意識しながら駅へと向かう。
千佳とは駅の南口で落ち合えるように、メールを交換し合っているのだ。

昨日はここで彼女と……
歩きながら卓造は、黒目だけをスライドさせた。
オフィスビルと自動販売機に挟まれた僅かなスペースで、ヨレヨレの中年男と可憐な女子学生が抱擁を交わしている。
そんな下半身を疼かせる幻想を抱きながら、更に足の回転を速めていく。



駅の南口は、相変わらず混雑していた。
タクシー乗り場とバスターミナルが併設され、利用客の波がひっきりなしに押し寄せてくる。

卓造は既に充分なほど人波に揉まれた感のあるヨレヨレスーツ姿で、人魚姫のブロンズ像を探した。
千佳からの返信メールで指定された場所である。


「それじゃ、行こうか」

呼び掛けた卓造に、ダークネイビーのセーラー服を着込んだ千佳がコクンと頷いてみせる。
それを、待ち合わせている男女の目線が揃って追い掛けている。

父娘だろうか? それにしては、似てなさすぎである。
ワゴンセールで処分売りされそうな冴えない中年男と、ノーメイクなのにアイドル並みのルックスを備えた美少女なのだ。
だとしたら、恋人?
その発想に切り替えた途端、男達の憎悪に満ちた視線は、卓造の背中を刺し貫いていた。
千佳を見送る女達は、彼女の背中に同情の視線を送る。

そして卓造と千佳は、連れ立って駅の構内へと向かった。
その後ろ数メートル離れた所を、小型のハンディカメラを抱えたマスク男が追尾する。

「千佳ちゃん、どこへ行くつもりだい?」

ちょうど下り電車が到着したのだろう。
改札口は降りてきた乗客で込み合っている。
そんな人波を縫うように歩きながら、リードしているはずの卓造が千佳に振り返っていた。

「いいから、こっちに顔を向けないで。あ、そこの角を左に曲がって、山川デパートに入ってよ」

しかし、千佳は素っ気なかった。
駅の構内と直結している老舗百貨店の名前を口にすると、スカート越しに太股に手をやりながらアゴをしゃくってみせる。

(強がりを装っても、やっぱり女の子だな)

ヒザ小僧を覗かせた今時の女子学生らしいスカートの下は、今日もノーパンの筈である。
おそらくブラジャーも……

理不尽な兄の命令に従う哀れな妹の姿に、卓造の心が痛んだ。
半面、更に過激な姿を晒そうとしている千佳に、卓造の男がムクムクと反応するのも確かである。

「おじさん、どんどん奥まで進んで」

「わかった」

デパートの店内に入った千佳は、卓造に向けて指示を飛ばしていた。
卓造は届かないのを知った上で、前を向いたまま答えている。

実際のところ。千佳への調教をどうするのか? 調教師役の卓造自身、知らないのである。
メールの交換で落ち合う場所は決めたものの、今日一日の行動予定は千佳に任せてある。

色欲に取り憑かれた和也を納得させるためには、平凡を判で押した卓造には無理と判断したのだろう。
千佳は自分自身を嬲りモノにするための恥辱プレイを計画して、卓造を伴っているのだ。

「ちょっと、待っててね」

そして二人がエレベーターホールに到着した時だった。
千佳は卓造の背中に声を掛けると、どこまでも付いて来るマスク男の元へ向かった。
何やら言葉を交わした後、男が手にしていたハンディカメラを握り締め戻ってくる。

「へえ~。やるじゃない、千佳ちゃん。あの男からカメラを奪ってきたんだ。ということは、今日のエッチプレイはお休みってこと?」

「違うわよ。このカメラはね、おじさんが使うのよ」

「へ? 俺が千佳ちゃんを?」

「そうよ、調教師役のおじさんが、千佳の恥ずかしくてエッチな姿を撮影するの。わかった?」

千佳が卓造を見上げて哀しそうに笑った。
その横で、二人を招き入れるようにエレベーターの扉が静かに開いていた。








闇色のセレナーデ 第12話  女子トイレで色づく、少女の恥肉


























【第12話】




監視役の男を1階のフロアーに残して、千佳と卓造が向かったのはデパートの屋上である。
その二人を出迎えたのは、開店休業状態の遊具スペースだった。
平日の昼間ということもあり、人気は皆無に等しかった。

「こっちよ、おじさん」

千佳は堂々と卓造の手を引くと、屋上フロアーの端にあるトイレへと向かった。
まるで母親に連れられるようにして歩く卓造の手には、撮影OFF状態のハンディカメラが握られている。

その千佳の足が不意に止まった。
黒と赤。男女別を示すトイレマークを見上げたまま、黒目を走らせて一応周囲を覗っている。

そして迷うことなく赤い印がある方のドアを押した。
男である卓造を引き連れて、千佳は女子トイレへと入っていった。

「なにキョロキョロしてんのよ。さ、早く入って!」

生まれて初めての体験に挙動不審な卓造を、千佳は最奥にある個室へと導いた。
素早くドアを閉めて鍵を掛ける。

「ふう~ぅ」と千佳がほっと息を尽いた。
一方で卓造は、閉じた便座を見つめて、見るとはなしに黒ビニールが覗く汚物入れにまで目を落として、鼻の穴を拡げてありったけの空気を吸い込んでいる。

「おじさんのスケベ」

上目遣いに千佳がジト目で睨んでいる。
卓造は薄い仕切り版に寄り掛かると、気まずそうに頭を掻いてみせた。

「ふふっ、冗談よ。こんなピチピチの女の子とおトイレで二人っきりだもんね。男の人なら誰だって普通だと思うよ」

「ごめん、千佳ちゃん」

怒ったのかと思えば、すぐに笑い掛けてくる。
触れ合う人をけっして傷つけたくない。
そんな優しい少女の仕草が滲み出て、卓造は目の前に立つ千佳に天使の面影を重ね合わせていた。

「おじさん、カメラを動かしてよ」

その千佳の表情から、すっと笑みが消えた。
怒りが戻ってくることもない。ただやるせない哀しさだけを漂わせながら、ぶら下げていた校章入りバッグを床に置いた。
そして、身に着けたセーラー服を脱ぎ始めたのだった。

(急に、どうして?!)

一瞬訪れた和やかな雰囲気が突然消え去って、卓造の頭に疑問符が薄く浮かんだ。
しかし、その疑問符が実体化する前に、卓造の右手がビデオカメラを起動させる。
セーラー服の上着を脱ぎ終わり、スカートに手を掛けた千佳を大写しにする。

始まったのだ。兄の和也を満足させる調教が!

カチッ……スス、ススーッ……ファサッ……

微かに金具の音が鳴り、続けて控えめな衣擦れの音が聞こえて、千佳の下半身から濃紺のヒダスカートも消えた。
淡い翳りと深く刻まれたスリットが曝け出される瞬間、さっと手のひらの形をした木の葉が覆う。
太股も固く閉じ合わせて乙女の恥じらいを意識させると、唯一残されたシャツを器用に片手で抜き取っていく。
そして、お世辞にも豊かとは言えない小粒な乳房が顔を覗かせて数秒余り。
今度は空いた片腕が真横になって、幼げな双乳を覆い隠していた。

「おじ様の命令だから……千佳、裸になったけど……やっぱり恥ずかしいよぉ」

初めて目にする千佳の身体は、素直に美しかった。
女性器だけを晒してのセックスでは分からない、瑞々しい肢体に卓造は目を奪われていた。

だから、卓造の呼び名が『おじさん』から『おじ様』に置き換わっていることに気付かなかった。
キュートで伸びのある声音が、艶っぽくて舌足らずなソレに変わっていることにもである。

「えっ! そんなぁ……やっぱり見せないとダメなの? 千佳の女の子の処……?」

そんな木偶の坊と化した卓造を相手に、瞳をウルウルとさせた千佳が上目遣いに見上げた。
何も答えない。
いや、どうしていいのか思い付かない男を相手に、恥じらいを浮かべた千佳が続きの言葉を添えた。

「それじゃぁ……見せるね。千佳の……オ・マ・○・コ……」

1.5メートル四方の密封された空間に、禁忌な単語の余韻が浸透する。
壁に寄り掛かってカメラを構える中年男の前で、超有名私立高校のお嬢様があられもない姿を晒そうとしていた。

(いいのか? 目を逸らせたり、閉じたりしなくて……本当にいいのか?!)

卓造の良心が囁いてくる。続けて……

(彼女が痴態を演じているのは、卓造……お前のためなんかじゃない。撮影された映像を愉しむ男の……千佳を性奴隷に堕とした和也を満足させるため。そうだろ?)とも……

カメラがグラグラと揺れた。
取り落としそうになり、卓造は抱え込んでいた。

その丸いレンズの前で、千佳が便座の上に腰を下ろしている。
楕円形の蓋の真ん中より手前にお尻をひっつけると、小水をもよおすポーズのように僅かに股を開いていた。

「ああ、恥ずかしいよぉ……こんなの恥ずかしいけど……でも……」

千佳が卓造を見上げて呟いた。
小悪魔っぽい恥じらいを見せたまま、演技とも本音とも区別が付かない独り言吐き漏らすと、すぅっと両足を持ち上げていく。

まるでバレリーナのようにしなやかな動きだった。
きちんと靴を脱いだツマ先が便座の上に乗せられ、ヒザ関節が鋭角になるまで折り曲げられている。

(これが千佳ちゃんのアソコ。きれいだ……とってエッチなのに、だけど……)

卓造は脱力したようにしゃがみ込んでいた。
手にしたモノを放り出したい衝動を押さえ込んで、千佳の股間を覗き込んでいた。

縦長の愛らしいオヘソに、恥丘の半分しか覆い切れていないアンダーヘアー。
その真下で、ぷっくりとした恥肉どうしが押し合うように閉じ合わさったヴィーナスの割れ目。

鼻息が届く距離で覗く少女の秘部は、可憐で初々しかった。
和也のモノを受け入れ、卓造のペニスも受け入れたにも関わらずに、処女の面影をしっかりと残している。

「な、中も開いて見せるの? はあぁ……ひどいよ、おじ様……」

(まだだ。もう少し! 時間よ、止まれ!)

卓造の願いも虚しく、千佳は独り芝居を続けた。
本気で泣いている?
目尻に光るモノまで湛えたまま、千佳はヒザ小僧に被せた両手を女の子の部分にスライドさせる。
細いとしか表現の見付からない指が左右から伸びてきて、恥肉の合わせ目を掴んだ。
指先をスリットの隙間に沈めると、一気に割り拡げていく。

「んんっ……見ないで、おじ様……千佳の恥ずかしいお肉を見ちゃイヤぁ……」

頬を滴る涙は、演技なのか?
本心によるものなのか?

視界の上の端でそれを捉えながら、卓造はおぼろげに考えていた。
瞳の中心に、サーモンピンクに輝く花弁を焼き付けたまま。







闇色のセレナーデ 第13話  性奴隷の身だしなみ


























【第13話】




「ねえ、おじさん? ちょっとねえってば……わたしの話聞いてる?」

「あ、ああ……うん、聞こえてる」

卓造は夢うつつな目をしたまま、千佳に相槌を打った。

「ふぅ~、ちょっと刺激が強すぎたかな。でもこのくらいして見せないと、あの男からおじさんを守れないし」

そんなダラシナイ中年男を相手に、千佳は大げさに溜息を吐いてみせる。
愚痴っぽい、独り言も呟いてみせる。

「だったらさ、おじさん。ちょっと確認して欲しいんだけど。その……スカートの下からアレ……見えてないよね?」

限りなく無人に近い屋上フロアーで、千佳は卓造の前に踊り出て立ち塞がっていた。
突然現れた感のある少女の姿に、さすがの卓造も足を止めた。

「み、見えるって……アレのことかい?」

「そうよ、バイブのこと」

卓造に『アレ』と言わせたモノを、千佳は事も無げに『バイブ』と言い直していた。
そしてぎこちない足取りのまま、クルリクルリと2回転する。

ダークネイビーのセーラー服から、純白のテニスウェアに着替えた千佳の肢体を、卓造の目が追い掛けている。
その視線は少女の腰回りに貼り付き、遠心力に従って薄い円盤のように拡がったヒダスコートに向けられる。

ピチピチとした太股の付け根まで覗かせたその奥で、スリットの恥肉を貫く筒状の物体と、キュートなヒップを割り拡げるもう一本の卑猥な玩具。
それをはっきりと目撃した卓造は、深く頷いていた。

「う~ん、やっぱり歩く時は慎重にってことだよね。それで、今はどうかな?」

遠心力が消えても、スコートの丈は太股の半ばまでしかガードしていない。
辛うじてヴァギナに挿入されたバイブは隠しているが、アナルに突き刺さるバイブはグリップが長めに造られている。
まるで尻尾のように飛び出して、スコートの裾を持ち上げ気味にしている。

卓造は微妙な表情を作った。
それを見た千佳が、げんなりといった顔付きを一瞬だけ覗かせた。

「ファイト、千佳」

そして、こっそりと自分にだけエールを送るのが、卓造の耳にも届いていた。
それと一緒に顔の筋肉を引き締めると、エレベーターへと向かう。

「おじさん。1階に着いたら、よろしくだからね」

けっして千佳は振り返らなかった。
場違いなテニスウェア姿のまま、手ぶらな両手でガッツポーズを作ると、到着したエレベーターに乗り込んでいく。
撮影OFFにしたビデオカメラと、千佳の代わりにスクールバッグを持たされた卓造が、急いでその後に続いた。
教科書の類ではない。
それ以外のモノで異様に膨らんだそのバッグの重さに、複雑な感情を抱きながら。



(本当は死にたいくらい恥ずかしいんだろうな。男の俺でもこんな格好をさせられたら……?)

卓造は軽く想像しただけで、おぞましい自分の姿に身震いした。

滑らかな下降を続けるエレベーターの床が、微かにだが揺れる。

「うふふ、今おじさんったら、ブルブルってしたでしょ? ホント、気が小さいんだから」

「あ、いや……俺はそんな……それよりも千佳ちゃん、本気でその格好のまま……?」

卓造のまぶたに浮かんだのは、全裸のままスクールバッグを開ける千佳の姿だった。
そのバッグの中を興味本位に覗いた卓造は声を失った。
学生という立場上必要な教科書とノートを脇に追いやって、主役のように収まっていたのは大人の玩具だったのである。
それも大量に。
大小様々な大きさのバイブから、ビー玉のような丸い球体が数珠つなぎになったアナル用バイブ。
更には本来の使い方から逸脱した電動マッサージ機まで。

千佳は卓造の目が注がれているのを知っても、特段嫌がる素振りは見せなかった。
どうせ和也に命じられてのものだろうが、諦めの表情を浮かべたままスクールバッグの中を掻き回し、手頃なサイズのバイブとアナルバイブを選び出していた。

卓造の勃起したペニスと同レベルだろうか?
千佳はそのバイブを口に咥えると、丹念に舐め回していた。
まるでフェラチオをするように舌を鳴らして唾液を塗すと、濡れた先端を股間に宛がい一気に挿入させる。
さすがにその時ばかりは、整った顔立ちを歪めて軽く呻いてみせたが、膣奥にまで突き入れると何でもない表情をしてみせた。
そしてアナルバイブも同様の手順で、お尻の穴に埋めたのだった。



「そうよ、わたしはいつも本気。半年前にあの男にレイプされて、それからずっとエッチなことをされ続けてきたから。死にたいって思ったことも一度や二度じゃないよ。でもね、千佳って負けず嫌いなの。あんな男に屈して負けたくなんかないの。だから、いつかきっとわたしは……ね、おじさんだって、棺桶に片足突っ込んでるみたいなものでしょ? だったら、千佳に協力しなさいよね。うふふ♪」

エレベーターが1階のフロアに到着する寸前。卓造は赤裸々な千佳の想いを聞いた気がした。
その上で、おぼろげだった自分自身への覚悟もようやく固まった。

エレベーターの扉が開き、喧騒の世界が二人を包んだ。
卓造は手にしていたスクールバッグを千佳に押し付けると、悠然とした態度で歩き始める。
テニスウェアの美少女と、ヨレヨレサラリーマンのコンビを見せびらかせるように。