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淫獄の幕開け






















【第15話】


        
        メモに記された運命の日は、それから3日経って訪れた。
        再びあの応接室に呼ばれたわたしと孝太は、お義母さんから儀式の中身
        を教えられた。

        まるでデジャビュのようにお義父さんと並んで座って、相変わらずワイ
        ングラスを片手に掲げて。
        お義母さんは、ねっとりとした口調で焦らすように話しかけてきた。
        わたし達の怯える表情を愉むために。
        哀しみに暮れる表情に
        悦を感じ取るために。
        だってこの人達は、悪魔の一員だから。

        「お前たち、分かっておいでだね。今度バカなことをしたら、鞭でなめ
        す程度じゃ済まないからね」

        「は、はい……もう逃げたりしません。お義母さんの言われた通りに……
        せ、セックスします」

        「ぼ、僕もです。お義母さん。ふ、筆おろしのこと……よろしくお願い
        します」

        顔を真っ赤にして見せて、恥じらいも浮かべて、わたしと孝太は俯き加
        減で返事をした。
        その顔と仕草にニンマリとする二人連れに、わたしは絨毯をキッと睨み
        つけて胸の中でだけ毒づいていた。

        (これで満足なんでしょ! 自分達の子供に引き取った娘と息子を辱め
        ていたぶって、それがアナタ達には快感なんでしょ!)

        言ってあげた。でも届いてなんかいない。
        だって今のわたしに出来るのはこれくらいだから。
        遥香のバージンだけじゃない。孝太の初めてまで奪おうとする悪魔達に
        は、口で言い返したって無駄だって負け惜しみを込めて思うから。



        容赦なく時計の針は回転して、辺りは暗闇に包まれる。
        きっと忘れられない運命の時間が迫っていた。

        いったい、何人くらい集まっているんだろう?
        わたしはステージの袖から顔を覗かせて、ざわついている大広間を探っ
        た。
        そして、見なければ良かったって後悔した。

        この屋敷に、料亭のような大広間まであるのも驚き。
        だけど、ざっと見まわしただけでも50人はいる男の人の集団にはもっ
        と驚かされていた。
        平凡なサラリーマン風の中年男性から、ぱりっとスーツを着込んだ白髪
        混じりのダンディーなおじさんまで。

        お義母さんの話によると、お医者様にお役所の偉い人。選挙で選ばれた
        人に、ふざけないでよ! 学校の校長先生まで。
        みんな、市川家のビジネスに協力してもらうために招待しているって。

        そんな責任のある肩書を持った人達なのに、みんな揃って座布団の上で
        胡坐座りして。
        1段高いステージでまもなく始まるショーに、期待する視線を集中させ
        て。

        「孝ちゃん、お尻はまだ痛むの?」

        「うん……ちょっとね。だいぶ、マシになったけど……」

        うんざりして顔を引っ込めたわたしは、さり気なく聞いたつもりだった。
        でも頭の中は、これからのことでパンクしそうなくらい張り詰めている。
        たぶんそれは、孝太も同じだと思う。

        まさか遥香の初エッチが、男の人と二人っきりの個室から見せモノみた
        いなショータイムに変身するなんて。
        それも、わたしが意気地なしだったために、孝太まで巻き込んで一緒に
        セックスショーをさせられるなんて。

        『ごめんね』の単語は封印したつもり。
        でもね、頭の中では連呼し続けているの。
        孝太のお相手をしてくれる皐月さんにも『ごめんね、孝太を頼みます』
        って、お詫びとお願いを続けているの。
        今だってずっと……



        「え~っ、皆様、大変長らくお待たせしました。ただいまより市川家主
        催、夜の宴を開催いたします」

        わたしと孝太を掴まえた今川っていう男の人が、ステージの上で挨拶を
        始めた。
        まるでマジシャンのような白いタキシードに身を包んで、右手をステー
        ジの脇に向ける。

        「ほら、弥生、皐月出番よ。少しでもミスしたらお仕置きが待っている
        からね!」

        SMの女王様のように、ボンデージ衣装を身に着けたお義母さんが、弥
        生さんと皐月さんを軽く睨んで薄く笑った。
        わたしと孝太に恥ずかしい綱引きをさせた同じ表情で。
        露出気味な衣装から鼻に突く香水臭を漂わせて。
        白い肌を晒した彼女達をステージの中央へと追い立てていく。

        その途端、「おぉぅーっ!」って喚声が湧き上がった。
        孝太がそのどよめきに顔を向けようとして、わたしが手を引いて牽制す
        る。

        「まず登場いただいたのは、市川家メイドでありながら、性処理接待も
        受け持つ美しき姉妹。弥生嬢と皐月嬢にございます。
        え~っ、本日ご参加された殿方の何人かは、既に夜の性奉仕などでお見
        知りおきかと存じますが」

        今川の媚びた物言いの説明に、ほくそ笑む男達。
        でも、並んで立たされている弥生さんと皐月さんは、身動きひとつさえ
        許されていない。
        ビキニと呼んでいいのか分からない卑猥な水着姿のまま、両手を頭の後
        ろで組んで惨めなポーズを取らされている。

        弥生さんはピンク色。
        皐月さんは水色。
        彼女達が身に着けているのは、乳首だけを辛うじて隠している紐のよう
        なブラジャー。
        それに大切な割れ目にもお尻の割れ目にも深くきつく喰い込んだ、やっ
        ぱり紐にしか見えない恥ずかしすぎるショーツ。

        きっと海辺で男を漁っているエッチなお姉さんでも、こんな格好を見た
        ら赤面すると思う。
        でも弥生さんも皐月さんも、好き好んでこんな姿を晒しているわけじゃ
        ない。
        たぶんわたし達と一緒。理不尽な脅迫を受けて参加させられているんだ。
        こんな淫らなショータイムに。

        「それでは今夜のメインディッシュの前に前菜と致しまして、息の合っ
        た姉妹によるレズ&セックスショーをお見せ致します。弥生、皐月、お
        客様にご挨拶を」

        今川の紹介に、弥生さんと皐月さんが目と目を合わせた。
        捕虜にされた兵隊さんみたいに両手は頭の後ろにひっ付けたまま、1歩
        2歩と前に進んで今川の横に並んだ。
        ほっぺたを赤く染めて両目を哀しく泳がせたまま、口の周りの表情筋だ
        け緩める。
        立っているだけでも淫らなのに、腰を左右にくねらせながら唇を開いた。

        「皆様、初めまして。市川家で性処理接待をしています弥生、20才で
        す」

        「同じく性処理接待をしている皐月、17才です」

        「今から私達が愛し合っているところをお見せしますので、皆様もどう
        かオチ○チンを扱きながら観賞してくださいね」

        「皐月も弥生お姉ちゃんも、オマ○コをいっぱい濡らしてエッチします
        から期待してくださいね」

        弥生さんのしっとりした口調が途切れると、バトンタッチするように愛
        くるしい皐月さんの声が続いた。
        女の子が口にしてはいけない単語も、戸惑いなんか見せたりしない。
        弥生さんも皐月さんも、ちょっぴり艶めかしい表情まで作ってサービス
        している。

        だからって彼女達が淫乱なわけない。
        だって遥香は知っているもの。
        わたしの隣でSMの女王様気取りのお義母さんが、腕組みして監視して
        いるから。







哀しき姉妹の饗宴






















【第16話】


        
        「むちゅっ、ちゅぷ……皐月ぃ、もっと舌を伸ばしてぇ……ちゅる、ち
        ゅる、ちゅぱっ」

        「はんむぅ、弥生お姉ちゃんの舌ぁ……ちゅば、ちゅば……おいしぃ」

        弥生さんと皐月さんが、濃厚なキスを繰り返している。
        お互いの背中を抱きしめながら、姉妹なのに愛おしそうに。
        ちょっと伏せ目がちに目線を遭遇させて、唇どうしを押し付け合ってい
        る。

        ディープキスっていうの?
        弥生さんが口を浮かせると、二人の間に透明な唾液の橋が掛かる。
        そのキラキラ橋に導かれて皐月さんが舌を差し出した。
        そして、薄くリップされた唇がその舌先を受け入れる。
        一緒になって持ち込んだ皐月さんの唾液を、弥生さんのモノとミックス
        させて喉を潤すように飲み干していく。

        「女同士のキスってのは、激しいねぇ」
        「おまけにこの二人、実の姉妹っていうじゃないか」
        「血が繋がったモノ同士の愛の口づけってか。おらぁ、キスはもういい
        から、早く乳繰り合いな」
        「はははっ、そうだ! そうだ!」

        まるで恋人どうしのような甘い時間。
        それなのに、男達の飛ばす野次がそれを早送りさせるように要求した。
        読まなくてもいい空気を読んだ今川が、顔色ひとつ変えずに彼女達に耳
        打ちする。
        もっと卑猥な次の行為へと促していく。

        弥生さん、皐月さん。がんばって!

        そのエールが何を意味するのか、遥香は知っている。
        知っていながら、それでも胸の内で声を上げていた。
        見えない目でステージに顔を向ける孝太の手をギュッと握り締めたまま。
        もう片方の手を、激しく打ち鳴らす心臓に当てて。

        パチッ……シュル、シュル、シュル……

        名残惜しそうに唇を引き離した二人は、右腕を背中に回すとブラホック
        を緩めた。
        申し合わせたみたいに白い歯を見せながら、紐ブラジャーを滑らかな指
        使いで引き抜いていく。

        スルスルスル……スススッ……シュルルル……

        続けて、紐でしかなかったショーツも下ろされていく。
        喚声が静まるなか腰に両手を添えた彼女達は、背筋を立てたままの姿勢
        で右足を持ち上げた。
        入れ替えるように左足も持ち上げる。
        ヒザを曲げ気味にツマ先をピンと伸ばして、二人同時に卑猥なショーツ
        を抜き取っていた。

        「うぉっ! 姉さんのおっぱいは、さすがでけぇな」
        「いやぁ、妹のおっぱいも、その年にしちゃぁ、まずまずじゃないの」
        「それを言えば、下の毛はどうよ?」
        「陰毛なんざ、どうでもいいさ。肝心なのはマン肉だよ。割れ目の肉も
        よぉ、年の差で発達具合に差があるんじゃねえのか?」

        男達の間から沸き起こる、超セクハラな野次。
        だけど、弥生さんも皐月さんも嫌な顔ひとつしない。
        それどころか、胸を突き出すようにして乳房を揺らせて。
        軽く曲げたヒザを押し出すようにして、女の子の部分までチラ見させて。
        男達の目を釘づけにさせている。
        獣のようにギラ付かせた視線を全身に浴びながら、オールヌードのグラ
        ビアタレントを続けている。

        「ふふっ、そろそろ頃合いだね」

        そんな彼女達をステージの端で見ていたお義母さんが、意味深に笑って
        呟いた。
        お手洗いの匂い消しみたいな香水を発散させて、今川に目で合図を送る。

        「遥香も、よぉーく見ておんだよ」

        そして今度は、わたしに向けて話しかけてきた。
        喉の奥に唾液を絡ませたような粘着質な声でそう言うと、女なのにわた
        しの背中をいやらしい手付きで撫でた。
        手の甲でスルスルさせながら、ステージで始まる変化に目を細めていた。

        「よおっ! 待ってましたっ!」

        突然、男達の間から掛け声が飛んだ。
        同時に、笑顔を振りまいていた弥生さんと皐月さんの表情が曇る。

        わたしの両目は彼女達から放れると、タキシード姿の今川に移った。
        その人が手にしているモノを見て、身体を凍りつかせていた。

        「あっ! そんな……そんなのって……?!」

        数秒してから、唇が思い出したように声を上げる。

        「あれはねぇ、ペニスバンドって言って、タチ役の女がアレを着けて相
        方の女を犯す道具だよ」

        そのわたしが漏らした驚きの声が面白いのか、お義母さんはおぞましい
        道具の説明を始めた。

        「それもよく見てみな。男のチンポをしたディルドが2本付いているの
        が分かるかい? そうさ、内側の極太なのを弥生が自分のマ○コに入れ
        て、もう一方の奴を皐月のマ○コに突っ込んで腰を使うのさ。お互いに
        感じられるようにね」

        もう聞きたくなんかないのに。
        耳を塞ぎたいのに、怖ろしい道具の怖ろしい使い方を、粘っこい声で詳
        しく説明してくる。

        そんな中、今川の手からその物体が弥生さんに引き渡されていた。
        遥香の腕くらいありそうなディルド。
        それが生えた皮製のベルトを、弥生さんはぶら下げていた。
        禍々しくてずしっとして、目を落とした彼女は、ほんの一瞬だけ眉間に
        シワを寄せて、隣で見つめる皐月さんも同じ表情をして。







極太ペニスバンドで繋がる姉妹愛






















【第17話】


        
        「おいおい! あんな太っといの、ホントに入るのかよ?」
        「弥生ちゃんのオマ○コ、壊れちまうぞ」

        ステージの下まで摺り寄っていたお客さんの間からも、期待半分以上の
        驚きの声が漏れる。
        そして数少ない心配症の声を打ち消すように、今川が軽快な声で説明す
        る。

        「皆様、ご心配には及びません。このディルドは直径60ミリの硬質ゴ
        ムで出来ておりますが、弥生嬢のオマ○コは何ら問題ありません。確か
        に調教を始めた頃は、極太なディルドに泣かされておりましたが、今は
        この通り気持ちいい声で鳴いております」

        「はぁ~い、心配をかけたようでごめんなさい。弥生はこのディルド君
        でないと、オマ○コが感じないんです。だって変態ですから」

        「なぁーんだ。心配して損しちゃったな」
        「ホントホント。性処理接待している娘なんだし、オマ○コなんてガバ
        ガバで当たり前だよな」
        「そうそう、自分で変態なんていうスキモノだからな。ははははっ」

        今川の説明を間に受けた顔をして、お客さんが笑った。
        弥生さんが微かに覗かせた哀しい笑顔を、みんな無視して自分達の性欲
        のために盛り上がっている。

        嘘よ! そんなの弥生さんの本心じゃないのに。
        弥生さんの内股が震えているのを見れば気付くはずなのに。

        卑怯なわたしは、声も立てずに叫んでいた。
        孝太の手を痛いほど握り締めているのに、何も出来ずに照明の当てられ
        たステージに視線を送り続けていた。

        「ほら見てごらん。弥生のオマ○コにディルドが埋まって……ふふふ」

        わたしは漂う香水の匂いも忘れていた。
        SM女王の存在を忘れていた。
        お義母さんだけじゃない。手を繋いでいるのに孝太のことも忘れかけて
        いた。

        男達に向けて、半オクターブ声音を高めた弥生さんが「ディルドを挿入
        しますね」って。
        丸い筒型を握る指と指が全然届いていないのに、それを股の間に移動さ
        せて。
        ステージの下でお客さん達が小競り合いしながら見上げているのに、ヒ
        ザをくの字に曲げてガニ股の姿勢を取って、恥ずかしい割れ目のお肉を
        全部晒して。
        両手の指で固定したお化けディルドを持ち上げていく。
        即席の笑顔を維持できなくて、天井を仰ぎ見てごまかしながら、膣の中
        へと一気に挿入させる。

        「あぁっ! はあぁぁっっ! み、見てぇっ……弥生のオマ○コにぃ、
        ディルドがぁ……はいってぇ……ふあぁぁっっ」

        もうとっくに入れ終わっているのに、弥生さんの声が鼓膜にひっついて
        離れてくれない。
        いくら赤ちゃんが産まれてくる穴だからって、勝手に拡張したらいけな
        いのに、その瞬間、お客さんの間から拍手が起こって、それもオマケみ
        たいに耳にひっついて。

        「お客様、皐月の未熟なオマ○コも見てください」

        ステージの上では弥生さんに代わって、皐月さんが腰を屈めていた。
        両手をヒザに押し当てて高々とお尻を掲げて、足の裏を滑らせる
        ようにして股を開いてみせている。
        そして薄らと傷痕の残るヒップを晒したまま、身体の向きを変える。
        右のお客さんにも左のお客さんにも、恥ずかしい処を観賞してもらえる
        ようにサービスを繰り返している。

        「皐月、もう……いいわ」

        そんな皐月さんの痴態に、弥生さんがストップをかけた。
        決してお客さんには届かない優しい声で囁くと、足を引きずるぎこちな
        い歩様のまま皐月さんに近付いていく。

        まるで男の人みたい。
        胸の膨らんだ女の人の身体なのに、弥生さんの下腹部だけは男性そのも
        のだった。
        お義母さんはあれで標準なんて笑って言ってたけど、本当にそうなの?
        初めて見た孝太のよりも遥かに大きなオチ○チンの模型が、天井を向い
        てそそり立っているから。

        「皐月……好きよ……」

        「弥生お姉ちゃん……わたしも……」

        その言葉の往復が合図だった。
        馬跳びの姿勢を保つ皐月さんの背後に、弥生さんが移動する。
        両腕を伸ばして皐月さんのウエストをガッシリと掴むと、生やしたての
        オチ○チンで彼女の割れ目を探った。

        「……んんっ、はあぁぁぁ」

        揺れるだけで身体の芯まで響くのよね。
        弥生さんがくぐもった声を吐いた。
        そのまま皮のベルトが喰い込んだお尻をぐっと前に押し出すと、今度は
        皐月さんが呻くように押し殺した声を漏らした。

        「あはぁっ……入って……くるぅ……オマ○コにぃ、お姉ちゃんのオチ
        ○チンがぁっ!」

        まるでお腹の中のモノが押し出されるように、皐月さんの背中が上向き
        に反った。
        膣の奥にまでオチ○チンが挿入されたことを示すように、腰を密着させ
        た弥生さんも上半身を仰け反らせていた。

        「んはぁっ! 皐月のオマ○コぉ、感じるぅ……私もぉ、いいぃっ!」

        弥生さんが叫んで、皐月さんも負けないくらい大きな声で叫んで。
        姉妹だからきっと仲はいいと思う。
        両手で持ちきれないほどのたっぷりとした愛情だって有ると思う。
        でも、わたしは違うと思う。
        こんな繋がり。こんなセックス。
        彼女達だって全然望んでなんかいないと思う。

        「いいぞぉっ! ほら、ピストンやれぇっ!」
        「弥生ちゃーん。オマ○コにオチ○チン挿したままだと、セックスは終
        わらないよぉっ!」
        「早く、妹の皐月ちゃんを犯してみせてよぉっ!」

        そうよ。心ない野次が、彼女達を追い詰めているんだ。
        スーツを着て立派な格好をしただけのどうしようもない人達が、こんな
        哀しいショーを誕生させてるんだ。
        隣で薄笑いを浮かべている悪魔達を利用して。







触れ合う膣肌~見も心もひとつに……






















【第18話】


        
        じゅにゅ、じゅちゃ……パンッ、パンッ、パンッ……

        「くはぁっ……お姉ちゃん、もっと……あはぁ、もっと、オマ○コ……
        突いてぇっ!」

        「皐月ぃ……んああぁぁぁっっ! オマ○コぉ、突いてあげるぅっ! 
        いいぃぃぃっっ!」

        弥生さんが腰を抜き差ししている。
        お尻の筋肉をへこませながら腰を引いて、ヌラっと光るオチ○チンを曝
        け出して、皐月さんの割れ目に向かってまた打ち込んでいる。

        肉と肉がふつかる音がステージに響いた。
        エッチなお肉が怪しい水音と共鳴して広間にまで拡散させる。

        「ちっ! なんだい、あの腰つきは。終わったら調教のし直しだね」

        隣でお義母さんが舌打ちして罵った。
        弥生さんも皐月さんも、心の中で泣きながら頑張っているのに。
        たくさんの男の人の視線を浴びながら、女の子同士でセックスさせられ
        ているのに。
        アナタは、それでも気に入らないの?
        どうしてそこまで残酷なことが言えるの?

        「あはぁっ……くっ、気持ちいいぃっ! 弥生お姉ちゃんのオチ○チン、
        感じるぅっ……」

        「私もよぉ、皐月……突くだけで、くふぅ……子宮が揺らされて……ふ
        わぁぁっっ」

        弥生さんの腰運動が次第に早くなっていく。
        腰を振るたびに豊かなオッパイも揺らせて。
        ショートカットのうなじからは大粒の汗も飛ばして。

        それに合わせて、皐月さんの腰も動いていた。
        リズムよく挿入されるオチ○チンに合わせて、突き出したお尻を押して
        引いて。
        湧き出してくるエッチなお汁を潤滑油に、割れ目のお肉を絡みつかせて。

        「お姉ちゃん、僕なんだか……」

        孝太が股間を押さえ込んでいる。
        両手で大切な処を覆ったまま、女の子から女に変わった彼女達の吐息に
        耳を傾けている。

        だけどそんな孝太を咎めたりできない。
        わたしだって、そうだから。さっきから胸の鼓動が早くなって、太股ど
        うしを何度も捩り合わせているから。

        「ああぁ、お、お姉ちゃん……皐月と一緒に……」

        「くぅ、ふわぁ……ええ、一緒よぉっ……私と皐月はいつもぉ……はあ
        ぁっ」

        喘ぐような二人の息遣いが荒く激しくなっていた。
        お腹の中に太いディルドが埋まっているのに、男の人になった弥生さん
        は、ラストスパートみたいに腰を打ちつけていた。
        その腰使いを皐月さんは受け止めて、その刺激を無駄にしないように大
        人の女に徹している。
        身体を心を、エッチ色に染め上げていく。

        じゅぶ、じゅぶ、じゅぶ……ずにゅ、ずにゅ……パンッ、パンッ、パァ
        ーンッ!

        肉音と水音が、頂点を極めたように鳴り響いた。そして……

        「あふっ、はあぁ……皐月ぃ、いぃっ、イク……イキ……ます、あくぅ
        ぅぅっっっ!!」

        「わぁ、わたしもぉ……弥生もぉ、イクぅ……イキます、イッちゃうぅ
        ぅっっ……はあぁぁっっっ!!」

        まるでハーモニーを奏でるように、二人の哀しい合唱がコダマする。
        皐月さんの背中がバウンドするように跳ねて、両肩を痙攣させた弥生さ
        んがその上に圧し掛かっている。

        絶頂しちゃったんだ二人とも。
        女の子どうしでセックスさせられてイッちゃったんだ。
        悪魔たちに命じられて、目を血走らせた男達を満足させるために。



        「それではお待たせしました。今夜のメインディッシュイベントを行い
        たいと思います。新たに黒川家ご子息、ご令嬢になられましたお二人に
        よる、筆おろし、水揚げの儀式でございます。皆様、盛大な拍手でお迎
        えください」

        そして悪魔の手先の男が、わたしと孝太の出番をアナウンスした。
        皐月さんと繋がったままの弥生さんのお尻をピシャリと音を鳴らせて叩
        くと、男達のボルテージを更に引き上げていく。

        「いよいよだね、遥香、孝太。お前達の頑張り次第で後のイベントが変
        化するからね。まあせいぜい客達に媚びて、未熟な性技でも披露するん
        だよ」

        「はい! お義母さん」

        わたしは孝太と揃えて、切れのある返事をした。
        だけど、頑張れってなにを?
        イベントが変化するってどういうこと?

        本当は知っている。
        わたしも孝太も、応接室に呼び付けられた時に聞かされているから。

        もしも男達の性欲を満足させられなかったら?
        不満のブーイングで広間が埋め尽くされたりしたら?

        その時は、わたしや孝太だけじゃないの。
        弥生さんや、皐月さんにもひどいことをするって。
        女の子3人と男の子1人で、ここに集まっている50人の男達とセック
        スさせるって。
        大切な処だけではとても足りないから、お口で咥えさせられて、お尻の
        穴まで使わせるって。

        堂々と先導を切って、お義母さんがステージに上がっていった。
        SMの女王様気取りの衣装のまま、ちょっぴり白けたお客さん達に愛想
        を振り撒いている。

        わたしは、これが孝太との最後のお別れみたいに抱き締めてから、その
        後を追った。
        脂ぎった顔の脂ぎった音色の拍手に迎えられながら、女の子の証を意識
        させたまま。







曝け出される柔肌






















【第19話】


        
        「おい、見たか? こんな可愛い子を、あの鬼夫婦はどこからかっさら
        って来たんだ?」
        「なんでも養子にとったと聞いているが、これほどの美少女とはな」
        「弥生ちゃんや皐月ちゃんでも相当なレベルだが、遥香ちゃんて言うの
        か。この子を並べると霞んで見えるぜ」
        「それにしてもよぉ、弟の方は目でも見えねえのか。まぁ、これからの
        ことを考えると見えねぇ方が、幸せかもな。ははははっ……」

        お客さん達のざわめきを、ステージに上がって肌で感じた。
        性的な欲求にまみれた視線が、こんなに刺々しいなんて。

        わたしはステージの真ん中で、孝太と並んで立たされていた。
        そのわたしの隣には弥生さんが。孝太の隣には皐月さんが。
        まだ肩を上下させて大粒の汗を滲ませたまま、メインディッシュにされ
        る遥香達のパートナーとして寄り添ってくれている。

        「さあ、お前達。初体験の晴れ舞台だ。お客様に向かって挨拶をしてみ
        せな」

        タキシードの今川から司会の座を奪い取ったお義母さんが、マイクを通
        して指示を与える。
        ステージ横で言い含められた言葉を無理やり思い出させたわたしは、孝
        太の脇腹を突いて知らせると、お姉ちゃんなんだから先に口を開いてい
        た。
        お客さん達を悦ばせるセリフを、金切り声で喚いていた。

        「え~っと……み、皆さぁ~ん、初めまして。市川遥香でぇ~す。17
        才、女子高生していましたぁ。だから今夜は、セーラー服で登場でぇ~
        す。今から、お、オマ○コ貫通の儀式をするけどぉ、わたし、寂しがり
        屋だからぁ、目の前で覗いて欲しいのぉ。バージン失くすところ。うふ
        ふ♪」

        「あ、あぁ……え~っと、ぼ、僕は……」

        わたしがおバカな女の子になり切ると、孝太もおバカな男の子になりき
        っていた。
        お互いに喉を嗄らして、唇の端の口角だけ気持ち悪いくらいに持ち上げ
        て。

        そうしたら、こんなわたし達でも需要はあるの?
        高級スーツを着込んだダンディーおじさんが、何人も手を上げてステー
        ジに駆け上がってくる。
        息を切らせながら車座に囲むと、頬杖突いて覗き上げてきた。

        「それでは残りの皆様は、ステージの前までお越しください」

        今川に誘導されて、出遅れたお客さん達も集まって来る。
        すしずめのステージ下の隙間を縫うように身体を滑り込ませて、床の上
        にアゴを乗せた。
        目線を全てわたしと孝太に集中させている。

        「失礼します」

        お客さん達の移動が終了し、弥生さんと皐月さんがわたしと孝太の前に
        進み出てきた。
        素裸のまま腰を落とすと、居並ぶ視線を引き付けるようにお尻を突き出
        していた。
        楕円形に発達したヒップをグラインドさせる。
        50人近い人達の目線を再び虜にしてみせながら、両腕を伸ばしてくる。

        わたしが履いていた紺色の襞スカートを弥生さんが……
        孝太の学生ズボンを皐月さんが……
        それぞれしなやかな指捌きで取り去られていた。

        だけど二人とも、足元から引き抜いてもしばらく離れようとはしない。
        まるでガードしてくれるようにお尻を揺らせたまま、わたしと孝太を見
        上げてくれている。

        「弥生、皐月。何をしてるんだい。さっさと離れるんだよ」

        そのガードを、苛立ち混じりのお義母さんの一言が打ち破る。
        潤んだ瞳でわたしと孝太に無言のエールを送って、弥生さんと皐月さん
        が脇に控えた。

        「……くぅっ!」

        「……あ、ぁぁ、お姉ちゃん」

        「おぉぅっ! パンティーを穿いてないぞ」
        「くくくっ、まさかノーパンだったとはねぇ。沙希ちゃん、あんよを閉
        じたって割れ目が覗いてるよ」
        「おい、誰かガキのチンチンにも一言コメントを頼むぜ。ははははっ」

        わたしが短く喉を鳴らして、孝太が悲鳴交じりにわたしを呼んだ。
        でもそんな細い声なんて、見境なく飛び交うダミ声に一瞬で掻き消され
        ていた。

        わたしは上半身だけ懐かしい衣装に包まれたまま、弥生さんの姿を探っ
        た。
        遥香の初体験のパートナーが床に寝転ぶのを、霞みそうな瞳で追った。
        そして、皐月さんのアソコを気持ち良くした黒光りするオチ○チンが、
        真っ直ぐに天井を向くのを目撃して下腹部に緊張を走らせる。
        痛いほど注がれる視線なんて全然感じないほど、アソコのお肉に神経を
        集中させる。
        わたしに無断で、遥香の女の子が。

        「弥生の腰を跨ぐんだよ。孝太はさっさと寝転びな」

        しゃがみ込んだお客さんに愛想笑いをしながら、お義母さんが冷たい声
        で命じた。
        その声を聞いた途端、お客さん達が一斉に瞬きを繰り返して、わたしと
        孝太のその後の行為に目を凝らしている。

        「遥香お嬢様、こちらへ」

        冷たい床の上で、仰向けになった弥生さんがわたしを呼んだ。
        身体を伸ばしたって型崩れしない乳房を平然と見せつけたまま、両手で
        組んだ枕に頭を乗せている。

        わたしはふらふらと、陶磁器のように白い身体に近寄っていく。
        お姉さんのように優しい笑みをこぼした弥生さんを見つめて、下半身に
        生えている噛みつかれそうなオチ○チンにも目をやって。

        「はあぁ……んくぅっ……!」

        唇を閉じたまま喉を鳴らした。
        今の想いを短い吐息に混ぜて、下半身に力を込めた。
        ヒザを軽く曲げてツマ先を持ち上げた。太股を大きく開いた。
        弥生さんと目と目を合わせて、恥ずかしい処に冷たい風を感じて、突き
        刺さる視線も意識して、わたしは……遥香は……