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パイズリはリズムよく……涙目で
























(20)


9月 10日 水曜日 午前8時10分  水上 千里



「さあ、何をやっているんです! 早くしないと、夜勤を終えたナースたちがここに来ることになりますよ」

松山が囃し立てるように、急かしてくる。
一歩二歩と私との間合いを詰めてきた。

するしか……なさそう……

私は松山の前で膝立ちになると、ズボンのベルトを緩めた。
フロントのファスナーも下に引いた。

ズボンの生地ごと突き上げていたペニスが、下着越しに迫ってくる。
それに驚いた初心な千里の心が、顔をちょっと仰け反らせた。
目の前の視界がぐにゃりと歪んだ。

どうしちゃったの、千里? 涙なんか浮かべて。
だめよ、この程度のことで。

だから、そんなのただの生理現象って顔をして、両手でズボンを膝まで引き下げる。
ブリーフ型の下着に手を添える。

気がつけば千里……下を俯いていた。
やっぱり松山の言った通りの、勝気でプライドの高い女の子だからかな。

仕方ないから、手の感覚だけで下着を降ろしていく。
途中、大きな障害物が立ちはだかったけど、そんなの想定済み。
ブリーフのウエストゴムが引きちぎれるくらい引っ張ってあげて、慎重に回避した。

「まだ、一晩しか経っていないのに、私の息子に会えて感激の涙というやつですか。
さあ、千里の胸の谷間で挟み込むんですよ。私の巨大ペニスをね……ははははっ……」

目にしたくなかったから、俯いていただけのに。
視界の端から、それは顔を覗かせていた。

だから「いやぁッ……こわい……」って、可愛く叫んで……
心の中で、化け物! って、呼んであげた。

「ほら、おっぱいで挟んで」

そして、男に言われるがままに、乳房を下から押し上げるようにして巨大ペニスを挟んだ。

「……んぅぅッ……あつい……」

肌がダイレクトに異物の体温を伝えてくる。
そのおぞましさに連鎖して、二の腕に鳥肌が立っている。

そうしたら、顔の真下で化け物のようなペニスが笑った。
今日も楽しいことをしようって……

「上半身を屈伸させながら、先端を口に含んで、甘ーいキャンディーのように舐めるんですよ。
そのくらい、淫乱千里なら承知ですよね」

松山の、人を見下した笑いが頭上から降ってくる。
それを、ナースの象徴であるナースキャップが全て受け止めてくれた。

ごめんね。神聖なアナタをこんな目に合わせて……

私は両腕に力を加えた。
自慢のバストが、醜く歪んでいく。
でも、それと並行して化け物ペニスを強く挟み込んでいた。
そして、床に膝をついたまま、太ももの筋肉で腰を上下させる。
連動するようにバストが上下に揺れて、柔らかいお肉がペニスの表皮をこすりあげていく。

「意外と上手いじゃないですか。さぁ、息子の先端に舌を這わせて舐めなさい」

目の前で、近くなったり遠くなったりする巨大ペニス。
私は、目を閉じてそれを口に含んだ。

「んむむぅぅぅッ! じゅぽっ、じゅぽっ、じゅぼっ……」

口の中いっぱいに拡がる、男の熱い肉の塊。
心も同時に、嫌悪感と汚辱感でいっぱいに満たされていく。

昨日、相手をさせられたときも驚いたけど、どうしてそこだけ発達しているのよ。
アナタの身体って、バランスが悪いわよ。
お陰で千里の膣は、今でも違和感が残っているんだから。
だから、もう一度言ってあげる。
この、化け物、化け物、化け物、化け物、化け物、化け物、化け物、化け物!

「あと10分ですよ。急がないと、千里のナース人生が終わっちゃいますよ」

「チュパッ、チュプッ、チュパッ、チュプッ……んんむむッ……れろっ、れろっ、れろっ……」

そんなこと、指摘されなくたって知っている。
でも、ものすごく息苦しいの。
おまけに身体が上下するたびに、先端が喉の奥を突いて胃の内容物が逆流しそうになる。
それに……?!
千里……変な感じになってきてる。
乳房に押し当てた手のひらが、揺らされるたびに乳首に触れて、胸の奥がジーンって。
パイズリさせられて感じるなんて恥ずかしいのに。

「むむんぐっ……れろっ、れろっ、れろっ……ちゅぷっぅ……はううんんっ……」

「おやおや。なーんか、甘い声が混じりませんでしたか?
ははははっ……いいんですよ、感じても。こういうスリルたっぷりの環境下では、性欲の感度も高まりますからね」

私は、そんなの否定したくて頭を左右に振った。
その時だった!

上の方で扉が開く音がして、誰かの声が響いた。

「水上先輩、いますかぁーっ……?!」

茜ちゃん……!!

彼女は、私の体調を心配してここまで見に来てくれたんだ。

でも、千里は……
お願い、こっちに来ないで……!
千里の惨めで恥ずかしい姿を見ないで……!

こんな自分勝手なお願いをして、身体を強張らせて呼吸も止めた。

女子更衣室に奇妙な静寂が流れている。

「おかしいなぁ、水上先輩どこに行ったんだろう?」

足音は今のところ、下に降りて来る気配はない。
私は祈るように何度も勝手なお願いを繰り返した。

「んむむむぐぐぅぅぅッ! んんんぐぐっ、むむぅぅッ……!」

それなのに、松山が自分で腰を動かした。
巨大ペニスが、喉の奥に突き刺さる。
私の口の中を性器に見立てて、何度も何度も出し入れを繰り返した。

だめぇっ! 音が……漏れちゃう!

両耳に神経を集中させながら、松山のペニスを射精に導こうとした。
必死だった。こんな恥辱なのに一生懸命だった。

太ももの筋肉が鳴いてるのに、それを無視して恥ずかしく腰を上下させた。
唇を限界まですぼめて、先端にまで舌を這わせる。
涎がアゴを伝って、醜く歪んだ乳房に降り掛かってくる。

だらしなくて、はしたない姿。
お兄ちゃんがここにいなくて本当に良かった。そう思わせる姿。

「うーん、ここにはいないのかな?
せーっかく茜ちゃんが心配してあげているのに……水上先輩ったら……」

そうよ、ここに千里はいないの。だから、降りてこないで。



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絶望の一歩手前
























(21)


9月 10日 水曜日 午前8時20分  水上 千里



相変わらず、諦めきれない茜ちゃんの声が上の方から響いてくる。
それに、もう時間だってない!

頭の中を駆け回るのは最悪の事態。
それを回避するには?

そうよ。巨大ペニスを千里のオッパイと唇で満足させるしか道はないの。

お願いだから、早く射精して……!
お願いだから、千里をこの地獄から解放して……!

そして、その願いが通じたのか、巨大ペニスがますます硬度を増していく。

「さぁ千里。特製精液をごちそうしてあげますよ。一滴残らず、飲み干してくださいね」

松山の囁くような声を、千里の耳が拾う。
同時に最後のスパートみたいに、巨大ペニスが口の中で暴れ回る。

苦しくて、吐きそうで……泣かされそうで……でも……千里は……

「むむんんぅぅぅぅッ! ちゅぱっ、ちゅぷっ……れろっ、れろっ、れろっ……ふむむぅぅっっ!」

「ぅぅぅううッ……出る……!」

どぴゅぅッ……どぷぅッ、どぷぅッ、どぷぅッ、どぷぅッ……どぴゅぅぅぅぅッ……!

巨大ペニスが、口の中で弾けた。
放出された大量の白い液が、唇の端から流れ落ちていく。
苦くて、ちょっと塩辛くて……
それ以上に、屈辱や恥辱が入り混じった耐えようもない味が、舌を刺激して口内の粘膜まで刺激した。

「んんむむぐぐッ……ゴクッ、ゴクッ、ごくっ、ごくっ……はぁッ、はぁぁッ……はぁッ、はぁぁッ……」

気持ち悪くて吐きそうなのに、意識して喉を鳴らした。
でも喉の奥にも食道にも粘い液体が絡まったみたいになって、なかなか下に落ちてくれない。
こんなの全部飲み込むなんて、絶対に無理よ。

ほら、また唇から糸を垂らしたみたいに、ポタリと落ちた。

「やっぱり……誰かいるの?」

茜ちゃんが行為の音に気がついたのか、階段を降り始めた。
カタカタと、軽いステップがコンクリートの階段に響いて、同時にストッキングを履いてない健康的な下半身が次第に露わになっていって。

本当に、もうだめ! 見つかっちゃう!

私は階段の方に背を向けて、裸のまましゃがみこんだ。
両目を閉じてブルブル震えた。

「……♪♪……業務連絡、業務連絡……榊原茜さん。至急、入院病棟6階のナース室まで……」

突然、茜ちゃんを呼び出す院内放送が鳴った。

「もう! なによ、こんな時に……」

茜ちゃんの不満そうな声が聞こえて、階段を半分近くまで降りていた足音が再び上へと帰っていく。

パタンッ……

最後に、扉の閉まる音が小さく響いた。

助かったの……?!

私はフラフラと立ち上がると、松山を見つめた。

「携帯……?」

彼が手にしている携帯に、この危機が偶然回避されたのではないことを察した。

「ちょっと危なかったですね。まさに危機一髪って感じで……
まあ、お陰でスリル満点の千里のパイズリショーを堪能できましたが……ははははっ……」

「なにがスリル満点よ! こんなところを見つかったら、ふたりとも身の破滅よ。ほんと……信じられない……」

堪えていた怒りが、マグマの噴火みたいに込み上げてきた。
それなのに、松山は平然とした顔で乱れた服装を整えている。

散々千里を弄んだ巨大ペニスも、今は整然とズボンの中に収まっている。
ちょっとよろける振りをして、急所を蹴りあげてやろうかしら?
そのくらいしたって、罰は当たらないよね。
私は、よからぬことを考えていた。

「ふっ……身の破滅……ですか。私も一度、経験したいものですね。
……ところで、千里は榊原君とは随分と仲がいいようですが?」

「……それが……なにか?」

松山の視線が一瞬遠くを彷徨い、慌てたように元のいやらしい視線を取り戻した。
でも私には、そんなことどうでもよかった。
松山が口にした、後の言葉が気になったから。

「いえいえ、別に深い意味はありませんよ。ただ、友情は大切にと思っただけです」

「ごまかさないでっ! まさか、アナタ……彼女にまで、変なこと考えていないでしょうね?」

自分の置かれた立場も忘れて、声を荒げていた。
脳裏に、私の体調を心配する茜ちゃんの姿が浮かんだ。
彼女には手を出して欲しくない。
いいえ! どんなことがあっても、出させるもんですか!

「だから、誤解ですよ。私には千里という淫乱ナースを、時田のコレクションに仕上げるのに手一杯なんです。
さすがに、もうひとりは面倒まで見切れないですね。特にあの出っ張りのない身体では……ははははっ……」

「そう……わかったわ。取り敢えず、アナタを信じてあげる。
でもね、ちょっとでも茜……いえ、榊原さんに変なことしたら、私……警察に駆けこむから」

こんなことで、脅しになるとは全然思わない。
でも、これ以上強気なことは……
ごめんなさい、今の千里には守らなくてはならない人がいるの。
だとしたら、これ以外に千里に出来ることって?

「では、私はもう行きますが、いくら千里が淫乱ナースでも、更衣室で素っ裸はマズイと思いますよ。
早く制服を身につけた方がいいんじゃないですか。
もちろん、ブラジャーとパンティーは禁止ですけどね」

松山は最後までいやらしい視線と屈辱的な捨て台詞を残して、更衣室を後にした。

「……茜ちゃん」

私は、急いで素肌の上からナース服だけを身にまとった。
そして、乱れた髪を手櫛で整えてナースキャップを載せ直した。

ロッカーの鏡に映る、ナース服姿の自分。

ニコッと笑顔を作ってみる。
鏡の中の自分は、引きつった笑顔を作る。

哀しい顔する。
鏡の中の自分は、思いっきり泣いている。

「朝から最悪の気分……辛いな。千里……こんなに足枷嵌められて、これからもナースのお仕事をがんばれるかな?」

ロッカーの扉を閉めてロックする。
私は重い足を引きずるように階段へ向かった。

上の方から聞こえてくる複数の人の話し声に、絶望の淵の一歩手前を感じた。



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癒し系美少女 茜























(22)


9月 10日 水曜日 午前9時  水上 千里



松山との行為を終わらせた私は、何食わぬ顔で自分の職場に向かった。
そして、ナースルームにたまたま居合わせた婦長さんに、遅刻した理由を説明する。
もちろん体調不良ということで。
でも、胸の中では本当の理由を……
『千里は、女子更衣室で松山先生のペニスをパイズリしてました』って……

幸い? 婦長さんを始め同僚のナースたちも、誰ひとりとして私の嘘に気づいていない。
きっと、茜ちゃんがうまく説明してくれていたんだと思う。

ごめんね、茜ちゃん。あなたまで騙したりして……



私はその後、普段通りを心がけて仕事に没頭していた。
そうでもしないと、余計な事を考えちゃうから。
そして気がついた時には、お昼休みを大きく過ぎていた。
まあ、このお仕事をしてたら、休憩時間なんて有ってないようなものだけどね。

「……お昼……どうしようかな?」

ここまで意識して身体を動かしたのに、全然食欲が湧いてこない。
それどころか、胃の付近がまだムカムカしている。

やっぱり、あんなモノを飲まされたからだよね。
千里って、結構打たれ強いタイプだと自負してたけど、昨日から今朝にかけての出来事はさすがに堪えたみたい。

「でも、昼からの業務を考えると、何かお腹に入れないと……」

私は、院内に設けられている食堂に向かった。
ここは一般にも解放されていて、メニューも結構豊富。
まあ適当に、何か食べられそうなのを探そうかな。

「あれぇ、水上先輩も今からお昼ですかぁ?」

ガラスケース越しのメニューと睨めっこしていた私の背中で、幼さを感じる声が聞こえた。
振り返る私を見て、茜ちゃんがにっこり笑った。

「茜ちゃんもお昼まだなんだ。よかったら一緒にどう?」

彼女をガラスケースの前に誘った。

「はい、水上先輩。茜……もう、お腹が空き過ぎで倒れそうだったんです。
喜んでご一緒させていただきま~す」

茜ちゃんは両手をお腹に当てて、ひもじそうな顔をしてみせた。
本当にこの子は可愛いな。それに明るくて素直で。

私はそんな彼女の横顔をチラチラと見ながら、松山の言葉を思い返していた。

「水上先輩。茜の顔になにか付いてますぅ?」

「ううん、なんでもないの。さあ、何を食べようか?
今日のランチは私がご馳走してあげる。美里ちゃんには心配かけたからね。そのお詫びということで……」

「えっ、いいんですかぁ。それじゃぁ遠慮なく。う~ん、なににしようかな?」

ところで、そこのアナタ。
千里がここに来る前から悩んでいるみたいだけど、結構優柔不断なのね。
だったら、千里が決めてあげる。
カツ丼大盛り、以上!

どうして、そのメニューなのって……?

普段の千里なら、そのくらいペロリと平らげるから……かな。うふふふっ♪



「それでね、先輩……アタシ……ムカついちゃって……」

茜ちゃんは、カツ丼を口に頬張りながら、日頃のストレスを発散するように話し続けている。
私はテーブルの上で頬づえを突いて、彼女の話に耳を傾けていた。
因みに、なぜ彼女がこのメニューを選んだかと言うと、アナタに対する対抗心じゃないかしら。
ちゃんと、大盛りを頼んでいるしね。

「ところで先輩。ホットケーキとミルクって、なんだか朝食っぽくないですかぁ?
お昼はしっかりと食べておかないと、身体が持ちませんよ」

「うん……まだ食欲が湧かないの。心配掛けて、ごめんね。
お腹が空いてきたら、何か食べるようにするから」

茜ちゃんが心配するのも、無理はないと思う。
でも今の私には、それさえほとんど喉を通らなかった。
頼んだホットケーキも半分以上残したままだし、特にミルクは失敗だったかな。
だって、似たような色のモノを朝から大量に飲まされたからね。

「先生っ……こっちの席が空いていますよ♪」

和やかだった食堂の雰囲気が、ひとりの女のせいで一変した。
白衣の男と数人のナースが、下世話な会話をしながらこっちへ近づいて来るのが見えた。

「あーぁ、せっかくのランチが台無し。松山先生も、物好きねぇ。
あ~んな、お局ナース様たちとお食事して楽しいのかしら……ねっ、先輩」

「えっ、ええ……そうね……」

あやふやに返事をして、視線を走らせた。
やだなぁ。茜ちゃんの声が届いたのか、お局ナース様たちがこっちを睨んでいる。

それに悔しいけど、身体は恐怖に強張っている。
別にお局ナースの筆頭、井本京子が怖いわけじゃない。
彼女が人前もはばからずに身体を寄せている白衣の男……松山に対してだった。

「茜ちゃん、そろそろ行きましょうか? ほら、アナタもよ」

私は、彼女が食事をし終えたのを見計らって席を立った。
そのまま気付かない振りをして、ふたりでおしゃべりしながら通り過ぎようとした。
因みにおしゃべりの内容は、結構相談および恋愛相談ということで……

「あらぁ、これは水上さんに榊原さん。こんな時間まで油を売ってるとは、いい御身分ね。
私たちにはとても真似できないわ」

ちょっと嫌みすぎたかな。
お局ナースの井本が噛みついてきた。

私は相手の視線からガードするように、茜ちゃんを自分の脇に立たせた。
そして、さらりと言ってあげた。

「これは、井本さんにお連れの皆さん。新参者の私たちに対する手厳しいご指摘、感謝いたします。
ですが、ここは職員の方や一般の方が普通にお食事する場ですよ。
間違っても患者様を預かるナースとして、夜のホステスのような仕草はどうかと思いますが……
ねえ、井本先輩。それに、松山先生っ!」

私は当事者の井本ではなく、彼女をはべらせている松山に対してのつもり。

「相変わらず、新入りのくせに口の減らない子ね」

井本に同調するように、お付きのナースが頷いた。

「それでは、私たちは職場に戻らせていただきます。ごゆっくりお食事をどうぞ」

私は隣で固まっている茜ちゃんに目配せして歩き始めた。
背後から、あからさまに浴びせられる千里への悪口。
でも、茜ちゃんに対してのものは聞こえない。

取り敢えずはOKかな。
彼女たちの憎悪は、千里に集中しているみたいだからね。

「先輩、ごめんなさい。アタシ……怖くてなにも言い返せなくて……」

「なに言ってるのよ。あれで良かったのよ。
ただ当分は、気を付けた方がいいわね。ああいう人たちは、結構根に持つタイプだからね」

「はぁ~い。了解しましたぁ。ふふっ……♪
それと水上先輩。今日は、ごちそうさまでした。今度は、アタシにごちそうさせてくださいね。
それじゃ、お仕事お互い頑張りましょう。では、さよならです」

茜ちゃんは手を大げさに振りながら、自分の職場に戻って行った。

あの子と話してると、私の悩みも小さなものに感じてしまう。
本当に不思議な子ね。
おまけに、あの小柄な身体でカツ丼大盛りを完食するんだから。
アナタも、少しは見習ったら?



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恥辱の検診同行 その1























(23)


9月 10日 水曜日 午後2時  水上 千里



「先生っ! ……松山先生っ! ……待ってくださーい」

千里の声って結構とおるから、たぶん聞こえているはず。
なのに、松山は知らんぷりして、目の前の角を曲がろうとしている

どういうつもりよ?
同僚のナースから『松山先生が呼んでいる』って言うから、さっきから探し回っていたんじゃない。
それなのに、声を掛けた途端、逃げるように歩き出すんだから。

私とすれ違った、ふたり連れの入院患者さんの会話が聞こえた。

「今日の千里ちゃん……なんだか色っぽくないか?」
「そうかぁ? ワシには、普段通りの彼女にしか見えんがな」

私は、ナース服の上から太ももを両手で押えた。
そして、心の中で答えてあげた。

最初のおじさん……いい観察力してるわね。
私たちナースを、そういう目で見てたんだ。

後のおじさん……女を見る目がなってないわよ。
でも……今に限っては、千里はアナタの方が好き♪

それにしても、じれったいわね。
ナース服の裾を気にしながらお上品に歩いたって、なかなか距離が縮まらないもの。
それなら大股で歩けばと言いたいところだけど、それが出来ないからもどかしいの。

一層のこと、走っちゃおうかな? ランニングしてるみたいに。

でもそんなことしたら、さっきのおじさんたち、目を丸くするわね。
間違って裾がまくれちゃったりしたら……!
想像しただけで、ゾッとする。

「せんせ……キャッ!」

私は、角を曲がった所で誰かに右手を引っ張られた。
そのまま、廊下に面した一室に連れ込まれる。

「何するの……あっ、先生……?!」

私の唇に松山は黙れとばかりに、人差し指を押し付けている。

「シーィッ……静かに……」

そう言うと、片手で扉を閉める。

「……先生……これは……?」

私は、声のトーンを低めにして松山から慌てて離れた。
そのまま、部屋の片隅に身体をひっつけた。

わずか6畳くらいの閉ざされたスペースは、カビ臭くて陰気な雰囲気が漂っている。
それも当然だと思う。
ここは、入院患者さんの生活用品や、シーツ、毛布、枕などが収納されている備品室だから。
他には使われていない医療用ベッドまで。
そんな物が段ボール箱に詰められて、天井に届くくらいに所狭しと積み上げられている。

普通女の子ならこんな密室に連れ込まれて、しかも相手が男だったりしたら悲鳴を上げるのが相場よね。

でも千里には出来ないの。
この部屋に私を連れ込んだ理由が、一瞬で理解できたから。

「なかなか趣があって、いい部屋でしょう。ほらベッドまで準備してある」

「ええ。先生のご趣味には、ぴったりのようですね。
ここが私と先生の秘密基地にでもなるのかしら」

こんなことぐらいで怖気づいたなんて、思われたくない。
だから平然と答えてあげた。

「ははははっ……相変わらず、君って人は。さっきの食堂での千里の言動。あれは実に面白かったですよ。
先輩ナースを言葉だけで沈黙させる。上司である私を威嚇のつもりか睨みつける。
まあ、可愛い同僚から先輩ナースの目を逸らせようとする、千里の苦肉の策だということは、分かっていましたからね」

「あら、気付いていたのね?」

「ええ……」

「そうなの……」

私は落胆したように大げさに溜息を吐いてみせた。
松山が下品な笑いをする。

「それで先生。私をこんな所に連れ込んで何をする気ですか?
さすがに、セ……セックスする時間はないと思いますよ。
松山先生の午後のスケジュールは、私と一緒に入院患者さんの検診をすることになっていますから。
もう、10分もないですよね……ふふふっ……」

私は短く笑って、挑発するようにナース服の裾をまくってみせた。
それを見た松山が、下品な笑いを繰り返した。

どうやら、千里で満足してるみたい。
これなら茜ちゃんは、大丈夫……かな? 

「ははははっ……千里はどうしようもない淫乱娘ですね。
今日はそんなアナタに、ピッタリの道具を準備してきたんですよ」

そう言うと、松山は白衣のポケットをまさぐり、私にある道具を差し出した。

「……これは?」

知らない顔して、ナース服の上から股間に両手を添えた。

「またまた、そんな顔をして。21にもなった娘さんが、これを知らないわけないでしょう。
このローターを、千里のエッチなオマ○コに入れてもらいましょうか?」

私に手渡された卵型のエッチな玩具。
これがなんなのか、知っている。
使い方も、もちろん知っている。
だって、千里もひとつだけど持っているから。

だけど、これは寝付けなかったり、ちょっと欲情してるときに、ベッドの中でこっそり使う恥ずかしい玩具。
そう、自分を慰めるときに……

間違っても白昼に、しかも職場でなんて。
こんなの、普通の人間がするべき行為じゃない。絶対に……

「おや、顔が真っ赤ですよ。熱でもあるんじゃないですか?
……それとも、淫乱千里のことだから、玩具を見た途端オマ○コが疼いて堪らないとか?」

「……くっ……違います、そんな。それより……これを入れればいいんですね」



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恥辱の検診同行 その2























(24)


9月 10日 水曜日 午後2時30分  水上 千里



私は卵型の玩具をギュッと握りしめると、唇に当てた。
舌先を突き出しては、玩具の表面に唾液をまぶしていく。

「制服の裾は下ろさないで下さいよ。挿入した振りをして、ズルをするといけないですからね。
さあ、千里のオマ○コがよく見えるように、腰のあたりまでもっと捲り上げて……ふふふふっ……」

松山はスマートフォンを取り出すと、千里の股間に向けた。
こんな痴態まで、時田と言う人のコレクションにされるなんて。
それも、男に監視されながら、アソコにローターを入れないといけないなんて。
恥ずかしいし、悔しい。

それにこの備品室って、扉が施錠されていない。
ということは……?!
誰かに、千里の恥ずかしい姿を覗かれる可能性だって……?
それけだけは勘弁して欲しいな。

「どうしました? さっきまでの威勢のいい言葉や態度は、はったりですか。
さあ早く入れなさい。私の命令は絶対のはずですよ!」

松山が目で脅している。これ以上しゃべらすなと……

私は「……はい」って、自分でも驚くほどしおらしく返事をして、ローターを手にしたままナース服の裾を掴んだ。
ウエストのあたりまで一気に持ち上げた。

「……んっ、くぅっ!」

本当は淡々とやってのけて、落胆した松山の表情を愉しむつもりだったのに。
千里の中には、まだ無垢で勝気な少女が住んでいるみたい。
だから、悔しそうに喉の奥を鳴らして、その上、男の目に晒した太ももを震わせて……

「こういうシチュエーションは、何度見ても男の本能を刺激してくれますね。
恥ずかしいのを我慢しながら裾をまくり上げて、剥き出しの股間を曝け出す。
激しい羞恥にそむけた顔は紅潮し、身体全体を震わしている。
さぁ、股を開いて。千里のエッチなオマ○コに、ローターを入れなさい」

「……んんッ……くッぅぅっっ!」

私は命じられるままに足を開いた。
片手で裾を掴んでオヘソのあたりに押し付ける。
唾液にまみれたローターを割れ目の近くまで下ろしていき、膣の入り口にセットする。

やだな。指が震えて言うことを聞いてくれない。
それに、なんだか怖い……

千里って、自分でエッチするときも、玩具を中に入れたりしないのに。
割れ目の上から撫でてみたり、感じる処に押し当てたりするだけなのに。

「代わりに挿入してあげても、構いませんよ」

「いえ、結構です……自分で……入れます」

私は、緊張しているアソコの力を抜いた。
怯える指を慎重に動かして、膣の中に押し込んでいく。

にゅるッ、にゅぷッ……

「……んんんっ、はぅんっっ……」

アソコに残る小さな異物の感覚。
でも、それは確かに千里の膣に収まっている。
意識しなくても、はっきりと感じちゃう。

「いっ、入れました……」

「では、お仕事と参りましょうか。千里、行きますよ」

松山が備品室の扉を開けた。
私は慌てて裾の乱れを直すと、男に続いて部屋から出ようとした。

ブゥーンッ、ブゥーンッ……ブゥーンッ、ブゥーンッ……

「えっ? えぇぇっ?! イヤァァァッ……止めてぇッ……お願い……」

お腹の中で、卵型の玩具が暴れた。
膣が振動で揺らされて、両足から力が抜けていく。

私は人目もはばからずに、備品室の前でしゃがみこんでいた。

「困りますね。この程度の刺激は堪えてもらわないと。
さぁ、スイッチを切りましたから、さっさと立って下さい。そんな恰好で座り込んでいたら、人目につきますよ」

「はあ、はぁ……スイッチは入れないで……私……こんなの入れて仕事なんて……出来ない」

涙が溢れていた。
こんな玩具に、こんな男に、千里は泣かされちゃった。

「ふむ。仕方ありませんね。さすがにマックスレベルは、きつすぎたようです。
では、最初は弱レベルで……」

ブーン、ブーン……ブーン、ブーン……

「んんっ……はああぁッ、いやっ、やめて……」

「贅沢いうもんじゃありません。ほら、検診の時間です。
ふふふっ、入院患者さんにも、エッチな千里の顔を見てもらいましょうね」

松山は、私を置いて歩き始めた。

「はぁ……ふぅ……はぁぁ……ついて……行かないと……」

意識して姿勢を正して……意識して両手を振って……意識して顔を引き締めて……時には笑顔で……
私はひたすら前を向いて、よそ見することなく歩くことに集中した。

千里って、周りの人に不自然に見られていないかな?
千里って、アソコにエッチな玩具入れてるのに、気付かれていないよね?

さっきより振動は弱くなっているけど、やっぱり感じちゃう。
膣が震えさせられて、アソコ全体が気持ちよくなり始めている。

一歩一歩慎重に歩く私の横を、さっきのふたり連れの入院患者さんが追い抜いていく。
追い抜き様に、彼らの視線が私の身体を捉えていた。
続けて、会話が聞こえた。

「ほら見ろ。今日の千里ちゃん、やっぱり変だろ。
さっき会ったときよりも、さらに色っぽくなって……?
あれは……うん、欲情しているっていう表情だな」

「うーん、目がうつろでほっぺたが赤くて、おまけに歩様まで元気がない。
俺には、熱でうなされる病人のように見えるが……?
うちのガキも風邪をひいたら、ゆでダコみたいな顔をしているぞ。
千里ちゃん、体調が悪いのに無理しているんじゃないのか?」

私には、ナース服の裾を気にする余裕さえもなかった。
でも、気分だけは紛らわせたいから、もう一度だけ心の中で答えて上げる。

最初のおじさん……相変わらず、いい観察力しているわね。
今度先生をそそのかして、特別に痛い注射を打ってあげる。

後のおじさん……相変わらず、女を見る目がなってないわよ。
でも千里は、おじさんが大好きだから、お腹を壊すくらいタコ焼きを差し入れようかしら。


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