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不良ナースは、ノーブラ・ノーパンで出勤するの
























(19)


9月 10日 水曜日 午前7時40分  水上 千里



「おはようございま~す。水上先輩♪」

「おはよう、茜ちゃん。それにしても、いつも元気一杯ね。
ちょっと分けてくれないかな、その元気の素……ふふふ♪」

「もう、先輩ったら……からかわないでくださいよ。
アタシだって……ブルーになるときもあるんですからね」

「ふーん、茜ちゃんにもあるんだ、そんなこと。
それって……彼氏クンに振られた時とか……?」

「し、知りません。そんな……
それより先輩。早く着替えないと遅れちゃいますよ。
朝のミーティングまで、あと10分しかないですよぉ」

茜ちゃんの顔が赤くなっている。
彼女って、意外と初心なんだな。

私は更衣室のロッカーを開いたまま、茜ちゃんの着替えをそれとはなく眺めていた。
あ、断っておくけど、そういう趣味はないわよ。念のため……

彼女は、身に着けていたものをパッと脱ぎ去ると、ブラとショーツだけの姿になった。
上下ともおそろいのブルーのストライプ模様。
まだ、あどけなさの残る彼女に相応しいと言ったら、本人は怒るかもしれないけど、私はものすごく似会ってると思う。

それにしても、均整のとれた素晴らしい身体をしているわね。
まあこれで、出るところがもうちょっと出ていればねぇ。
……惜しいなぁ。

「先輩、着替えないんですか? 本当に、遅刻しちゃいますよぉ」

茜ちゃんは下着姿の上から直にナース服を身に着けると、手早く乱れた髪を整えている。

「うん……気を使わせてごめんね。ちょっと、暑気が入ったのかな。
もう少しだけ、ここで休憩してから行くことにするわね。
茜ちゃん、悪いけど先に行っててくれる?」

「大丈夫ですか……先輩……?」

「うん、少し休めば良くなるから。さあ、急がないと。ミーティングに遅れるよ」

我が身のように心配してくれる彼女に、心臓が深くえぐられるような気がした。

嘘をついて、ごめんね茜ちゃん。本当は……



時計の針が午前8時を指している。
朝のミーティングが始まった。

この病院では、夜勤のナースと昼勤のナースの引き継ぎが、このときに行われる。
そして、夜勤だった彼女たちが帰り支度をするために更衣室にやって来るのは、おそらく30分後。
つまり、その僅かな間。この場所には誰もいないはず……

ただし、私みたいな不良ナースが存在しなければだけどね。

「……ファイト、千里」

つぶやくように囁いて、念のため、もう一度更衣室を見回してみる。
……当然、誰もいない。

私は、深く息を吸い込んで吐いた。
そして、着変え……ううん、裸になろうとしていた。

襟元に可愛らしいボウタイのあしらわれた、ネイビー色のカットソーに、ややゆったりぎみで左右にポケットのついたベージュ色のカーゴパンツ。
ちょっとキュートで、ちょっとワイルド。
これが、普段の千里の通勤服。

それを、あえてナース服を準備せずに脱いでいく。
カットソーを頭から抜き取り、カーゴパンツを一気に足首の辺りまで引き下ろす。

残るはブラとショーツと言いたいところだけど、これで私は全裸になっていた。
そう。アパートを出たときから私が着ていたのは、この2枚だけ……

要するに、下着を全く着けずに職場に来たってわけ。
うふふふっ……これじゃ、変態だよね。

あっ、忘れるところだった。
私は、頭の上にナースの象徴であるナースキャップを載せた。
あとは……胸とアソコを手で隠して、男が来るのを待つ。それだけ……



パタンッ……!

上の方で扉の開く音がした。
コツコツと階段を降りる靴音が、コンクリートで覆われた更衣室に響いてくる。
ここは、半地下にあたるため、近づいて来るのが誰なのか、ここからではわからない。
でも、私は知っている。
それが、誰なのかを……

「ほおーっ、驚きましたね。まさか病院内で、露出ナースを目撃することになるとは……
しかも、朝の大切なミーティングの最中にね……ははははっ……
……君には、恥というものがないのですか?」

その白衣の男は歩きながら私に話しかけていた。
どうやら、ここが女子更衣室であることも眼中にないらしい。

そんな男に私は、悲鳴を上げることさえせずに、自己弁護のように言い返していた。

「……ひどい。下着を着けずに通勤させたのも、ここで裸で待機するように命じたのも、全部、松山先生アナタじゃないですか。
それを……露出ナースなんて……」

「……ああ、そうでした。最近、物忘れがひどくなりましてね。
淫乱な千里に相応しい指示を、メールで与えたのはこの私でした……ははははっ……」

松山は、何も身に着けていない私の身体に視線を這わせている。
顔からゆっくりと下半身に向かって、舐めるように……

そして一言、命令した。
「ジャマな手を外しなさい」と……

私は命じられた通りに、両手を腰のサイドにひっつけた。
でも、視線を逸らせたりしないから。
出来るだけ怖い目を意識して、相手の視線を跳ね返すように睨みつけてあげた。

「千里は気が強いね。それとも、自分のプロポーションに自身があるからかな。
生まれたままの姿で男と対峙しながら、恥ずかしがるどころか、そんな表情をして……
まあ、どっちにしろ私にとっては、虐めがいがあるというもの……」

「それで、何をさせる気……?」

時間があまりない。
時計の針が、8時10分を指している。

「そうですね。手っ取り早くセックスでもして、千里の甘い声を眠気覚ましにと、いきたいところですが……
私も外来診療が控えているんでね。
今朝のところは千里のオッパイと唇で、私の息子を満足させてもらいましょうか」

「……どういうこと?」

私は、わざと知らない振りをして、睨みつけていた視線を下に移動させる。

ズボンの前の部分が、パンパンに膨らんでいる。
……ということは……?!

「そんな物欲しそうな顔をしないで下さい。それとも……セックスして欲しいんですか?
でも、今はお預けですよ。その代わり、濃厚な精液をたっぷりごちそうしてあげますからね。
さあ、千里が私の下半身を裸にするんですよ」

つまり、こういうことよね。
松山のペニスをパイズリさせながら、口で舐めて射精させろと……

……うーん、問題山積みかも。
大体、千里。以前の彼氏とも、こんなプレイしたことないんだから。
パイズリって言葉も、エッチな雑誌を見てちょっと知識がある程度だし。

……それ以前に、ペニスを口に含むことに、ものすごい抵抗感がある。
惨めで……屈辱的で……それなのに、この男の精液を飲めだなんて……
きっと松山は、さっきの私の目を見て、思いついたんだ……失敗だったかな。



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