子作り試練第二弾! シーソーで騎乗位? 2015/08/29 18:00.00 カテゴリ:シャッター・チャンス2 【第10話】 「どうします? このまま続けますか? それとも今夜は……」 「いえ、続けさせてください。お願いします」 暗闇から聞こえるお父さんの提案を、美帆さんの凛とした声が遮った。 「外でその……愛し合おうと決めたときから、考えてたんです。とって も恥ずかしいけど、これも赤ちゃんを授かるための試練なんだって…… だから、そのためなら私も夫も耐えられます。ですから、ピンクの傀儡 子様。撮影をお願いします」 美帆さんと毅さんが連れ立って、植込みの中のあたしたちに頭を下げる。 全裸のままで男女の大切な処を晒して、さっきまで隠すのに使っていた お互いの手を固く握り合わせて…… 「わかりました。では本番ですが、場所を移動して愛し合ってもらいま しょうか。そうですね。右隣にあるシーソーなどいかがですか?」 「シーソーですか……?」 「ええ。シーソーの上で旦那様は仰向けに寝てください。両足は地面に 下して身体を支えて。そして奥さんの方ですが、旦那様の身体を跨いで もらいましょうか? そうです。シーソーの上で騎乗位セックスをお願 いします」 お父さんはまたまたノートをめくりながら、渋い声音で事も無げに説明 する。 でも騎乗位って? 確か……そうよ。寝転んだ男の人の上で女の人が腰 を動かしてダンスするっていう……あれよ! ものすご~くエッチな体 位よ! それも、シーソーの上で……? う~ん。バージンの雪音にはわかんない。 でも、ひとつだけわかっちゃった。 お父さんって、案外むっつりスケベかも。 「あなた、お願い」「ああ……わかっているよ」 ここでも、リードしているのは美帆さんの方。 躊躇する毅さんを励ますように軽いくちづけをする。 唇を密着させながら、毅さんの右手を自分の股間へと誘導する。 「うふふっ、私も濡れちゃった♪ 毅のオチ○チンを舐めてたら、美帆 のアソコもジンジンしちゃって。ねえ、指をもっと中まで……そう…… はぁぁぁぁ、いいぃっ……」 立ったままの姿勢で美帆さんが腰をくねらせた。 毅さんの手首を握りしめて、指先を割れ目の中へと沈めさせている。 「ほんとだ。美帆のオマ○コ、ヌルヌルじゃないか。それに、いつもよ り熱い」 「でしょう。はああ、くふぅぅ……ふふっ、毅のも元気になってきた♪」 美帆さんが下を見てクスリと笑った。 さっきの射精で元気を失くしていた肉棒君が、もう復活している。 そんな股間を、毅さんが恥ずかしそうに覆った。 覆いながら照れ隠しをするように、シーソーの台の上で寝そべった。 「さあ、美帆。おいで……」 「もう、仕方のない人ね……まるで子供みたい……」 あたしは生唾を飲み込みながら、お父さんを見上げた。 「写真……撮らなくていいの?」 「カメラを持っていること……忘れてた」 「そう……でも、仕方ないよね……」 あたしとお父さんは、蚊に刺された処を掻くのも忘れてふたりして頷き 合っていた。 そして、お互い知らない顔を装って、指を大切な場所へと這わせている。 ズズズッ、ズ二ュッ……ズ二ュ、ズ二ュ…… 「んんんっ、ああぁっ、太いっ! 太くて硬いのが入ってくるぅっ…… ふああっ」 シーソーのベッド。 そこに横たわる逞しい身体の上で、美帆さんが喉元を反らせた。前に折 り曲げた。 毅さんの身体ごとシーソーを跨いで、中腰の姿勢のまま成熟したお尻を 太股に密着させている。 「んっ……はあ……全部入っちゃった」 瞳を潤わせた美帆さんが、舌をちょろって覗かせて悪戯っぽく笑った。 つられるように毅さんも薄く微笑んだ。 もう言葉の合図なんていらない。 毅さんの軽い突き上げに、美帆さんが腰を前後に動かして応えた。 両足を踏ん張ったままの腰の上げ下げに、均整のとれた肉感的なお尻が 前後左右に揺れている。 連動するように柔らかい乳房も波打っている。 「あんっ、はうぅぅっ……美帆のクリトリスぅっ、こすれてぇ……あう ぅぅっ、きもちいいぃっ!」 「はっ……はああっ……俺もだ。いつもより締め付けられて……はあ、 はぁぁ……」 カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ…… ようやくカメラマンだったことを、お父さんが思い出した。 ふたりの愛の営みを、白い光と鳥の羽ばたきのような乾いた連射音が記 録に収めていく。 「はあぁ、ふあぁぁ、乳首もぉ、もっとぉっ……んんっ」 這い上がった両指が、ボリューム満点の乳房を揉んでいる。 感じて尖ったピンク色の先端を摘んだり捻ったりして、可愛く鳴く妻の 反応を楽しんでるみたい。 「あっああぁぁぁっ、素敵っ! お、お外なのに、誰かにぃ見られるか もしれないのにぃぃっ……いい、いいのぉっ!」 「ふぅ……はあ……美帆、美帆ぉッ!」 夜の公園に響き渡るエッチなハーモニー。 そしてその歌声は、ぴたりと寄り添ってぴたりと合わさって…… あたしは緩めたジーンズの隙間に指を突っ込みながら考えてた。 きっと、オナニーより気持ちいいのよね。 だって、こんなお外で生まれたままの姿で愛し合えるんだもん。 赤ちゃんが欲しいってことで、こんな刺激的なセックスをしているんだ もん。 いいなぁ~。羨ましいな~。 あたしも露出セックスでバージンとお別れしようかな? 「あんっ、はふぅ。ふぅぅぅん……んんっ」 爪先で尖っているお豆を撫でてみる。 指の先端が、エッチな勇気に唆されて膣の入り口に向かおうとしたその 時……?! カサ……ガサッ……カサ、カサ…… どこからか、乾いた土を踏みしめる音がした。目次へ 第11話へ
迫る足音! 囮になるペチャパイボディ? 2015/09/02 20:00.00 カテゴリ:シャッター・チャンス2 【第11話】 「お父さん、聞こえた?」 「うん。誰かがこっちに近づいて来る。でも、どうしよう? やっぱり こんなことなら……」 「もう! こんなところで怖気づいてどうすんのよぉッ!」 あたしは熱いお肉から指を引き抜くと、Tシャツの裾でぱぱっと拭った。 そのまま音を立てないように植え込みから抜け出し、近づく靴音を聞き 分けようと耳の後ろで手のひらを拡げた。 ツマ先立ちになって、黒い絵の具で塗りつぶしたような空間に目を凝ら してみる。 なにも見えない。 厚い雲に覆われた月明かりさえ届かない世界。あるのは不気味な暗闇だ け。 でも聞こえる。 足音を忍ばせながら接近する人の気配。 「ここは、あたしたちでなんとかしないと……」 目線をシーソーのふたりに送る。 そして、「うん」って深く頷いて撮影機材用のバッグをまさぐった。 中から取り出したのは、いざという時に備えて持ち出したサングラス。 もちろん雪音の持ち物じゃない。 お父さんが当時流行ってた西○警察のリーダーさんに憧れて衝動買いし たものの、ある事情でタンスの中に封印されちゃったモノ。 理由は……? そんなの『自分は知らないであります』ってことで、夜なのにサングラ スを掛けたあたしは涙目のお父さんに言ってあげた。 「ふたりのエスコート頼んだわよ。ピンクの傀儡子さん」って…… 暗い。真っ暗。 それなのにサングラスなんか掛けているから、真っ平らな地面で3度も 転びかけちゃった。 ここは公園を縦に貫くメインストリート。 あたしは大げさに両手を振りながら足音を立てて歩いていた。 ついでに音階を無視したハミングも熱唱した。 唄いながら、あごから滴る汗を拭って首筋を流れる汗も手の甲で拭いた。 汗ばんだ肌を冷ましてあげようと、Tシャツの裾もおへそが覗けるくら いめくり上げてパタパタさせた。 その間も、首の関節をフル回転させて暗闇に潜む人影を探す。 『お願い、雪音に気付いて』という思いと『やっぱり怖いよ』という本 音を同居させながら、一歩また一歩と遊具広場から引き離していく。 そして、半径5メートルくらいしか照らさない街灯の下に、あたしは辿 り着いていた。 ワサッワサッ……ガサッガサッ…… 耳を澄ませないと聞き取れない小枝を揺する音。 それでも聞こえない聞きたくない、男のいやらしい息遣い。 見ている。見られている。 誰かが雪音を息を殺しながらジッと覗いてる! 「ふ~ぅ。ウォーキングしてたら汗びっしょり。なんだか気持悪いなぁ~ ……誰も……見てないよね。ちょっと、脱いじゃおうかな?」 キョロキョロと周囲を窺うふりをして、頭に浮かぶセリフを棒読みして、 こっそりと止まりそうな心臓をトントンと叩いてあげて…… あたしはTシャツの裾を掴むと頭から抜き取った。 そのままグッと息を止めて、ほっぺたのお肉を噛みながらジーンズのホ ックを外した。 ファスナーを引いた。 お尻を人の気配のある草むらに向けて、焦らすようにゆっくりと下して いく。 ついでにサービスだよ♪って、腰でダンスもしてあげた。 恥ずかしいよぉ。こんなお外でパンツとブラジャー姿になるなんて。 それも正体不明のお客さんに、雪音の美肌を無料で見せないといけない なんて。 あたしはお出かけ専用のレースたっぷりの下着姿でポーズを決めた。 お父さんに撮影されるみたいに、悩殺立ちポーズを次々と披露していく。 腰をくの字に曲げてお尻を突き出して…… 前屈みになって無理して垂れ下がらせた胸の隙間を強調させて…… 遠くから聞こえる女性の感じる声なんか幻聴だよって、目の前の美少女 モデルにもっと注目してよって…… カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ…… 「ひいぃぃっ……イヤッ……んんっ」 そしてお父さんが手にしたモノと同じ音を聞いた。 覚悟はしてたけど、雪音はエッチなモデルだからこんなこと想定済みだ ったけど、だけど一瞬悲鳴を上げかけて口を押さえた。 口に手を当てたまま気付かれないように、背中をくねらせてお尻もくね くねさせた。 ちょっとだけパンツをずらせて、ヒップの割れ目も半分見せてあげた。 カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ…… そうしたら、悦んだカメラ君が拍手するようにまた鳴った。 それでもあたしは、身体が覚えてしまった淫らな振り付けを踊り続ける。 「……ふぅぅん、はああぁぁん……はぁっ、毅ぃっ……きもちいいのぉ っ……」 遠くからも張り合うように淫らな声が流れてくる。 あたしはカメラを手にしたお客様を引き止めようと、もっともっと過激 なショーに切り替えていく。 草むらに笑顔を振りまきながら、背中に回した右手がブラのホックを緩 めた。 真横にした左腕を胸に押し当てたままブラジャーを引き抜いた。 脱ぎすてられた服の上にそっと落とした。 「恥ずかしい……でも、がんばれ♪ 雪音!」 あたしは、藍色のジーンズの上に乗っかったブラジャーを恨めしそうに 見つめた。 でもそんなの一瞬だけ。 またおバカな雪音に戻ってお客様にサービスを始めた。 胸のふくらみに両手で蓋をしたまま、挑発するようにお尻を揺らした。 白いパンツをもっとずらせて、ふたつに割れたお肉を全部覗かせてあげ た。 これが汚れのない女子高生のヒップだよって。 こんな淫らな踊りをしているけど、雪音はバージンなのって。 なにもここまでしなくたって…… 雪音、いくらなんでもやりすぎだよ。 良心があきれた顔で警告する。 そうよ、あたしだって恥ずかしいし情けないよ。 でもね、見ちゃったの。決めたの。 どんなに馬鹿げていても、愛に満ち溢れた協同作業をする夫婦のジャマ はさせないって。 だからあたしは……! 「は~あ。今夜は開放的な気分♪ パ、パンティーも脱いじゃおうっと ……♪ だ~れも見ていないし、ふふっ、見ないでね♪」 スルッ……スススッ…… カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ…… 草むらに背中を向けて、両手をおっぱいから引き剥がして、お尻丸出し のパンツを下していく。 前だけ隠してウエストのとこが紐になっちゃった最後の1枚を、棒読み ハミングしながら脱いじゃった。 あたしは手にした白い布を、クルクルとボールみたいに丸めてブラジャ ーの横に並べた。 でもそれは湿っていた。 ううん、水気を含んだみたいに雪音のパンツはズシリと重たかった。 カメラ君に全裸の後ろ姿をみせてあげる。 隠したって意味がないのに、おっぱいと女の子の部分に両手の下着をひ っつけて、そっと密着してた太股なのに隙間を拡げる。 「はあぁ、ううっ。雪音のアソコ濡れちゃってる」 生ぬるい風なのに、股間がヒンヤリと感じた。 中途半端に期待した恥ずかしい割れ目が、オナニーの続きをせがんでく る。 「んんはあぁっ、毅ぃっ、たけしのぉっ感じるぅっ! だめぇっ……美 帆っ、気持ちよすぎてぇっ」 カメラ君を誘惑するように、真夜中の公園に響く美帆さんの女の声。 ザザッ……ザワザワザワ…… 草むらに潜んだ気配が、雪音と美帆さんを天秤に賭けた。 せっかくピチピチボディを晒してあげているのに、旦那様に愛されるム チムチボイスと互角だなんて。 ちょっぴり落ち込んで、哀しくなっちゃう。 「は、はあ~ぁっ……なんだか解放的♪ お、オナニーしちゃおうかな?」目次へ 第12話へ
露出オナニーって快感? 2015/09/05 18:30.00 カテゴリ:シャッター・チャンス2 【第12話】 あたしは地面に転がる小石をササッと跳ね除けると、両手を突いて両ヒ ザもひっ付けていた。 それだけでお股のお肉がヌチャって鳴いた。 雪音、オナニーってどうやってするの? 割れ目の中までムズムズさせておきながら、サングラスに表情を消した あたしが白々しく訊いた。 せっかく足止めさせた盗撮カメラ君を失望させたらダメなのに、オナニ ーまでのカウントダウンを引き伸ばそうとする。 カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ…… 急かしているの? 興奮して期待しているの? 盗撮カメラ君が四角いボディを鳴らして、たぶん数分後の雪音に訪れる 真っ白な世界をフラッシュライトで予言してくれた。 ザワザワと草木が擦れる音と一緒に、ススーッてファスナーを引く音が して、「はあ、はあっ……」って荒い息遣いも聞こえて。 やるっきゃないでしょ、雪音! 日夜鍛えた指使いを今こそ披露する時よ! あたしは左手だけで身体を支えると、右手をお腹の下から侵入させて割 れ目のスリットに這わせた。 中指にリーダーを任せて、ヒダヒダの底にまで一気に沈めた。 人差し指と薬指がサポートみたいにサイドの感じる壁を引っ掻いて、カ メラ君が覗いているのにお尻がバウンドする。 閉じるのを忘れた前歯の隙間から、お約束の声が漏れた。 ズニュ、ズニュ、ぬちゅうぅ……にちゃ、にちゃ…… 「ひゃぁっ! は、はぁぁぁ……指がぁ、勝手に……ンアぁぁっっ!」 膣の粘膜が悦んで、エッチなお汁を沸き出させてくる。 それが、シュッと音を立てて割れ目の縁まで溢れてきて、あたしは本能 に任せて指を動かしていた。 とっくの昔に蕩けちゃってるエッチなお肉を、摩擦ですり減るくらいに 擦り上げていた。 飾りっ気なしに気持ちいい。 夜の公園で風に吹かれて独りエッチするのって、快感! ううん、そんなことより誰かの目を気にしてオナニーするのが、いいの! カメラの被写体にされて、フラッシュをバンバン焚かれると、疼いちゃ うの! アソコが……雪音のオマ○コが……ヒクヒクってして、まだ経験したこ とがないオチ○チンと仮想セックスを体験してるの! 「んぐ、はぁぁ……美帆ぉ、愛してる!」 「あぁ、ふあぁぁぁっっ! 毅ぃっ、私もぉ愛してるわぁ……だからぁ、 出してぇ……赤ちゃんの元、いっぱい膣(なか)にぃ、はあぁぁぁっっ」 その時、愛し合う二人の営みを風が運んだ。 セックスのラストを飾る夫婦の饗宴を、雪音の鼓膜が素直に拾った。 「き、気持ちいいよぉ……はぁっ、アソコがぁ感じるぅ……だめぇ、ダ メぇっ!」 ピアノも弾けない雪音だけど、鍵盤を叩くように感じるお肉を弾いてい た。 押さえるだけでエッチなジュースが溢れるスリットを、束にした指先で シュルシュルと撫で磨いていた。 これが露出オナニーの最後の快感だって、あたし自身に知らせるつもり で。 撤収だよ、雪音! もう、あなたの役目は終わったの! 真っ白な階段を駆け上って頂上一歩手前の雪音が、口元から涎を垂らし て振り向いた。 イヤイヤって首を振って、目を潤ませて、最後の一段に足を掛けようと する。 「ふあぁぁっ……な~んか、このポーズって疲れるのよね。やっぱりオ ナニーするなら、ベッドの中だよね」 あたしは割れ目に這わせていた指を引き剥がすと、お父さん顔負けの棒 読みセリフを夜空に向けて口走っていた。 身体を起こすと、オナニーしてたことも忘れたみたいにパパッと土埃を 払った。 ザザッ……ザワザワザワ…… カシャッ、カシャ、カシャ、カシャッ…… そんな雪音の心変わりに、草むらがどよめいて、盗撮カメラ君が全力で 引き留めようとする。 決して振り返らない後ろ姿だけの裸体に、真っ白なフラッシュ光線を明 滅させる。 ごめんね、盗撮カメラ君。アナタと一緒に天国へ昇れなくて。 お詫びに雪音からプレゼントを置いておくね。 あたしは足元に脱ぎ棄てられた服を引っ掴むと、ほんわりと温かいブラ とパンツだけ地面の上に置き去りにした。 そして、素裸のままで始めゆっくり、10歩進んで全力ダッシュした。 なぜか太股を捩らせて。 オシッコをお漏らししたわけじゃないのに、なぜか内股をべっとりと濡 らして。 走りながらなのに雪音の頭は、家に帰ってからの行動をシュミレーショ ンしていた。 シャワーを浴びて、夜食にカップラーメンを平らげて、ベッドに潜り込 んで…… オナニー! オナニー!! オナニー!!! 全裸なのにサングラスだけを掛けた女の子がジョギングする姿に、もし 居合わせた人がいたら腰を抜かしていたかもしれない。 ううん、突然オオカミさんに変身して、太くて硬~い注射の餌食になっ ていたかも。 幸いあたしは、ドロドロに濡れたバージンだけは守り通して、お父さん の後ろ隣に帰還した。 急いでジーンズとTシャツだけを着込むと、レンズを覗いたまま『返事 はないただの屍だ』状態になっているお父さんを突いた。 脇腹をコチョコチョって。 「どうやら、撮影はうまくいったみたいね」 「ああ、写真もばっちりだけど、見てみなよ、雪音。夫婦仲も羨ましい 限りってとこだな……ぼりぼりぼり」 雪音が蘇生してあげたことも忘れて、お父さんはえっへんって顔をして みせる。 蚊の集団に弄ばれたのか、赤くなった首筋を掻きながら、それでも二人 してシーソーに跨っている美帆さんと毅さんを指差している。 「ホント……絵になる光景ね」 二人とも既に服は身に着けている。 その上で、童心に帰ったように目を輝かせてシーソーを漕ぐ姿に、あた しのハートもジンとしちゃう。 あっ! 子宮が疼いて熱いお汁が……もう、エッチなんだから、雪音は。 「ところで、雪音。例の足音はどうやって追い払ったんだい? まさか ナイフでも突き付けて脅したり……してないよね?」 「してません! というか、お父さんは実の娘をそんな風に見てたのね。 ま、まあ……でもそれでもいいかも……ごにょ、ごにょ……」 結果良ければ全て良し……かな。 お父さんはカメラを片づけながら、チラッとあたしの顔を覗いて「ふふ ふっ♪」って意味の分からない鼻声を残した。 あたしもチラチラッと覗き返して曖昧に笑うと、転がっている蚊除けス プレー缶を拾った。 お幸せにね。美帆さん、毅さん。 きっときっと、元気な赤ちゃんが授かりますように。 「おっ! 流れ星か……なんでもいいからお願いしないと」 まるであたしの心を見透かしたように、お父さんが夜空を指差していた。 その短くて太い指先を雪音の目が追い掛けて、夫婦熱愛中の美帆さんも 毅さんも追った。 「わぁ、きれいな星空♪ 街の真ん中でも見えるんだね、天の川って… …」 「ほんとね。こんなに美しい星空が輝いてたのに、私……気付かなかっ たわ。ねぇ、毅はどうなの?」 「僕も気付かなかったな。だって、ほら……美帆に夢中になってただろ」 肩を寄せ合って微笑む美帆さんと毅さんは、なんだか目を潤ませている みたい。 そういう雪音も伝染しちゃったのかな? まるで川底から見上げるようにお星様がユラユラしている。 お父さん、気を使ってくれてサンキューだよ。 流れ星は一瞬の贈り物。 だけど夜空に瞬く星々の輝きは、永遠の宝物。 あたしは、相変わらず首筋をポリポリやっているお父さんの手を取ると、 代わりにカキカキしてあげた。目次へ 最終話へ
結果良ければ全てよし……かな♪ 2015/09/09 20:00.00 カテゴリ:シャッター・チャンス2 【最終話】 翌日…… 「雪音、ちょっと小耳に挟んだ噂だから気にするなよ。お前、数学の授 業中に居眠りして廊下に立たされたんだって?」 「ち、ちょっとその話、誰から聞いたのよ?!」 気にするなっていう方が無理な噂話に、あたしは上目遣いにお父さんを 睨んだ。 「おっ! その目の吊り上げ方は……ふふふっ、本当に立たされちゃっ たんだ。それってやっぱり、昨日のアレのせいで寝不足かな?」 「な、何よ……アレって? まさか覗いてたの……?」 上目遣いだったジロリ目線が、指で輪っかを作ってシコシコさせるお父 さんに難なく跳ね返される。 その指使いは女の子ではなくて男の子だって指摘したかったけど、今は それどころじゃないの。 本気でお父さん、雪音の部屋を覗いて……?! 「キィィィッッ! 見たなァッ! この変態! 覗き魔! エロオヤ ジ!」 「わ、わあぁぁっっ! 誤解だよ、雪音! 知らない! 見てない! だ からぁ……うぐっ! ぐがっ!」 アルバムが飛んだ。 カメラが飛んだ。 三脚が飛んだ。 夫婦喧嘩じゃないから、茶碗とお鍋は飛ばないけど、代わりに格好良す ぎたお父さんの思い出も投げ飛ばそうとして……? あらら、お父さんったらその前に目を回している。 う~ん、嫌疑不十分のまま拷問死させちゃったかも……反省です。 「あのぉ……構いませんか?」 「あ、はいぃ……いらっしゃいませ♪」 そんな時だった。 お店の入り口から、聞き慣れた声が聞こえた。 美帆さんが目を丸くしながら、嵐に遭遇した店の中を覗き込んでいる。 「おほほほ、ちょっと盗撮ネズミを退治しようと……どうもお見苦しい ところを……」 あたしは、伸びたままのお父さんをツマ先でチョンチョンさせて蘇生さ せると、思いもよらない美帆さんの訪問に愛想笑いを浮かべた。 転がったカメラを跳ね除けると、とりあえずソファーに勧めた。 「あ、あの……そのぉ……」 だけど美帆さんは、腰を下ろしたものの口は重たかった。 両手をヒザの上に乗せたまま、頬を赤く染めて俯いている。 「あ、あははは……何か不都合なことでも有りましたでしょうか? こ のピンクの傀儡子も人の子。ツマラナイミスも、たまにしでかしますし ……ねぇ、そうよね?」 「はい……その通りであります」 KOされた後遺症かな。 お父さんはネジが抜けたロボットのように、ぎこちなく答えて、カクっ と首を項垂れている。 「い、いえ……そんなことは……」 「ということは、あたし共の不手際ではないと?」 美帆さんが深く大きく頷いてくれた。 「はあ~良かったというか、なんというか……」 あたしは宙を飛んで脱走をはかった札束の霊を回収すると、ほっと胸を 撫で下ろしていた。 「実はあの……出来ちゃったんです」 「はあ、それは、それは……」 だから続く美帆さんの告白に、いい加減に返事をしていた。 「今日、産婦人科で検査してもらったら、お医者様が『おめでたです』 って……」 「はい、それは、それは……えぇっ! 昨日、その毅さんとアレをして ……もう赤ちゃん?!」 そしてようやく、事の重大さに気が付いた。 思わずあたしは、お父さんのホッペタをつねって、これが夢じゃないっ て実感を…… 「いえ、そうではなくて、こちらへ伺う前に妊娠してたみたいで……ど うもご迷惑をお掛けしました。本当は主人共々、お詫びをしなければな らなかったのですが、生憎主人は手の放せない仕事がございまして……」 「いえいえ、そんなお気遣いなく……おほほほ、そうですよね。昨日ア レして、さっそく赤ちゃんって……ないですよねぇ」 だったら、どうなのよ? 雪音とお父さんが、蚊の大群と盗撮小僧と闘った昨日の夜はどうなるの よ?! お支払いは? これが回収不能になったら…… しゃっきん! シャッキン!! 借金!!! 「雪音さん? あの……顔色が悪いようですが、大丈夫ですか?」 「ううっ……あ、いえ……平気です。最近よくある貧血ですから」 あやうく、貧血を金欠と言い間違えそうになった。 もう一度大脱走した札束の霊が、雪音の前でふわふわと浮遊している。 「それでお支払いの方なんですが……?」 「お、お支払いですね……はははっ」 目の前が暗くなって左の胸が、キュッと絞め付けてきて……お父さん、 雪音はもうサヨナラかもです。 「ちょうど銀行へ行く用事がございましたので、これはお礼の分も込め たものとして、お納めいただけないでしょうか?」 美帆さんは、セカンドバッグから紙の封筒を取り出すとテーブルの上に 置いた。 結婚指輪の輝く左手の指が、封筒の中から帯封付きの現金をさり気なく 覗かせる。 「あ、あぁぁ……はい、はいっ! 悦んで!」 宙を彷徨っていた札束の霊が、一斉に成仏した。 銀行印がまぶしすぎる福沢さんの集団が封筒の中へと吸い込まれて、雪 音の身体も札束の後光に照らされて全回復しちゃった。 「それと差し出がましいお願いなんですが、主人が管理しているサイト に『ピンクの傀儡子様』のサイトをリンクさせてもらえないでしょうか? 私はパソコンとかインターネットに詳しくないのですが、主人が申すに は1日あたり1万人ほどのアクセスがあるとかで、ぜひにと」 「は、はあ……少々趣味の悪いサイトではございますが……」 「いやぁ、毅さんはお目が高い。僕のサイトの価値を良く理解しておら れる。はははっ、早速相互リンクさせていただきますよ」 雪音に続けてお父さんも全回復しちゃった。 頭のてっぺんに大きなタンコブをこしらえたまま、目をキラキラさせて 早速パソコンを立ち上げている。 あたしは、そんなお父さんを見つめた。 お腹に手のひらを当てて幸せを満喫している美帆さんを眺めた。 最後に、瞬間暴風にも耐え抜いてくれた『北原写真館』を見回した。 結果良ければ全て良し♪ 遠回りして、崖から落っこちて、ジャンプして、ついでにワープして…… 雪音とお父さんの人生って、いつもジェットコースターに乗っているみ たいだけど、まあ、それも有りってことでしょ。 お父さん、今夜はパァーっと張り込んで、特上の天ぷらそばでも出前し てもらおうよ。 お向かいの『そばや並木』でね♪ 夕陽が差し込む、自称レトロチックな写真館で、あたしはニンマリと微 笑んでいた。 おしまい♪♪目次へ