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精液ってどんな味?























(三十六)


八月 二十二日 金曜日 午後九時  早野 有里



「んちゅ……んむっ、んんっ……はぁ、はぁ……ングッ……」

「なに、休んでるんですかッ! さっさとくわえてッ!」

「んんッッッッッ!! ングッッッ……!!」

わたしは、例の怖い怖い部屋に、メールで呼び出されていた。
昼に続いて2度も副島にいじめられるなんて……今日はついていないな。
お父さんの治療費のことを考えれば仕方ないんだけど、行為が終わるたびに自分が惨めに思えて辛い。

今も、ズボンの前から顔を覗かせている、自称副島の息子を舐めさせられている。
フェラチオっていうんだっけ……
雑誌で見たことがあるから知ってはいたけど、あんな女の人を馬鹿にしたようなプレイを、自分がさせられているなんて、今も想像したくない。
だって、おちん……ううん。男の人のアレって……その……おしっこをする処でしょ。
それを口に含まされているんだよ。

そして、ちょっとでも口を離すと罰だという感じで、アレを喉の奥まで差し込まれるの。
苦しくて、気持ち悪くて、胃がムカムカしてきて吐きそうになる。
一層のこと吐いちゃおうか? 汚れてしまうけど、その方が楽に思えるくらい……
本当に、これって地獄みたいに辛い。
だって、喉の奥に当たると息が止まって、食道から何かが飛び出しそうで、わたし、死んじゃうと思ったんだから……

「ほらぁッ、唇をもっと締め付けてッ! 舌を転がしてッ!」

「んぐっ、んんんッ……んっ、んっ……んむぅぅぅぅぅぅぅッ!!」

ひどい! また乳首をつねられた。
それにね。わたしの舌の使い方が気に入らないと、すぐにお仕置きみたいに乳首をいじられるんだよ。

でも……もう無理……
あごも舌も感覚がなくなってきている。
さっきまではあごの筋肉が疲れて悲鳴をあげていたけれど、今はそれも感じない。
この部屋に入ってから、30分以上こんなことやらされているんだよ。
こんな地獄いつまで続くんだろう……

「さあ、もう一度フィニッシュですよぉ。今度は一滴残らず飲み干してくださいねぇ」

「ちゅっ……ちゅぷっ……んんっ、んぐッ! んぐッッ!」

副島のアレがまた膨張してきた。
わたしの口の中で、ご主人様みたいな顔をして暴れ回っている。
鈍くなった舌の動きに飽きたのか、副島がわたしの頭を掴んだ。
わたしのポニーテールを引っ張った。
そして、勝手に腰を振り始める。
わたしの口は、あなたの性処理の道具じゃないのに……

「んんっ、んんッッッッッッ! はぅッッッッ! んッ、んッ……んぐッッッッッッッッッッッ!!」

喉の奥を何度も叩かれて、息が止まって本当に吐きそう。
もうやめてぇッ! もう許してぇッ! と、目で合図を送っているのに、まるで無視。

わたしの鼻に、もじゃもじゃの陰毛がひっつくぐらい肉の棒を挿入されて、副島が悦に浸った声で言った。

「私の精液をごちそうしてあげます」って……

そんなのいらない。飲みたくありませんって、言いたいのにアレをくわえさせられて断れない。

「んむぅぅッ! むうぅぅぅッッ、んっ、んッ……むむぅぅッッッッ……!」

目の前で、行ったり来たりしていた副島の腰が、動きを速めた。
肉の棒が、口の中でぐるりと回転しながら暴れてる。
しびれた舌先が、ぱんぱんに膨らんだアレの先端に触れさせられた。

……射精を飲まされる?!

どぷッぅぅぅぅッ! どぴゅぅぅぅぅッ……ドクッ、ドクッ、ドクッ……

「んぐぅぅっ……ごくっ、ごくっ、ごくっ……ングッッッ、ぅぅぅ、ぷはっ!……はぁっ、はぁっ、はあっ……」

熱くて苦いものが、奥にぶつかりながら口いっぱいに拡がった。
こんなもの食べ物じゃないのに……
わたし、苦い食べ物大っ嫌いなのに……

喉を必死で鳴らして飲み込んだ。
でも、吐き出しそうになって、ちょっとだけ唇の端から垂れてしまう。
全部なんて、やっぱり無理だよ。

「んんっ、げほっ、けほっ、けほっ……はあっ、はぁっ、はぁ……」

喉に粘着物が絡まり、激しく咳こんだ。
吐き出された唾液混じりの白濁液が、わたしの乳房にベットリと付着した。

「……お仕置きですねぇ」

副島が、笑いを堪えながら言った。

わたしは、太ももに張り付いているミニスカートに、目をおとした。
そして、力なく立ち上がると、スカートのホックに指を添えた。

1回目、全部飲めなかったから、お仕置きだと言って、上半身裸にさせられた。
2回目も全部飲めなかったら、今度は下も全部脱げって……

結局、わたしは飲めなかったから、スカートもパンツも脱がなければいけない。

でもどうして、こんな理不尽なルールに従わなければいけないのよ。
こんなの最初から無理だって、わかっていたのに……

……スルッ……ススッ……

パチンとホックを外して両手を離すと、肌をこする音がしてスカートは足首に絡まった。
続けて、たった一枚残されたパンツも寂しそうにしてたから、潔く脱いであげた。

「どう? これで文句ないでしょ」

全裸のまま、少しだけ胸を突き出して、でも、顔は横を向いたままだし、声も裏返っている。

男の人の前で肌を晒すのって、何度やっても慣れなくて恥ずかしいだけ。
いやだな、肌が赤く染まってきた。

「いつまで、恥ずかしがっているのです。
いい加減、裸になることに慣れてくださいよ」

いつのまにか、両手であそこと胸を隠しているわたしに、副島がまた無理なことを言った。

「さあ、手は腰の横ッ! 隠さないッ!
……まあ、いいでしょう。
有里様の初々しい恥じらいも、私にとっては、息子のエネルギー源ですからね……」

そして自慢のものを見せようと、腰を揺すった。

……?!
……嘘でしょ!
もう、復活している。

わたしの口の中に、2回も出しておいて……信じられない。

一体男の人って、どこであんな、苦くておいしくない液体を作っているのよ……

……でも、今言ってたよね。
わたしの初々しい恥じらいって……
ということは、わたしの仕草を見て興奮したってことよね。

なんだか、ちょっとした優越感かな……

わたしの視線に気が付いたのか、息子がビクンと挨拶して、副島がニッと笑顔を見せた。

……やっぱり、こんな優越感いらない。

「どうしたのですぅ?
私の息子が気になるようですねぇ。
ふふふ、ご安心ください。
今晩も、有里様のおま○こにたーっぷりと食べさせてあげますからねぇ」

そう言うと、副島は、身に着けているものを手早く脱いで全裸になる。

「あのぅ、その前にお水を飲んでもいいでしょ?」

こんなこと、一々許可なんて必要ないかもしれない。
でも、遠慮気味に聞いた。
副島が機嫌を悪くすると、余計ないじめが追加されそうだから……

「ええ、構いませんよぉ。
……おお、そうだった。
この薬をついでに飲んでくれますかぁ?」

「……これは?」

手渡されたのは、カプセル型の錠剤だった。
まさか、あやしい薬じゃないでしょうね。

「そんな疑いの目をせずに、薬をよく見てください。
さすがのあなたも知っていると思いますよぉ。
これはですねぇ、女性専用の薬。そう、経口避妊薬ピルですよ。
ククククッ……」

「……ピル……」

当然知っている。
学校の保健の時間にも教わるし、これを飲んでおけば妊娠しないってことも……

「ピルはいいですよ。
これさえあれば、いつでも中だしOKですからね。
商売女にもかかせないと聞いていますから……」

「……そんな言い方、やめてくれませんか」

頭の中で、商売女って言葉が何度も繰り返される。
わたしも、お金のためにエッチをしているんだから、きっと商売女だよね。
……ちょっと、へこんじゃった。

でも、これからが本番みたいね。
……早く、おうちに帰りたいな。



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騎乗位でセックスします























(三十七)


八月 二十二日 金曜日 午後九時三十分  早野 有里
  


「何をしているんですか。
薬を飲んだなら、さっさとこっちへ来なさい。
私の方は準備万端ですよ」

いつのまに? という感じで、副島は簡易ベッドの上で仰向けに寝転がり、わたしを手招きしている。
その上で、彼自慢の息子が真上を向かってそそり立っていた。

あんな死ぬような思いをして出してあげたのに、なんであのバカ息子……あんなに元気なのよ。

結局、今夜もセックスさせられるんだ。
わたし、いやらしい声を出して、イクまでこの人の相手をさせられるんだ。

「それで、わたしはどうすればいいんですかぁ?」

杭のように立っている息子を見れば、なんとなくわかるのに、わざと知らない振りをして聞いた。

もしかしたら、気を使って許してくれるかなぁって、淡い期待を持って……

「おやおや、エッチに興味津々な有里様らしくないですよぉ。
分かっていて、そんなことを仰る。
さあ、私の上で淫らな腰のダンスを披露してくれませんか。
今日の主役は、有里様ですからねぇ」

……やっぱり、そう言うと思った。
この部屋に入ったときから覚悟は出来ているけど、もうちょっと普通のセックスがいいな。
出来れば、正上位とか……あっ、自分で言っちゃった。

「どうしましたぁ? さっさと私にまたがりなさい」

副島の息子が、ピクピクとわたしを誘った。
この息子とダンスするのって、勇気がいるよね。

要はわたしが、男にまたがってセックスをしろと、腰を振れと……

……でも、恥ずかしいよ。自分から入れるなんて……
それに、自分から動いたら言い訳出来ないじゃない。
セックスは、男性主導でするものじゃないの?

「早くしてくださぁーい。
さっきから、息子が有里様のことを首を……ではありませんねぇ。
カリ首を長ーくして待っていますよぉ……はははは」

全然面白くない、中年オヤジみたいな下ネタ。
そんなことを言う人は、そこにある皮枷に手足を縛りつけて、SМみたいに鞭で叩いてやるんだから……

……って、寂しい冗談だけど……
……やっぱり、恥ずかしいけど、やるしかないよね。
わたし……商売女だもんね。

こんなことなら、この男の前で、恥じらいなんか見せるんじゃなかった。
……失敗したなぁ。
まあ、ちょっと辛いと思うけど、有里、頑張ってよ。

わたしは、ベッドに上がると、副島の上にまたがってヒザをついた。

「いい眺めですねぇ。
おま○こがぱっくりひらいているのが丸見えですよ。
ねえ、有里様……」

「……お願い、見ないでよ」

「さあ、しっかりと私の息子を掴んで、有里様の割れ目にあてがってください」

わたしは、指を震わせながら副島のアレに手を添えると、あそこに位置を合わせた。

「早く挿入してください」

「分かってる……うぅぅっ」

そしてゆっくりと、腰を落としていった。

……くちっ!

「あっ、ああぁぁ……」

アレの先端があそこに触れて、ぶるって腰が震えた。

「さぁっ、一気に挿れてください」

辛そうなわたしの顔に刺激されるのか、アレが興奮したようにドクンドクンと脈打っている。
でも……まだ準備が出来ていないの……

「じれったいですねぇ。処女でもないのに、もったい付けないでくださいよぉ」

「……くッ、ああッ、少し待って……まだ、濡れていないんだから……」

わたしは顔をそむけてそう言うと、さらにゆっくりと腰を落としていった。
潤いの足りない軌道にアレがめり込み、脳裏に処女を失った痛みが再現される。

……怖いよ。
痛みよりも言いようのない恐怖に身体が強張っていく。

「くっ……あっ……」

副島の視線が、わたしのあそこをじっと見ている。

……!!
……悪戯っ子が、いけないことを考えている目。
……わたしが挿入する姿を見世物のように楽しんでいるんだ。

「……くぅぅぅっ! はぅぅぅぅぅっ!」

副島の胸に両手を突いて、わたしは歯を食いしばり、太ももの筋肉に力を入れた。
腰を一気に落としていく。

ズズッ、ズリュッ……ズズッ、ズリュッ……

膣のヒダが引きつって、アレが壁を拡げながら奥まで侵入する。

「は、入ってくるぅぅぅッ……くぅぅ、中に入ってるぅぅぅ……」

わたしは、我慢出来ずに声を漏らした。
ううん、声を出して恐怖を吹き飛ばそうとした。

いつまでも、見世物になんかなりたくないから……
副島も副島のバカ息子も楽しませたくないから……

そして、心の中で、エイッ! って気合いを入れて身体を沈めたら……お尻が何かにひっついた。

……入ったの?

わたしは、そーっと結合部を覗いた。
そこには、男をまたいで大きな固まりを飲み込んだ、卑猥な下半身があった。

「ふふふ、全部入ったようですねぇ。
さあ、遠慮はいりません。
腰を思いっきり振って、私を犯してください」

そんなこと急に言われたって、出来るわけないじゃない。
犯されているのはわたし。副島じゃないのよ。

だから、出来ませんって、首を左右に振った。
それなのに、お腹の中で副島の息子が、あそこに意地悪をした。

「あっ、あっ、だめっ……うっ……うごかないでッ……」

「何をしているんです。
さあ、腰を上下に振って、早く私を犯しなさい。
そうでないと、一晩中、息子をしゃぶらせますよぉ。
それでも、いいんですかぁ?」

わたしは、もう一度首を左右に振った。

もう、あんな地獄はイヤッ。
本気で死にそうだったんだから……
でも、それじゃ、自分から動くしかないの?

「あっ、いやッ、ゆるしてッ……」

催促するようにまた揺さぶられて、息子の先端があそこの奥でまた意地悪をした。
さっきから、あそこの中がジンジンして、身体の力が抜けていく。

せっかく苦労して入れたのに……でも、このままじゃ解放してもらえないから……
わたしは、自分にずるい言い訳をして、両足に力を入れ直した。

「はあっ、んんっ……ツライッ!……」

男が見ている前で、腰を持ち上げた。
膣の中から異物の圧力が消えていく。
でも、このままじゃセックスにならない。
すぐに、飲み込まないと……

「あうっ……あぁぁっ……」

今度は、一気にお尻を落とした。
ペシャッて肉を叩く音がして、膣がまた揺さぶられた。

「これでは、いつまで経っても、終わりませんよぉ」
有里さまぁ……
出来なければ、おしゃぶりですよぉ」

副島はまったく動く気配がない。
全部、わたしにやらせる気だ。
何度も恥ずかしく腰を揺らして、この男が射精するまでやらされるんだ。

わたしは、意識して腰を上下に振った。
ペシャッ、ペシャッて、お肉を叩く音も大きくなる

自分で動くなんてものすごく恥ずかしくて、出来る事なら消えてしまいたい。
こんな格好、女の子がしたらいけないと思う。

だから早く感じさせて、こんなことさっさと終わらせないと……

ぬちゃっ、じゅちゃっ、ぬちゃっ、じゅちゃっ……

「あっ……うんっ……あ、あんっ……だめっ……」

同じことをいつまで繰り返すんだろう。
さっきまで気が付かなかったけど、あそこの奥からいやらしい汁が流れ出している。
お尻が落ちるたび、恥ずかしい水音が部屋に反響している。

「はぁっ、あっ、あっ、あっ、きっぃッ、はぁんっ……だめっ、だめ……」

あそこが熱い。
気持ち良すぎて熱い。

……それなのに、副島のアレ。堅くて大きいけど、もう出しますって感じじゃない。
こんなに、あそこでこすってあげたのに……まだなの?

「さすがの私も、2度も射精してしまいましたからね。
まだまだかもしれませんよ。
まあ、有里様の頑張り次第ですかね」

「そ、そんなこと言われても……はぁっ、はぁ、もう、辛いッ……はぁ、早く……してッ、んんんっ」

だんだん、息があがってくる。
馴れない姿勢に、慣れていない筋肉が悲鳴を上げ始める。

運動することは大切だけど、この姿勢は勘弁して欲しい。
部活の筋トレも肉体的に辛かったけど、心までは辛くなかった。

どうすればいいの……
どうすれば、白い液を出してくれるの……

わたしは、腰を振らされながら、すがるように副島を見つめた。
でも、私には関係ないって感じで目を閉じられた。

……それって、自分で考えろってこと?
商売女なら、身体を使って考えろって……?!

……!……!

また、エッチ大好きな有里にならないといけないみたい。

わたしは、副島の胸の上から両手を離すと、自分の乳房にあてがった。
そして、やさしく包み上げるように揉み始めた。

「見てぇ、副島様ぁ。 あぁっ、はぁっ……ゆっ、有里ねぇ、自分で腰を上げ下げして感じているんだよぉ。
はっはぁんっ、あ、あそこから、エッチなお汁をいっぱい出してぇ、もう、気持ちよくてとまらないのぉ……
はぁっ……だからぁ、副島様も一緒に感じてぇ」

こんなの……こんなのッ! わたしじゃないッ! 早野有里じゃないッ……!
今、はしたなく腰を振っているのは、わたしの知らない商売女なの……

だから、信じられないくらい恥ずかしい言葉だって、へっちゃら。
普通の女の子なら、泣いちゃうようなことでも、平気で出来る。

見ててよ。

わたしは、意識してあそこに力を入れた。
少しでも、副島の息子に刺激を与えたくて……
少しでも早く解放されたくて……

「はぁっぁぁぁんッ、どぉ? 気持ちいいぃ? 有里のおっ……おま○こ気持ちいい……?」

ダメッ、もう、腰が持ち上がらないッ!
太ももが突っ張って、呼吸も苦しくなって……それなのに、身体の芯も頭もトロンとしてきて、気持ちいい。

早く感じてよ。
男の身体の上で、一生懸命腰を上げ下げして女の子が鳴いているんだから。

彼女の気持ち察してみてよ。
恥ずかしいのに、自分のあそこにアレを飲み込んで頑張っているんだから。

じゅちゅっ、ぴちゃっ、じゅちゅっ、ぴちゃっ、じゅちゅっ、ぴちゃっ、じゅちゅっ、ぴちゃっ……

お尻が触れるたび、いやらしいお汁がこれでどうってくらいに、エッチな音を立ててくる。
 
さっきから、身体の力がストンって抜けて、エッチな叫び声をあげて、頭の中は気持ちいいで埋められていく。

ただね、副島の観察だけは忘れていない。

寝た振りしてるけど、寝顔がスケベだよ。
息子さんも元気になりすぎて、膣をえぐられて頭が真っ白になるくらい強い快感に責められている。

さあ、もう一息ッ!

どんなエッチな言葉を語ってあげようかな。

わたしは、副島の上で腰を回してくねらせた。

もう、太ももは痛くて動かない。
だったら、はしたない踊りをするしかないでしょう。
これは、おまけだよって、乳房をムニムニ揉んで、乳首を指で摘んで弾いた。

「ふぅぅっん、有里はねぇ、腰振りダンスでもっともっと、気持ちよくなりたいのぉ。早くイッちゃいたいのぉ。
だからね、副島様も一緒にイキましょ。
有里がおま○こでもっとサービスするから……お、おち○○んにいいことをしてあげるからぁ」

これって、演技かな?
それとも、本心?

もう、どうでもいいから……早くイッテ!
薬飲んだから、膣の中に出していいから……

ぬちゅぅ、ぴちゅっ、ぬちゅぅ、ぴちゅっ、ぬちゅぅ、ぴちゅっ……

お尻を揺らして、子宮が揺れて、堅くて大きいのがわたしのお腹の中で暴れた。

「ああぁぁっ、いいッ、いいのぉッ、さぁ出してぇ、有里のお腹に出してぇッ……!」

ひざを踏ん張って、腰をぐるりと回した。
オッパイを掴んで、乳首の頭を思いっきり押した。
子宮がキューッと締まり、大きくて堅いのが奥の扉を何度も叩いた。

射精される、中に出される。
でも、いいから全部受け止めるから……

「ううっ、はぁーっ」

副島が小さく呻いた。
同時にお腹で息子が膨らんで弾けた。

どぷっぅぅっ、どぴゅ、どぴゅうぅぅぅぅぅぅぅッ……!!

「ああっ、ああぁぁっ、いっ、イヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!……あッ、熱いのが……中に……たくさん……こっ、こんなの……こんなのぉッ……!」

膣の一番深い感じる処に、熱いシャワーを浴びせられたみたいで、わたし、何がなんだかわからなくなっていた。
何なの? 身体の芯から湧き起こる、妖しいくらいに魂が揺さぶられる嫌悪感は……?!!

それなのに……それなのに……

肩をブルブル震わせて、男の上で上半身を弓のようにしならせて、はしたない叫び声を上げながら、わたしもイッちゃった。
自分で、腰をくねらせて男を悦ばせながら、わたしも快楽の渦に呑み込まれちゃった。

「はぁああっ、うっぅぅぅぅぅッ……はあ、はぁぁっ……はぁッぐッ……」

わたしは、男の上で荒いイキを繰り返していた。

早く新鮮な空気を吸いたいのに、嗚咽混じりの呼吸がそれの邪魔をする。
やっと……終わった。
やっと……解放される。

だから……お腹に入ったアレを抜かないと……

身体はこのままでいさせてって、駄々をこねているのに、心が急かせてくる。
女の子がいつまでもこんな姿を晒したら、ミットモナイって……

わたしは、感覚を失った太ももを励ますように撫でてあげながら小さく囁いた。

有里は、もう少し女の子でいたいから頑張ってと……

にゅるっ、ニチャッ……!

いやらしい音に聞こえない振りをして、腰を持ち上げる。
鉛のように重たい太ももが、もう一回死にそうな悲鳴をあげて、わたしも辛くて泣いた。

アゴの先から、汗と涎と、瞳から流れ出た水が、ポタリと滴り男の肌を汚した。

「はぁ、はぁ、はぁ……うっぅぅぅぅぅぅ、ぅっ、ぅっ、ぅぅううううぅぅぅぅぅぅぅぅっ……」

こんなところで泣いたら、却って惨めなだけ……
それに、この男を悦ばすだけ……

そんな簡単なことわかっているのに、知っているのに、身体が、頭が、哀しいを連れてくる。

わたしは、副島の身体を跨いだまま両手で顔を覆った。
顔を隠せば、男の悦びを半減できると思って……
それに、わたしも汚れた身体を見なくて済むから……

それなのに……忘れていた。あそこのこと……
ひらいたままの割れ目から、ポタポタと白い液が滴っていること……

このままじゃ、わたし……壊れそうだから、自己防衛をすることにする。

「いッ、イヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーッ!」って、悲鳴をあげてみた。



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行為の後に……























(三十八)


八月 二十二日 金曜日 午後九時四十分  早野 有里
   


「はあぁーっ、今夜は疲れましたねぇ。
有里様に3回も、精液を吸い取られて、もう、くたくたですよぉ。
始めの2回はお口で、後の1回は、下のお口で……
おかげで、私の息子を見て下さい。
散々絞り取られて、かわいそうに……
当分復活出来そうもないですねぇ」

「よかったじゃない。
これで、副島さんも少しは休めて……
わたしが3回も出してあげたんだから、却って感謝して欲しいくらい」

わたしは副島に背中を向けながら、脱ぎ捨てた服を身に着けていた。
もちろん、会話も背中越しに……

「へーぇっ、随分と余裕ですねぇ。
でも、いいんですかぁ?
そんなことでは、行為の日数もポイントも、稼げませんよぉ」

この人、また、それを持ち出している。
わたしは、そんなに馬鹿じゃないのに……
仕方ないわね。ついでだから話してみようかしら……

わたしは、着替えを一時中断すると、下着姿のまま副島の方に向き直った。

「ふふ。もう、本当のことを話したらどうなの?
わたし、何もかもわかっているんだから……
行為の数なんて、最初からどうでも良かったんでしょ。
ポイントに応じて、治療代に換算するってのも全部嘘……
要は、父の命を人質に、わたしをいつまでも自由にしたいだけ。
身体にいっぱいエッチなことを教え込ませて、時田さんのコレクションとして、淫らなに変化していくわたしを提供するのが目的。
ね、そうでしょう」

「…… ……
さすがは、有里様。いつ、お気づきに……?」

「初めて副島さんに会ったとき……
あなた、言ったわよね。
わたしがエッチな行為をすることによって、お父さんの命は保障する。
つまり、行為をした分だけ治療費が支払われるって。
それに、内容も大事だと……
なるべく、男性を興奮させることが出来れば、ポイントも高く付くって……

でも、契約に立ち会った松山先生は、そんなことを一切言わなかった。
時田さんが、わたしの身体を自由に出来るのなら、お金を出しても構わない。
それも、父が治療を受けている間は、何年でも面倒をみることを約束する。
更に今後も、大学に通うことや、普段の生活はある程度認めようと……
続けてこう言ったわ。
ただ額が大きいから、1回や2回という訳にはいかない。
数年、あるいは10年くらいは耐えることになると思う。って……

肝心の契約のときに聞かされなかったことを、わたしを犯すだけのあなたが、補足するように話した。
あれは、副島さん。あなたの思い付きでしょ。
一体、どういうつもりで、あんなことを……」

「いやはや、有里様は素晴らしい記憶をしていますね」
確かに、ポイントの話は私の作り話です」

「じゃあ、どうして、そんな嘘をわたしに……」

「今から、初体験をしようとする有里様を気遣ってあげたんですよ。
この後も、いつ終わるか分からない気持ちでエッチな行為をするよりも、一回毎にポイントが付くと思えば、心にも張り合いが保てるでしょ」

「では、あれはわたしに配慮してくれたの?」

副島は、頭を掻きながらうなづいた。

それって……?!
……♪……♪……

わたし、この人のこと誤解してたのかな……
結構、いい人じゃない。

行為をさせられている間は、死ぬほど辛かったけど、この人はわたしのことを思って……
世の中、まだまだ捨てたものじゃないわね。

♪♪……♪♪……

わたしは、ちょっと嬉しい気分になって着替えを再開した。
身体はものすごく疲れているのに、思わず鼻歌が出そう。

「プフッ、はははははっ、あははははっ、有里様ぁっ、あなたって人は……ふふふ、はははははッ」

「なによ……何、笑っているのよ」

振り返ったわたしの前で、副島が頭を抱えて笑っている。
なにか、いやーな予感……!?

「ふふふっ、はは、さっきの話を真に受けるなんて……ふふ、あなたらしい」

「じゃあ、でたらめだったの……今の話」

「いえ、全部がってわけではありません。
私が有里様に配慮したというところが……ふふふ、ははははは」

「わたしをからかったの?」

「ええ、単純な有里様を見ていると面白くて……
誰があなたのために配慮する必要があるのです。
本当は、ポイントの話を持ち出せは、勝気なあなたのこと、必死で腰を振ると思ったからですよぉ。
はははははっ、まだ、おかしい……」

「そう、だったんだ……
わたしの気持ち、利用されたんだ……」

やっぱり、今日は最悪の日だったみたい。
でも、ここまでされると、なんだか清々しい気分。
……別に負け惜しみじゃないけどね。

これで、行為の中身なんて、わたしが気にすることは無くなったし、副島の命令通りにエッチをすればいいんだから、却って精神的に楽かも……

「それでは、私はこれで……」

わたしがボーっとしている間に、着替え終わった副島が部屋を後にしようとしていた。

あっ、そうだ。
ひとこと、言うことがあったんだ。

「副島さん、わたしのパンツとブラジャーを返してッ!」



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千里の告白























(三十九)


八月 二十二日 金曜日 午後十時  水上 千里
  


「失礼します」

私は、普段通りのナースの顔を取り戻して、診察室の扉を閉めた。

「あーぁ、やってられないな」

薄暗くて寒々しい廊下に、空しいつぶやきが吸い込まれていく。
これから、寮に戻ってバタンキューって感じで、明日は昼勤に夜勤付き。
こんな精神状態で、私、満足に働けるかな……
まあ、私には選択肢が残っていないんだから、ひらき直るしかないよね。



コツ、コツ、コツ……

靴音に人影が動いた。

やあ、あなた。ここで待っていてくれたの?

私は、廊下の片隅で、暇そうに壁に寄り掛かっている人物に話し掛けた。

てっきり、同席してくれると思っていたのになぁ。
振り向けば、あなたはいないんだもん。
私、心細かったんだよ。

あなたって……結構、臆病なんじゃないの?
それとも、私の家族との涙の対面に配慮してくれた?
後の気持ちなら、素直に感謝だね。

なに? 話の内容を聞きたいって……

……白々しい。
あなた、聞き耳立てていたでしょう。
私、気が付いていたんだからね。

でも、途中で寝てたって?

……あなたね、よくあの展開で、そんな行動がとれるわね。
めちゃくちゃ、サスペンス級にシリアスだったんだよ。

ホント、あなたの言ってることって全然信じられないけど……

でもね、私も誰かに聞いて欲しい気分なんだ。
いいわ、話してあげる。

で、どこから話せばいいの?

私があの男に屈したところから?

……あなた、肝心なところはしっかりと起きていたのね。
ちゃっかりしてるじゃない。

……じゃあ、話すわよ。

私が、屈辱的な言葉にうなづかされた後、先生はもう一度、私を席に促したの。
そして、具体的な説明に入ったわ。

まずは、兄をこんな姿にして、今でも社員という名目で奴隷のように扱う憎い人。

名前は、時田謙一。

そう、あの時田金融グループの総帥ってやつよね。
この地域……ううん、今では、全国に名を響かせた、泣く子も黙る強大な権力を持った男。

今すぐ殺したいくらい憎いのに、私ひとりではちょっと無理よね。
警察に相談しても無駄だろうし、おまけに、兄を人質に取られていては……

そして、松山の話を聞いているうちに、大きな勘違いに気が付いたの。
私の身体を本当に欲しがっているのは、松山ではなく、時田だってことに……
正確には、私に恥ずかしいことをさせて、その映像を時田に差し出す。
あいつは、それを自分のコレクションとして鑑賞する。

どう、素晴らしいくらい崇高な趣味でしょう。
聞いてて、吐きそうになったもの。

おまけに、こういう事をやらされているのは、私だけじゃないみたい。
私より若い未成年の子も、ターゲットにされているらしいのよ。
その女の子も可哀そうにね。
本当に許せないよね。

そして、とうとう私もそのコレクションの仲間入り。
ちょっと自慢でもしようかしら。

なんでも、松山の話だと、余程の美少女でなければ選ばれないって言うから……
私、21だけどまだまだ美少女ってことだよね……

嬉しすぎて、また涙が出てきちゃった。
ごめんね、泣いてばかりで……

えーっと、私の今後の立場についても話していたわ。

ずばり、看護婦でありながら性奴隷を兼務すること。
……これって、いけない小説の題名みたいだね。

でも、実際そうみたい。
看護婦としての仕事を続けながらも、いついかなる時でも、松山の命令には絶対服従のこと。
それが、守られない場合は、兄の命……それ以上は、ちょっとね。

随分と達観したように話すって?

……まあね。
もう、クヨクヨしても始まらないからね。
私って、結構、前向きの性格なんだよ。

それにお兄ちゃんが生きていることも分かったからね。
憎い敵の前で肌を晒すのは、死ぬほど辛いけど、なんとか頑張ってみるね。

あなたも、直接見なくていいから、陰ながらに応援してよね。



私は、更衣室で私服に着替えると、病院の職員専用出入り口に向かった。
夜勤でもないのに、こんな遅い時間に病院を後にする私を見たら、守衛さん、なんて思うだろう?
素直に残業をしていたってことで、スルーしてくれないかな。

そんな、どうでもいいことで、沈む心をごまかしながら、私は足早に無人の廊下を歩いていた。

あらっ?

何を見るでもない視界の端は、丁度、角を曲がろうとする女性の姿を捉えた。
あの後ろ姿は、有里さん……?
暗くて自信はないけど、夕方に会った彼女の服装と良く似ていたから……
太ももの上の方まで露出した大胆なミニスカートは、結構記憶に残っていたから、多分……

この前もそうだったけど、彼女ここで何をしているのかしら?
とても、嫌な気がするんだけど……

どうしよう? 追い掛けようかしら?
今なら、追い付くと思うから……

…… ……
……ごめんなさい、有里。

私も今日は精神的に参っているの……
今は、あなたの力にはなれそうにない。
本当にごめんなさいね。

私が試練に打ち勝つことが出来れば、すぐに有里を救い出してあげるから、それまで待ってて……
辛いでしょうけど、お願い。



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舞衣の覚悟 その1























(四十)


八月 二十三日 土曜日 午後八時  吉竹 舞衣
  


午後8時前、副島と名乗る男の指示に従って私は総合病院の前に立っていた。
そして正面横にある夜間受付の窓口へ向かう。

こういう施設って、昼と夜とでは雰囲気がまるで違う。

つい先日、有里のお父さんのお見舞いで訪れた時はお昼間だったせいかな。
ある意味での怖さなんて感じたりすることはなかった。
でも、人の気配が消えた建物は不安に震え始めている心に、充分な威圧を持って出迎えてくれる。

私は後ろを振り返った。

ここまでエスコートしてくれて、ありがとう。
私のことはもういいから、あなたは有里の傍にいてあげてね。
……ここからは、ひとりで頑張ろうって決めたの。
……だからあなたには悪いけれど、ごめんね。

そう。今夜この場所で、私に降りかかる残酷な試練をあなたは知っている。
知っていて、それでも引き留めることなく私を励ましてくれた。
そんなあなたの気持ちが嬉しくて、だからこれ以上寄り掛かるわけにはいかないの。
やっぱり、これって……贖罪だから……



「……ここが受付ね」

不安を振り払おうとわざと声を口にして、私はぽつんと明かりが灯った窓口へと足を速めた。
鼻から息を吸い込んで、自分の名前と呼び出し人である副島という名を告げた。

窓口の女性が、わたしの顔を覗き込むようにして視線を下から上へと走らせる。
明らかに急患に接する態度とは違う、意味ありげな笑顔。

いやな感じ……でも仕方ないのかな?

あきらめ感に自分を満足させて、私は壁際に設置された長椅子に腰を落ちつけた。

10分ほど経った頃、わたしを迎えに来たのかスーツ姿の職員が姿を露わした。
そして無言で通路の奥へと歩き始める。

夜間勤務ということを考えれば仕方ないかもしれないけれど、こんな無愛想な接客、私初めて……!
一応、客の立場だと思ったけれど違ったかな。

……それにしても大きな人。
そう、肩幅が広くてがっしりとした体格をしている……?

大きな身体……? がっしりとした体型?
あれ、この人……?
……多分……そうだと思う。
この前、電車の中でビデオカメラを回していた人。
私と有里、千里お姉さんを隠し撮りしてた人。

でもなぜ?
なぜこの人が病院に……?
わからない。全然わからないわ。

ただ、そういうことは有里もこの人に案内されたのかしら……?

そう思うと、ついつい目の前を塞ぐようにして歩く職員に複雑な疑問と興味をかきたてられた。

院内であるにもかからわず、白衣を着用していない。
この人は何者なのか……?
さっき会ったときから気にはなっていたけど、ここまで感情を露わにしない人を私は初めて目にした。

そして、これが一番大事なことだけど、この職員は有里のことをどこまで知っているのかな……?
他にも知りたい疑問興味はまだまだ湧いてくる。

いっそうのこと、頭に次々と浮かぶ疑問を思い付くままに背後から投げ掛けてみようかな?
そんな衝動にかられてくる。

やがて無言の案内人は院内の奥にある部屋の入り口までエスコートすると、私の存在を無視するかのように去っていった。

随分とセキュリティーの高そうな部屋のようね。
ドアノブに数字の並んだキーボードが設置してある。

きっと、この扉の向こうで有里は……

病院という施設には不釣り合いな装飾に飾られた扉に手を掛けると、私は静かにひらいた。



「約束通りに来てくれましたね。
……吉竹 舞衣さん」

……驚いた。こんな所に立派な応接室があるなんて……

おそらくこの部屋に設置されてある調度品のほとんどが、高級な輸入家具じゃないかしら。
デザインのひとつひとつが洗練されていて優雅。
父が買い求めたセンスの無い家具類とはまるで違う。

私は声の主を無視するように部屋中に目を走らせた。

……間違いないわ。
ここで有里は男の相手をさせられたんだ。
この皮張りのソファーも床を覆う絨毯の柄も、映像に映り込んでいたものと全く同じ。

そして……そこに座っている人も……

「どうしたのです。さあ、こちらへどうぞ」

入り口で様子を窺っている私に、男が声を掛ける。

その瞬間、頭の中でひとつの映像が描き出された。
今の私と一緒、部屋の入り口付近で警戒するように立っている有里の姿。
家族のためその身を捧げに来た彼女のことを思うと、胸が張り裂けそうになる。

もう一度私は、哀しい出来事を知っているこの部屋に視線を這わせた。
この身体が汚れる前に、記憶の1ページとして焼き付けておきたかった。
おそらく、数時間後の私には違う光景に見えていると思うから……

いよいよ、ここの主と対面する。

私はわざと避けていた視線を部屋の中心に合わせた。
その人は、4人掛けのソファーの中央で長い足を投げ出すようにして座っていた。
そして、有里の心と身体を弄ぶように踏みにじった憎い男。

やるせない怒りに心と身体が支配されていく。
……このままではいけない。

私は心を焦らせながら、男の姿に視線を合わせた。
そのまま下から上へとゆっくりと移動させる。

人を見下すような失礼極まりないやり方。
きっと、された方はいい気はしないし自分も嫌い。
でも、その方法で穴が開くほど見つめてあげた。

長身だけど華奢な作りの体型。
それにフィットしたブラウンの高級そうなスーツ。
年令は30歳前後に見えるけど、自信に満ちた顔にはそれ以上の経験が窺える。
ただ私は嫌いだな。こういう男性って……
今までの苦労を履き違えたように、強い怨嗟が全身から漂っている感じがして……

それに冷たくて怖い瞳……
こんな目に射抜かれたら誰だって怯えると思う。

現に私だって……
さっきから全身の震えが止まらない。
でもあの子は……有里はこの男に身体を好きにされた。
怖くて死ぬほど辛い思いをして……

だったら自分も……

私は大きく息を吸い込み吐くとくちびるを動かした。
違う。ちびるが勝手に動いていた。



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