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処女は自分で奪うもの その2























(四十六)


八月 二十三日 土曜日 午後九時四十分  吉竹 舞衣
  


テーブルの上でゴロンと転がったのは、毒々しい青色をした無機質な物体。
形状は口では言えない。説明してはいけない。
でも、ちゃんと持つところも付いているし、下の方で短い突起が枝分かれしている。

それでも、こんな物を高級そうなキャビネットに入れてはいけないと思う。
こういうのは人目を避けるようにして、ベッドの下に潜ませるとか机の奥の方とか……

「そんな驚いた顔をしなくても……
エッチ大好きな舞衣さんなら、よーくご存知ですよねぇ。
そう、バイブですよ」

悪戯が成功した子供のように無邪気な笑みを浮かべると、道具の取っ手に設置してあるスイッチを入れた。

ウイィ―ンッ、ウイィ―ンッ、ウイィ―ンッ、ウイィ―ンッ……

動いた?! これ動いてる?!

低いモーター音を響かせながら青色の物体が卑猥な踊りを始めた。
身体をくねらせのたうちまわり、ガラスのテーブルに振動を与えながら少しずつ全身している。
まるでおぞましい生き物。

「気にいってもらえましたか、舞衣さん?
そして、このバイブであなたは処女を喪失するのですよ。
それもご自分の手によってねぇ……ふふふふっ……」

「えッ?! あっ、あのっ……それってぇっ……!!」

ダメッ! ショックが大きすぎて言葉になっていない。
テーブルの上で、グロテスクな塊が踊りながらわたしを睨んでいる。

あれが何の道具か……そんなの私だって知っている。
あれを身体のどこにいれるのか、それも知っている。

でも、いくらなんでも初めてが、あんなグロテスクな道具だなんて……
私の初体験は人間じゃなくておぞましい化け物だなんて……

「ほう、言葉が出せないくらい嬉しいですか?
……それは良かった。
ついでに、いいことを教えてあげましょう。
舞衣さんが今座っている場所は、有里さんが処女を失った場所なんですよぉ。
有里さんが処女の血を流したところです。
ね、そう思えば舞衣さんも感慨深いでしょう。
……では早速突いてもらいましょうか。ご自分で……」

副島は一旦電源を切ると、私の手のひらにそれを握らせた。
見た目以上にズシっとくる重さ。
そして、重さに比例するような恐怖が心にのしかかってくる。

有里。舞衣の初体験の相手、バイブになっちゃった。
やっぱり私は神様に罰せられるみたい……

私はソファーの背もたれに背中を密着させると、両足をひらき直した。
あそこに這わせた左手で大陰唇の扉を慎重にひらき、バイブを握り締めた右手を股の中心へと移動させる。
そして、そのまま先端を割れ目の入り口に固定。

「言っておきますが、初めてはメチャクチャ痛いですよぉ。
何といってもこんな太い物をあそこに突き刺すんですから……
おまけに濡れていないんでしょ。おま○こ……」

「……ぐッ……!」

どこまで残酷で意地悪なんだろう。
本当に最低な人……
私を怖気づかせて楽しんでいるんだ。

ちょっと悔しい。
でも、話していることは当たっている。
きっとものすごく痛いだろうし、あそこが潤っていないのも確かだし……

だから怖い。怖くて気を失いそう。
そうでなかったら発狂するかも……

「舞衣さーん。さっさと女になってくださいよぉ。
さあ、バイブをおま○この中へ……」

私は固まりそうになる右手を励ますと、ゆっくりと手前に引き寄せた。

クチッ……

「ひっ!? ひィッ……!」

バイブの先端が割れ目のヒダの隙間にめり込んだ。
我慢したかったのに、噛みしめた奥歯の間から悲鳴が漏れて肩がビクッと震えた。

「あぅっ、うぅぅぅっ!……こ、怖いッ……!」

でも入れないと……
まだ全然入っていないじゃない。

もっと右手を励まして、もっと右手に力を込める。

「あぐっ、痛いッ……んんッッッッ……」

鈍い痛みが少しづつ鋭い痛みに変わって、バイブ先端の太くなった部分が割れ目の中に完全に沈んだ。

「そろそろ、処女膜ですよぉ。
これで舞衣さんもヴァージンとお別れですねぇ」

「お願いします。少しの間、黙っていてください」

私は壊れそうになる気持ちをなだめるように、深呼吸を繰り返した。

そして、心の中で短い囁き。

さよなら。舞衣のヴァージン……
さようなら。私の女の子……

両目を閉じて大きく息を吸い込んで、呼吸を止める。
片手で心細かった右手の上から左手を添えると、両腕に覚悟を込めた。

青色のおぞましい物体が、乾いた膣を秘膜を傷つけながら割り広げていく。
どうしようもない激しい痛みが、あそこから末端の神経まで身体の中を駆け抜けていく。

「んんんッッッッッ! んッぐッッッッ……痛ィッ、痛いッ! ……裂けるぅぅぅぅぅぅッッッッ!!」

ズンッ、ズズッ……ズンッ、ズズッ……プチッ、プチ、プチ、プチッ……    

かすかに聞こえた処女膜の悲鳴……
堪えていたのに。見せたくなかったのに。涙がほおを伝った。

私は瞳の奥に浮かぶ有里に語りかけた。

女になるのって結構辛いね。
舞衣、覚悟が足りないのかな? 
痛い痛いって情けなく叫んで、涙もいっぱい流したよ。
……でもね、後少しなんだ。
もう少しで全部入るから……
そうしたら、舞衣も女になれる。有里と一緒になれる。
だから最後だけ応援して。舞衣を励まして……

閉じていた両目を見ひらき、息を大きく吸ってゆっくり吐いた。
残っている勇気を振り絞って両腕に再度力を込める。

有里、いくよッ!!



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