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露出オナニーって快感?

























【第12話】



        
        あたしは地面に転がる小石をササッと跳ね除けると、両手を突いて両ヒ
        ザもひっ付けていた。
        それだけでお股のお肉がヌチャって鳴いた。

        雪音、オナニーってどうやってするの?
        割れ目の中までムズムズさせておきながら、サングラスに表情を消した
        あたしが白々しく訊いた。
        せっかく足止めさせた盗撮カメラ君を失望させたらダメなのに、オナニ
        ーまでのカウントダウンを引き伸ばそうとする。

        カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……

        急かしているの? 興奮して期待しているの?
        盗撮カメラ君が四角いボディを鳴らして、たぶん数分後の雪音に訪れる
        真っ白な世界をフラッシュライトで予言してくれた。
        ザワザワと草木が擦れる音と一緒に、ススーッてファスナーを引く音が
        して、「はあ、はあっ……」って荒い息遣いも聞こえて。

        やるっきゃないでしょ、雪音! 
        日夜鍛えた指使いを今こそ披露する時よ!

        あたしは左手だけで身体を支えると、右手をお腹の下から侵入させて割
        れ目のスリットに這わせた。
        中指にリーダーを任せて、ヒダヒダの底にまで一気に沈めた。
        人差し指と薬指がサポートみたいにサイドの感じる壁を引っ掻いて、カ
        メラ君が覗いているのにお尻がバウンドする。
        閉じるのを忘れた前歯の隙間から、お約束の声が漏れた。

        ズニュ、ズニュ、ぬちゅうぅ……にちゃ、にちゃ……

        「ひゃぁっ! は、はぁぁぁ……指がぁ、勝手に……ンアぁぁっっ!」

        膣の粘膜が悦んで、エッチなお汁を沸き出させてくる。
        それが、シュッと音を立てて割れ目の縁まで溢れてきて、あたしは本能
        に任せて指を動かしていた。
        とっくの昔に蕩けちゃってるエッチなお肉を、摩擦ですり減るくらいに
        擦り上げていた。

        飾りっ気なしに気持ちいい。
        夜の公園で風に吹かれて独りエッチするのって、快感!
        ううん、そんなことより誰かの目を気にしてオナニーするのが、いいの!
        カメラの被写体にされて、フラッシュをバンバン焚かれると、疼いちゃ
        うの!
        アソコが……雪音のオマ○コが……ヒクヒクってして、まだ経験したこ
        とがないオチ○チンと仮想セックスを体験してるの!

        「んぐ、はぁぁ……美帆ぉ、愛してる!」

        「あぁ、ふあぁぁぁっっ! 毅ぃっ、私もぉ愛してるわぁ……だからぁ、
        出してぇ……赤ちゃんの元、いっぱい膣(なか)にぃ、はあぁぁぁっっ」

        その時、愛し合う二人の営みを風が運んだ。
        セックスのラストを飾る夫婦の饗宴を、雪音の鼓膜が素直に拾った。

        「き、気持ちいいよぉ……はぁっ、アソコがぁ感じるぅ……だめぇ、ダ
        メぇっ!」

        ピアノも弾けない雪音だけど、鍵盤を叩くように感じるお肉を弾いてい
        た。
        押さえるだけでエッチなジュースが溢れるスリットを、束にした指先で
        シュルシュルと撫で磨いていた。
        これが露出オナニーの最後の快感だって、あたし自身に知らせるつもり
        で。

        撤収だよ、雪音! もう、あなたの役目は終わったの!

        真っ白な階段を駆け上って頂上一歩手前の雪音が、口元から涎を垂らし
        て振り向いた。
        イヤイヤって首を振って、目を潤ませて、最後の一段に足を掛けようと
        する。

        「ふあぁぁっ……な~んか、このポーズって疲れるのよね。やっぱりオ
        ナニーするなら、ベッドの中だよね」

        あたしは割れ目に這わせていた指を引き剥がすと、お父さん顔負けの棒
        読みセリフを夜空に向けて口走っていた。
        身体を起こすと、オナニーしてたことも忘れたみたいにパパッと土埃を
        払った。

        ザザッ……ザワザワザワ……
        カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ……

        そんな雪音の心変わりに、草むらがどよめいて、盗撮カメラ君が全力で
        引き留めようとする。
        決して振り返らない後ろ姿だけの裸体に、真っ白なフラッシュ光線を明
        滅させる。

        ごめんね、盗撮カメラ君。アナタと一緒に天国へ昇れなくて。
        お詫びに雪音からプレゼントを置いておくね。

        あたしは足元に脱ぎ棄てられた服を引っ掴むと、ほんわりと温かいブラ
        とパンツだけ地面の上に置き去りにした。
        そして、素裸のままで始めゆっくり、10歩進んで全力ダッシュした。
        なぜか太股を捩らせて。
        オシッコをお漏らししたわけじゃないのに、なぜか内股をべっとりと濡
        らして。

        走りながらなのに雪音の頭は、家に帰ってからの行動をシュミレーショ
        ンしていた。
        シャワーを浴びて、夜食にカップラーメンを平らげて、ベッドに潜り込
        んで……

        オナニー! オナニー!! オナニー!!!



        全裸なのにサングラスだけを掛けた女の子がジョギングする姿に、もし
        居合わせた人がいたら腰を抜かしていたかもしれない。
        ううん、突然オオカミさんに変身して、太くて硬~い注射の餌食になっ
        ていたかも。

        幸いあたしは、ドロドロに濡れたバージンだけは守り通して、お父さん
        の後ろ隣に帰還した。
        急いでジーンズとTシャツだけを着込むと、レンズを覗いたまま『返事
        はないただの屍だ』状態になっているお父さんを突いた。
        脇腹をコチョコチョって。

        「どうやら、撮影はうまくいったみたいね」

        「ああ、写真もばっちりだけど、見てみなよ、雪音。夫婦仲も羨ましい
        限りってとこだな……ぼりぼりぼり」

        雪音が蘇生してあげたことも忘れて、お父さんはえっへんって顔をして
        みせる。
        蚊の集団に弄ばれたのか、赤くなった首筋を掻きながら、それでも二人
        してシーソーに跨っている美帆さんと毅さんを指差している。

        「ホント……絵になる光景ね」

        二人とも既に服は身に着けている。
        その上で、童心に帰ったように目を輝かせてシーソーを漕ぐ姿に、あた
        しのハートもジンとしちゃう。
        あっ! 子宮が疼いて熱いお汁が……もう、エッチなんだから、雪音は。

        「ところで、雪音。例の足音はどうやって追い払ったんだい? まさか
        ナイフでも突き付けて脅したり……してないよね?」

        「してません! というか、お父さんは実の娘をそんな風に見てたのね。
        ま、まあ……でもそれでもいいかも……ごにょ、ごにょ……」

        結果良ければ全て良し……かな。
        お父さんはカメラを片づけながら、チラッとあたしの顔を覗いて「ふふ
        ふっ♪」って意味の分からない鼻声を残した。
        あたしもチラチラッと覗き返して曖昧に笑うと、転がっている蚊除けス
        プレー缶を拾った。

        お幸せにね。美帆さん、毅さん。
        きっときっと、元気な赤ちゃんが授かりますように。

        「おっ! 流れ星か……なんでもいいからお願いしないと」

        まるであたしの心を見透かしたように、お父さんが夜空を指差していた。
        その短くて太い指先を雪音の目が追い掛けて、夫婦熱愛中の美帆さんも
        毅さんも追った。

        「わぁ、きれいな星空♪ 街の真ん中でも見えるんだね、天の川って…
        …」

        「ほんとね。こんなに美しい星空が輝いてたのに、私……気付かなかっ
        たわ。ねぇ、毅はどうなの?」

        「僕も気付かなかったな。だって、ほら……美帆に夢中になってただろ」

        肩を寄せ合って微笑む美帆さんと毅さんは、なんだか目を潤ませている
        みたい。
        そういう雪音も伝染しちゃったのかな?
        まるで川底から見上げるようにお星様がユラユラしている。

        お父さん、気を使ってくれてサンキューだよ。
        流れ星は一瞬の贈り物。
        だけど夜空に瞬く星々の輝きは、永遠の宝物。

        あたしは、相変わらず首筋をポリポリやっているお父さんの手を取ると、
        代わりにカキカキしてあげた。