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まさか、お前がエスパー?!























(5)
 


        いったい何が……? どうなっているんだ?

        (……ったく。使えんなお前は)

        そんな狼狽する僕の心に誰かの声が響いた。
        誰だ? 誰が僕に……?

        (どうした、そんな驚いた顔をして……まさかエスパーはお前だけとで
        も……ふふふっ。だとしたら、お前って奴は、どうしようもなくオメデ
        タイな。笑えるぜ)

        僕を見つめる射すような視線。
        ふっと口の端を持ち上げて、冷めた笑みを浮かべる男の顔。

        そんな……朝原?!

        もはや会議の体をなしていない中、生徒会長の朝原だけが冷めた目付き
        で教室を見渡している。

        (ようやく気付いたようだな。そうさ、俺も君と同じ能力が使えるのさ。
        というより君と比べられるのさえ不愉快だけどね)

        (それじゃあ、奈菜をこんな目に合わせたのも……?)

        喧噪の中で僕も精神を集中し、朝原と念波で会話する。

        (こんな目に合わせたぁ? ふふっ、言ってくれる。
        あやめに痴態を演じさせた君には言って欲しくなかったな。
        俺はただ、もう少しショータイムを華やかに演出したかった。それだけ
        さ)

        (ということは、今朝の校門でのふたりのことも……?)

        (ああそうさ、全部お見通しさ。そして、君に大事なことをひとつ教え
        てあげる。まもなく平凡な一生徒『中山宏』に戻る前にね)

        ビリビリビリビリ……!

        「なっ! か、身体が……痺れて動かない……くそっ!」

        まるでロープで縛りあげられたように、念波の戒めが全身を締め付けて
        くる。
        パワーが断然に違う。とても太刀打ちできる相手ではないみたいだ。

        (ちょっと大人しくしていてもらうよ。この方が後の段取りを付けやす
        いんでね)

        そう念波で話掛けてくると、今度は教室のみんなに向かって右腕を下か
        ら上へと振り上げた。

        ピシピシピシッ!

        「な、なんだ?! みんな、どうしちゃったの?」

        音が消える? 気配が消える? 動きが止まって、時間が止まる?!

        ギラギラとした視線のまま、股間を押さえた男子生徒。
        大きく息を吸い込んで、悲鳴を上げる瞬間の女子生徒。
        剥き出しの下半身を晒したまま、ボールペンを握り締めているあやめも、
        自分だってノーパンなのに、親友を守ろうと必死の奈菜も。

        みんな止まっている。生きた人形に変身してる。

        「まさか、朝原。時間を止めたのか? 僕たち以外の!」

        「ああそうさ、この教室のね。でも、この程度の能力、なんということ
        もないさ」

        朝原は僕に対して侮蔑の表情を浮かべると、あやめに覆いかぶさる奈菜
        の身体を移動させる。
        ピクリとも動かない彼女を、教卓の前に立たせた。
        親友をかばう両腕に机を掴ませて、剥き出しのお尻を晒させる。

        「おい、朝原。お前、奈菜に何をする気だ」

        「ふっ、ツマラナイことを聞くんだな君も。犯すのに決まっているだろ
        う。目の前にこんな上玉の女がいるんだ。やらないでどうする」

        「やめろ! ここは学校だぞ。それに無抵抗な彼女に何もそんなことま
        で」

        「宏、以前から俺は君のことをバカにしていたが、どうやらその見立て
        は正しかったようだね。それじゃあ仕方ない。最後に特別サービスとし
        て、もうひとつ教えてあげるよ。
        本来の君はスケベでも変態でもない。ただ、ちょっとした能力の使える
        小心者の男だった。それをこの俺が操っていたのさ。君を俺の手先とし
        て人形みたいにね。ははははは……」

        「そんなぁ……そんなことって……」

        情けない声を出しながらも、僕には思い当たる節があった。
        ここ数日の記憶は鮮明なのに、それ以前の記憶はものすごく曖昧になっ
        ている。
        そして常に誰かが囁いているような耳鳴りがして、頭の中がエッチなこ
        とでいっぱいになって、まさかそれがこの男の策略だったなんて……

        「ようやく理解してくれたようだね。うれしいよ」

        朝原は奈菜だけでは飽き足らないのか、あやめも隣に並ばせた。
        お尻を突き出させて同じポーズをとらせる。

        「ふーん。こうしてみると川野辺学園の双壁アイドルも、個性の違いが
        はっきりして面白いね。
        オマ○コの付き具合だって全然違う。奈菜は下付きで、あやめは上付き。
        大陰唇の色は奈菜の方が黒ずんでいるし、陰毛はあやめの方が濃いよね。
        後はと……おっ、あやめの奴、割れ目から中のビラビラが顔を覗かせち
        ゃってる。こういう女は感度も……」

        「もういいッ! そんな話もう聞きたくない。頼む朝原、彼女たちを解
        放しろ。解放してやってくれ」

        「あらら、どうやら俺の特製念波が切れちゃったようだね。
        でもまあいいや。君は動けない身体のまま、彼女たちが大人の女になる
        のを見届けるんだね」

        朝原はそう言うと僕に見せ付けるように、ズボンと下着を脱いだ。
        見たくもない男のモノを、ブラブラと揺らせてみせる。

        「どうだい、宏? 君のモノより立派かな。
        ふっ、なんだいその悔しそうな顔は……わかった。ははは、わかったぞ。
        小心者の君も、元をただせば我が校の双壁アイドル信奉者だったってこ
        とだね。
        で、どっちが好みだったのかな? 奈菜? それともあやめ? まさか
        両方ともということはないだろうねぇ」