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性奴隷~白い快楽 第1話


  
                                          


第1話



        藤沢藍子が「ヘアーサロン・モダ」を開業してから約1年が経過した。
        店舗は仙台市郊外にあり外壁は白、落ち着いた雰囲気の10坪ほどの小
        さな建物だ。
        藍子は都内の美容短大を卒業後、実家のある仙台市に帰省し、高校時代
        から交際をしていた武彦と3年前に結婚した。
        藍子と武彦は共に25歳。二人の間に子供はいないが世間か羨むほど仲
        の良い夫婦だ。
        武彦は、妻の独立開業の夢を叶えるために、結婚後は昼夜を問わず働き
        続けた。
        そんな武彦の努力が報われ、昨年の春にモダを開店する事が出来たのだ。

        しかし店の経営は藍子にとって甘いものではなかった。
        完全予約制で従業員は2名。開店当初から赤字が続き、最近はローンの
        支払いも遅れがちになっていた。
        幸い店の土地は藍子の父が所有しているため家賃は不要だが、建物と内
        装工事で約1500万円程かかっている。
        武彦が貯めた200万円を自己資金として、不足分の1300万円を銀
        行から借り入れた。
        事業資金は住宅ローンのように長期の借り入れは出来ない。
        設備資金として7年契約。毎月の返済額は15万円を超えていた。

        「どう?最近の店の売り上げは?」
        「相変わらずよ……」
        「まだ赤字?」
        「うん……」

        開業して1年とはいえ、赤字続きの経営に夫の武彦も穏やかではなかっ
        た。

        「やっぱり店を建てたのが失敗だったのかな~?」
        「でも市内のビルは、どこも家賃が高かったんだろう?僕は店を建てて
        正解だったと思うよ」

        当初の計画は、市内のビルの一角を借り開業する予定だった。
        しかし藍子の父の強い勧めで、店舗を建設するに至ったのだ。

        「もう少し固定客が付けば経営も楽になるんだけど……」
        「きっとそのうち繁盛するさ。藍子、元気出そうよ!」

        夫の武彦はいつも優しく藍子を励ました。
        武彦は、市内の事務機器販売会社に勤務しているが、営業成績を上げる
        ために残業を惜しまず仕事に専念していた。
        仕事を終え帰宅するのは毎日10時を過ぎていた。

        (優しい夫の期待に応えたい…… もっと頑張ろう……)

        武彦に励まされる度に、藍子はそう誓っていた。

        モダの経営の最大の難題が客数だった。
        土日はそこそこ予約が入るが、平日は多くて4~5名。
        少ない日は1~2名しか予約がない日も珍しくなかった。
        銀行ローンに人件費、光熱費を加えると、黒字にはほど遠い。
        藍子は毎日、試行錯誤を繰り返していた。

        そんなある日、モダに1本の電話があった。

        「先生、相川です。今日の午後からお邪魔してもいいですか?」
        「あら、相川さん?どうしたの?何かお話でも?」
        「はい、ちょっと先生に相談したい事がありまして…… 3時頃いかが
        ですか?」
        「いいわよ。4時に予約が入ってるから遅れないでね」
        「じゃあ、後ほど…」

        電話の相手は、美容ディーラーの相川勇介だった。
        美容ディーラーとは、サロン専門の材料問屋だ。
        相川は、美容ディーラー「大成商事」の営業マンで、モダには週1~2
        度訪れる。
        相当な遊び好きで、妻とは3ヶ月前に離婚していた。



        相川が店を訪れたのは、3時を5分ほど過ぎた頃だった。
        紺色のブレザーに黄色のネクタイがやけに目立っていた。

        「ちょっとお願いね」

        藍子は二人のスタッフに声をかけ、奥の部屋に相川を案内した。
        6畳程のこの部屋は来客用、またはミーティングルームとして使われて
        いる。

        「何かいいお話でも?」
        「はい、先生の所にはいい話しか持って来ませんよ」

        藍子は、ようやく最近になって“先生”と呼ばれるのに慣れて来た。

        「そんな事を言って、また変なお誘いじゃないでしょうね?」

        相川は女癖が悪い。
        月に1度は客としてモダを利用するが、来店する度に藍子を食事に誘う。

        「いえいえ今日は違います」
        「じゃあ勿体ぶらないで早く言って」

        相川の目が真剣になった。

        「先生、婚礼のお仕事をしてみませんか?」
        「えっ?婚礼?」
        「はい、結婚式の花嫁創りです」
        「……」

        結婚式の花嫁創りは、店内での仕事とはわけが違う。
        結婚式、披露宴は、その人にとって一生に一度の晴れ舞台でありミスは
        許されない。

        (自分にそんな仕事がこなせるだろうか……)

        しかし店の業績を考慮すると、安易に断るわけにもいかない。
        喉から手が出るほど欲しい仕事だったが、藍子は返事に迷った。

        「もう少し詳しく知りたいわ」
        「はい、実は本社の大成ホテルで、新たに結婚式会場をオープンする計
        画がありまして……」

        大成ホテルとは、相川が勤務する大成商事の親会社で、ホテル業務の他、
        結婚披露宴会場、チャペルなど10店舗を運営する県内最大手のホテル
        だ。

        「えっ、本当?」
        「はい、極秘なんですが、今年の秋にオープンする予定です」
        「今年の秋って、あと3~4ヶ月後?」
        「はい、5000坪の敷地を確保してあります」
        「5000坪?凄いじゃない!」
        「はい、県内…いや東北でもいちばん大きいでしょうね」
        「その専属サロンをモダに?」
        「はい、先生ならきっと成功すると思います」
        「専属サロンの抜擢は相川さんが?」
        「はい、社長から任されまして……」

        藍子は、相川にお茶を出すのさえ忘れていた。

        「返事は、すぐでなくても構いませんので、検討していただけませんか?」
        「お返事は、いつ頃まですれば?」
        「出来れば今月中くらいでお願いします」
        「わかったわ」
        「じゃ、僕はこれで……」

        相川は、にっこり微笑みながら席を立った。

        「あっ、ところで相川さん……」
        「はい、何ですか?」
        「婚礼のお仕事って、報酬はどれくらいなの?」

        藍子は照れ臭そうに聞いた。

        「結婚式に披露宴を合わせて、平均15万円くらいかな?」
        「15万円!」
        「はい、でも手数料として1割いただきますので、仮に15万円だとし
        たら、13万5千円がサロンの報酬です」
        「……」
        「ただし、前撮り料金などは直接サロンの報酬ですし、披露宴当日は両
        親や親戚の人達のヘアメイクも頼まれるそうですよ」
        「それで結婚式って、月に何本くらいあるんですか?」
        「少なくても10~15本は予約があると思います。結婚シーズンです
        と月に20~25本かな?」
        「……」
        「やり方次第では毎月300万くらい稼げると思いますよ」
        「……」

        藍子は息をのんだ。




※ この作品は、ましゅまろくらぶ 真理子様から投稿していただきました。
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