第8話
二人の間に重苦しい空気が流れ、暫く沈黙が続いた。
「加奈、幸せ?」
理恵は、じっと加奈を見つめながら問いかけた。
「あ、うん、、まあね……」
加奈は、俯き加減で答えた。
「そりゃ幸せだよね、准一と結婚できたんだから……」
「……な、何言ってんの?理恵だって幸せでしょ?」
「うん、8年前まではね……」
二人の間に、重い空気が流れ、おもむろに理恵がつぶやいた。
「あぁ~、でも嬉しかったな~!」
「何が?」
「だって准一、今でも私の事を愛してくれてるんだもん!」
「えっ……?どういう意味?」
「どういう意味って、今言ったでしょ、准一は私を愛してるのよ」
「何それっ? 理恵っ!あなた正気!」
「正気よ。だって昨夜、私と准一愛し合ったのよ」
「……」
「准一素敵だったわ!だから私も燃えちゃった!」
「嘘よ!そんなの嘘だわ! 理恵っ!いったい何なの?ふざけないで!」
「ははははははっ~~」
「何がおかしいの?」
「じゃあ、証拠聞かせてあげるわ!」
理恵はバッグからボイスレコーダーを取り出しスイッチを入れた。
音声-------------------------------------------------------------
「准一~~、、どお~? 気持ちいい~~?」
「あぁ、、いい、気持ちいいよぉ~~、、」
「ど、どっちがいい~~?」
「えっ~~? ど、どっちって~~?」
「か、加奈のと、加奈のオマンコと~~?」
「えっ~~?、あぁ、、理、理恵の方が、、いい、、」
「も、もっと、もっとはっきり言って~~」
「あ、うぅん、、理恵の、理恵のオ、オマンコの方が、いいよ~~」
「准一~~~、嬉しい~~~、、あぁ~~~」
「理恵、、理恵、、理恵、、はぁ、、はぁ、、はぁ、、」
「准、准一~~、、わ、私、、も、もぉ~~ダメ~~、、」
「僕も、、僕も、ダメ~~、う、う、う、、あっ!で、出るぅ~~」
「出るぅ~? 出るのぉ~? 出してぇ~!」
「い、いくよ~~、、理恵~~、いくよ~~」
「きて~~~、そ、そのまま出して~~~~~」
「えっ?、、あっ、う~ん、あっ、あっ、あ~~~、いくぅ~~~、あぁ
ぁぁ~~~~~」
「私も、私もいくぅ~~~~~、あぁぁぁ~~~~~」
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蒼白になっていた加奈の顔面は、瞬く間に紅潮した。
「ほらっ、私と准一でしょ、わかるでしょ?」
「……」
加奈の身体はガタガタ震えだした。
「理恵っ!あなたこんな事してタダではすまないわよ!」
「えっ?何言ってるの?准一を寝取ったのは誰なの?」
「……」
「准一は、あなたが妊娠したから責任を感じて結婚したのよ。本当は私
を愛してたのに……」
「私は准一と結婚してるのよ!私は准一の妻よ! 不貞行為であなたを
訴えてやる!」
「訴える?私を?ははははははっ~」
「……」
「訴えなさい!訴えても私からは何も取れないわよ」
「慰謝料を請求するわ!」
「請求しても無駄よ。私お金持ってないし…… 無いところからは取れ
ないの。はははっ~」
「事務所の先生に相談するわ!そして給料を差し押さえてやる!」
「先生に? ははははははっ~~」
「何がおかしいのよ!」
「先生にバレたら准一クビになるわよ。私、先生の愛人なの。だから止
めときなさい!」
「愛人?」
「ええ愛人よ!だから私の言う事は何でも聞いてくれるわ! だから准一
をクビにするのは簡単よ。ははははははっ~~」
「……」
「家のローン、まだまだたくさん残ってるんでしょ?はははっ」
「理恵、あなたって恐ろしい女ね!」
加奈は息遣いが荒く唇が震えていた。
「そうそう、さっきの音声だけどCDに全部録音しておいたわ! 一部
始終、後からゆっくり聞いてね!」
理恵はバッグからCDを取り出し加奈に投げつけた。
翌日理恵は成田空港に向かう途中、フラワーショップに立ち寄った。
「すみません。薔薇の花束を下さい」
「贈り物ですか?」
「はい、ここに届けて下さい」
理恵は、篠田のマンションの住所が書かれたメモを渡した。
「それからこれを添えて下さい」
理恵が差し出したのは、1通の手紙だった。
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『先生、私の事は忘れて下さい。長い間お世話になりました。 理恵』
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1時間後、理恵は成田空港にいた。
(さよなら、准一……)
理恵は空港内のゴミ箱に、ボイスレコーダーを投げ捨てた。
そしてハワイ行きのアナウンスが流れると、理恵は清々しい気分でタラ
ップを登った。
【恍惚の薔薇 完】※ この作品は、ましゅまろくらぶ 真理子様から投稿していただきました。
尚、著作権は、ましゅまろくらぶ 真理子様に属しております。
無断で、この作品の転載・引用は一切お断りいたします。 官能小説 告白体験談 投稿小説
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