第4話
二人は安西建設の経理担当者から書類を受け取ると、すぐに車に戻った。
理恵は、担当者に准一を紹介する事すら忘れていた。
(加奈、このままあなただけを幸せにさせない……)
理恵は、冷静さを取り戻していたが、准一を奪った加奈への憎しみは消
えなかった。
そして理恵は、近くの公園に車を止めた。
「准一、さっきはごめん」
「ううん、気にしてないよ」
准一は首を横に振りながら答えた。
「でも、一つだけ教えて。8年前、准一と加奈に何があったの?」
「……」
「お願い、教えて!」
理恵の口調がやや強くなった。
「8年前のある日、突然加奈から電話があったんだ。ちょっと相談した
い事があるって……」
准一は、俯いたまま語り始めた。
「そして、スナックで待ち合わせをして、加奈の失恋話を聞かされた
んだ」
「それで?」
「加奈は、だいぶ酔っている様子だったけど、僕にどんどん酒を勧めて
きた……」
「飲まされたの?」
「うん」
「そして?」
「気が付いてみたら、加奈のマンションのベッドで寝てたんだ」
「……」
「それだけで加奈を愛してしまったの?」
「違う!」
「じゃあ、どうして?」
「妊娠した」
「えっ?」
「その夜の加奈との……」
「もう言わないで、わかったわ……」
加奈は、その夜の准一との行為で妊娠し、准一は責任を感じて加奈と結
婚したのだ。
「子供は何人いるの?」
理恵は、妙に冷静だった。
「一人だけ」
「加奈と結婚して、今は親子三人で幸せに暮らしてるのね」
「……」
理恵は、准一を奪い去り自分だけ幸せに暮らしている加奈が許せなかっ
た。
(加奈に復讐してやる……)
「准一……」
「何?」
「もう、私の事は嫌い?」
「……」
「今日一日だけ、8年前に戻ってみない?」
「どういう意味?」
理恵は、准一のズボンのファスナーに右手を置いた。
「私を抱いてみる?」
理恵は、准一の右手を取り、自分の内腿に導いた。
「仕事が終わったら、この公園で待ってるわ」
理恵の准一への思いは、憎しみに変わりつつあった。
※ この作品は、ましゅまろくらぶ 真理子様から投稿していただきました。
尚、著作権は、ましゅまろくらぶ 真理子様に属しております。
無断で、この作品の転載・引用は一切お断りいたします。 官能小説 告白体験談 投稿小説
女性が作ったエッチなサイト ましゅまろくらぶ
目次へ 第5話へ