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恍惚の薔薇 第7話


  
                                          


第7話



        その夜、理恵は帰宅するとボイスレコーダーに録音されている音声を
        CDにコピーした。
        そして、クローゼットの引き出しから預金通帳を取り出した。
        預金残高は、1千800万円を超えていた。
        理恵は8年前から篠田から受け取った現金を殆んど貯蓄していた。
        週に1度のエステ代とスポーツジムの年会費を差し引いても、月平均
        20万円は残った。

        翌日の朝、理恵は篠田に電話をかけた。

        「先生、風邪をひいて熱があります。今日は休ませて下さい」
        「あぁそうか。わかった、お大事に……」

        篠田は、あっさり返事をした。

        (とりあえず、ハワイにでも行こう……)

        理恵は、市内の旅行会社を訪れ、明日からのハワイ行きの切符と1ヶ月
        間の宿泊代を現金で支払った。
        旅行会社を出ると、予め調べておいた准一の自宅に電話をした。

        「もしもし、加奈?」
        「……」
        「もしもし、加奈でしょ? しばらく! 理恵よ」
        「……あっ、あ、理恵? し、しばらく……」

        加奈は自宅にいた。

        「懐かしいわ!何年ぶりかしら?」
        「そ、そうね、、元気?」
        「私は相変わらずよ。加奈、准一と結婚したんだってね!」
        「あ、うん……」

        加奈の声は、上ずっていた。

        「加奈、准一から聞いたでしょ? 私と准一、同じ職場なのよ」
        「あ、うん、、聞いたわよ……」
        「本当に偶然ね。ところで今何してる?」
        「えっ? 専業主婦よ」
        「じゃなくて、私今、加奈の家の近くなの」
        「……」

        理恵は事前に住所も調べていた。

        「今からちょっと会えない? 家にお邪魔してもいいかな~?」
        「あ、うん、、別に構わないけど……、でもどうして?今日仕事じゃない
        の?」
        「私、今日有給なの」
        「あ、あそぅ~、じゃあ待ってるわ」
        「本当?嬉しいわ!すぐに行くからね」

        10分後、理恵は加奈の家のチャイムを鳴らした。
        准一と加奈の家は、市内から離れた静かな住宅地にあった。
        小さな家だが、モダンで洒落た家だった。

        「あ~ら!しばらく~!」

        理恵は、明るく振舞った。

        「あっ、理恵、しばらく、どうぞ……」

        玄関は意外に広く、右側にリビングがあった。

        「理恵、ちょっと待ってね、今コーヒーいれるから」
        「あっ、お構いなく、すぐに帰るから」

        理恵は、リビングのソファーに腰を降ろした。

        「お洒落なお家ね。羨ましいわ!」
        「3年前にローンで買ったのよ」

        理恵は、部屋の片隅にある本棚を見た。
        そこには、准一と加奈の間で微笑んでいる小さな女の子の写真があった。

        「あら可愛い~!子供何歳なの?」
        「……えっ、あ、今7歳よ」
        「あっそ~、可愛い~、准一にそっくりね!」

        加奈はテーブルにコーヒーを2つ並べ、理恵の正面に座った。




※ この作品は、ましゅまろくらぶ 真理子様から投稿していただきました。
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