(16) 「くっ、ううぅっっ……許せ三鈴!」
お父さんが呻いた。
拳を震わせながら、うな垂れた首を上げようともしない。
ここで自分が動けば、耐え忍んでいるお母さんの行為が全て無駄になると。
たとえ99%の絶望の世界が待っていても、1%のチャンスに全てを賭ける。
そう思っているのか、必死で沸き立つ怒りと闘っている。
(おお、ま○こだ。涼風の巫女のま○こだ)
(その年で、ここだけはおぼこみたいに閉じていやがる。くぅぅっ、早くブチ込みてぇっ)
数百といる邪鬼が、お母さんの身体に血走った視線を送っている。
顔を背けて両目をきつく閉じているけど、お母さんは両足を思いっきり開いていた。
全裸のままで群がる鬼たちに見せつけるように、恥ずかしいあそこを晒している。
「そのまま自分の指で拡げてみせろ。
腰を突き出して、花弁の中の肉までよく見えるようにな」
「はぁぁ、はい。仰せのままに……」
さっきと同じ答えを繰り返すお母さん。
そして、鬼に命令されるままに腰を落とし気味にして、下腹部を前に押し出した。
「おおっ、まさに絶景じゃ。神に仕える巫女が己の恥部をさらけ出すとは、よき思い付きじゃあ、のう羅刹よ。
三鈴とやら、もっといやらしく女を見せてみろ。我らを悦ばせてみよ」
「う……うぅ……お、仰せのままに……」
折り曲げた中指と人差し指を、大陰唇の内側の壁に引っかけて左右に開いていく。
中からサーモンピンクのデリケートなお肉が覗いて、その奥にある膣の入り口まで丸見えにしている。
でもお母さんはやめようとはしない。
引っかけた指に力を込めると、内側のヒダが千切れるくらいに左右に引っ張っている。
「うっぅぅ、み、見えますか? これが、み、三鈴のはしたない……お、おま○こです」
もういやだ。もう許してあげて。
わたしは目を閉じて耳も塞いだ。
それなのに、夢だから?
正視なんかできないリアルな映像が流れて、恥ずかしくて死にそうな言葉を耳に送り込んでくる。
(も、もう我慢ならぬ。は、早く舐めさせてくれぇ)
(わしもじゃあ、まずはあの真珠豆を剥き出しにしてくれようぞ)
(なにを言うかぁ、穴に埋めねば話にならん。わしのマラをぶち込んでくれるわぁ)
「ぐふふふっ、盛りのついた邪鬼どもがうるさいよのぉ。では三鈴よ、百鬼とのまぐわい存分に愉しむがよい」
羅刹の言葉とともに、人体の一部を具現化した鬼たちが、奇声をあげながら飛んだ。
「ひ、ひぃぃぃッッッ! んむぅぅぅっむぐぅぅっ!」
「三鈴っ! 三鈴っ……すまぬ。不甲斐無い我を許してくれ……」
お父さんが絶叫する中、先を競うように白い裸体を目指して飛び掛かっていく。
恥辱に塗れたまま次の定めを覚悟するお母さんを、数体の手足が地面に押し倒した。
女の象徴であるおっぱいを、数えきれない指で揉まれている。
乳房の柔らかいお肉が真っ赤になるまで潰されて捏ねられて、節くれだった指たちに好きなように弄ばれている。
乳首だって、引っ張られて抓られて、爪を立てられて。
お母さんの胸の上なのに、鬼たちが場所争いの小競り合いを繰り返して……
同時に、首から上だけの鬼がお母さんの唇を塞いでいる。
おぞましい顔を密着させながら、望まないのに死ぬほどイヤな筈なのに、死人の唾液を流し込んでいる。
「むぐぅぅぅっ、ひぐぅぅぅっっ! むちゅぅぅっ、ぐちゅぅぅぅっ!」
イヤァァァッッ! お母さんッ、お母さんッ、お母さんッ!!
苦しみのたうち回る裸体に、わたしはしがみ付いていた。
悪夢を見続けているからどうしようもないのに、透通る身体を肌をお母さんに重ね合わせていた。
いつのまにか、わたしも裸になっていた。
膨らみ始めたばかりのおっぱいも、生え始めたばかりのアンダーヘアーも、みんな晒して鬼たちの気を惹こうとしていた。
全然怖くなんかない。
これは夢だから、神楽は恥ずかしくもないし、あんたたち鬼なんて全然平気なんだから。
そんなわたしの目の前で、お母さんの両足がこじ開けられる。
神楽の可愛いお尻が揺れているのに、無視するようにお母さんの女の部分に鬼たちの舌が伸ばされる。
伸び放題の爪先が乾いた割れ目に突き刺さる。
「んんぐぅぅっ……い、痛いっ、いたいッ! あぐぅ……ああぁぁっっ!!」
ひどい。こんなのひどすぎるよっ。
ここはデリケートな処なのに。ここは女の人にとって一番大切な処なのに。
それなのに……それなのにお母さん、神楽のために……
わたしは泣いた。
お母さんも泣いている。
でもわたしたちの心なんて、悪魔の鬼たちは理解してくれない。
後からやって来た頭のない巨大な鬼が、太い両腕で群がる鬼たちを払い退ける。押し潰した。
そして勢いに任せて、そそり立った巨大な肉の棒をお母さんの割れ目に突き立てた。
そのままメリメリと沈み込ませていく。
「いやっ、イヤァッ!……痛いっ、あそこが……裂けるぅぅぅっ……うぐぅっ、くっ!」
お母さんが断末魔の声を上げた。
全身が震えて心の芯まで凍り付いて、わたしはお母さんにしがみ付いたまま、おぞましい肉の塊をただ呆然と見ていた。
これが男の人のおち○○ん? これが……そのセックスなの?
……違う。こんなの違うよ。
こんな化け物に犯されたらお母さん、死んじゃう。ホントに死んじゃうよっ!
お父さん助けてあげてよ。
どんなに耐えたって、お母さんがどんどん苦しめられているだけじゃない。
お父さんは……お父さんは、始祖鬼巡丸の再来といわれた輪廻の霊媒術師なんでしょ!
だったらこんな化け物、その刀で切り裂いてよっ!
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