● 目次をクリックすればそのページへ飛びます 第1話
14階と13階 第2話
アンコールワットの絵 第3話
予期せぬ代償 第4話
衣擦れの音 第5話
初ヌードモデル 第6話
恥辱のポーズ 第7話
野獣の抽送 第8話
真珠のネックレス 第9話
濡れた花弁 第10話
小野原の血液型 【第3話 予期せぬ代償 より抜粋】
「小野原さん、お金で済む問題じゃないことは分かっていますが、その
絵を弁償させていただけないでしょうか」
「弁償?冗談言わないでください!そりゃ俺は貧乏な学生ですが、金で
かたがつく問題じゃないですよ!」
「そんなつもりで言ったのでは……」
金銭補償を提案をしたことがかえって小野原の気分を害してしまったよ
うだ。
私は後から「しまった」と思ったがすでに後のまつりだった。
私は途方に暮れてしまった。
「お気を悪くさせてしまって申し訳ありません。ではどのような方法で
絵の償いをすれば良いのでしょうか……」
万策尽きた私としてはそう切り出すより他になかった。
すると小野原から意外な答えが返ってきた。
「この絵はもう諦めます」
「えっ……?」
小野原の思いがけない潔い返答に私はほっと胸を撫で下ろしたのだが、
それもつかの間、その後に続いた彼の言葉に私は愕然とした。
「その代わり……」
「はい……」
「その代わり、奥さんのヌードを描かせてください」
突拍子もない小野原の申し出に私は思わず言葉を失ってしまった。
「えっ?なんですって!?私のヌードを……ですか?」
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